10月8日「教育長の学校日記」
~小学校と中学校のそれぞれのよさ、さらに先生とこどものよさを生かし成果をあげる、「小学校教科担任制」~
![]() |
![]() |
▲天気と室温をみんなで確認し、授業開始! |
▲実験装置(水を流す溝)作りも慎重に |
![]() |
![]() |
▲実験を動画撮影するのは、こどもたちの新常識 |
▲動画を添付した実験結果は、送信して共有 |
東陽小学校を訪問しました。本校は、東京都教育委員会が推進する、小学校高学年における教科担任制を実施して、今年度で2年目となります。今日は、東京都教育委員会の方や大学の先生が、本校の取組の様子を見にいらっしゃるということでしたので、日頃からとても頑張ってくださっている本校の先生方を応援すべく、私も馳せ参じました。
こどもたちは、その度合いに個人差はあれども、誰しもそれまでの経験を生かしながら、滑らかに成長をしていきます。しかし、幼稚園・保育園と小学校、小学校と中学校の間で教育内容や方法等の段差が大きいことが、以前より全国的な課題となっていました。そこで、本区では、以前より連携教育に力を入れるとともに、学びスタンダードに取り組む等、それぞれの教育段階の接続が円滑に進むように努めてきました。小学校では、学級担任の先生が一人でほとんどの授業を担当し、一人一人のこどもたちを教科の枠を越えて、継続して丁寧に指導することを大切にしています。また、中学校では、教科担任制で授業を行い、専門性の高い指導をするとともに、多くの先生方でこどもたちの成長を支えていくことを大切にしています。それ以外にも、小学校と中学校のよさは様々あり、それらの双方のよさを、小学校、中学校のそれぞれの校種で生かしていくことが、東京都教育委員会が進める小学校教科担任制のねらいでもあります。
本校には、中学校の理科の先生が加配され、小学校5・6年生の理科の授業を担当しています。そして、5・6年生の各3クラスの先生方も、先生方の専門性等(小学校の先生はすべての教科を教えていますが専門としている教科、指導を得意としている教科があります)を生かし、国語、体育、社会を分担して授業を行っています。それ以外の、音楽、図工、家庭、外国語も専科の先生方が教えているので、本校の高学年では、まさに中学校のような教科担任制で授業が行われています。先生方もこどもたちも、初めは戸惑いがあったようですが、今はもうすっかり慣れてきたそうです。
こどもたちにとっては、専門性の高い授業が受けられ、より多くの先生方と関われることで、学びも高まり、相談の窓口も多くなります。先生方にとっては、担当する教科が少なくなるので教材研究を効率よく行え、同じ授業を繰り返し行うことでより質の高い授業ができるようにもなります。これまで一人で指導すること、学級単位で活動することに慣れていた小学校の先生方にとっては、授業が固定化され自由度が少なくなることには葛藤があるようですが、学年の先生方の連携が深まったり、たくさんのこどもたちと関われたりすること等、多くのよさや成果も実感されているようです。
理科の先生の授業を見ていて、中学校のよさと言われる、専門性の高さや効率性のある指導、行き届いた準備を感じました。そして、さらにすごいなと感じたのは、中学校から来た先生が、小学校のよさと言われる丁寧な言葉かけやこどもたちの意見を生かしたり、自発的な動きを待ったりする指導をされていたことです。しかし、何より素晴らしいなと感じたのは、先生もこどもたちも笑顔が多く、楽しそうに実験に取り組んでいること、そしてこどもたちの学びの質が高かったことです。小学校のよさと中学校のよさと言ってきましたが、そこに担当する先生のよさが加わり、こどもたちのよさが生きることで、授業がよりよいものになっていくんだということを改めて実感しました。東京都教育委員会、そして大学の先生からも、本校の先生方の指導、実践を高く評価していただきました。
東陽小の先生方のチーム力、質の高い教科担任制の取組に、感謝の思いでいっぱいです。本区では、第四砂町小学校でも中学校の保健体育の先生が加配され教科担任制を実施し、成果をあげています。また、中学校の先生が加配されなくても、校内で工夫したり、本区独自の講師制度を活用したりする等して、教科担任制を行っている小学校も増えてきています。東陽小、四砂小の先進事例を、今後の小学校教科担任制の充実に生かしていきます。
江東区教育委員会教育長本多健一朗
お問い合わせ先
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください