「学校、今日行く！」～教育長の学校日記～

「つながり」こそが、私たちのふるさと 周年記念式典③

▲6年生は会場で、他学年はオンラインで参加	▲6年生代表児童による言葉
▲5年生「知ろう四砂、伝えよう四砂」掲示	▲本校の歴史の「つながり」の証

　第四砂町小学校の開校90周年記念式典が行われました。本校は、昭和9年第四砂町尋常小学校として開校しました。昭和19年には戦禍を逃れるため、児童は山形県赤湯町へ集団疎開を行いましたが、昭和20年3月に戦火により校舎は全焼し、翌年廃校となってしまいます。しかし、地域の皆様の熱い願いにより、昭和28年に復興を遂げます。

　太田校長先生に話を伺うと、開校90周年にあたり、学年ごとに、それぞれの視点から学校や地域を見つめ、全児童が自分たちのできることに取り組んできたそうです。5年生は、「知ろう四砂、伝えよう四砂」と題して、本校を常に支えてくださっている「よんすな小応援隊」の皆様から地域の歴史を学ぶとともに、主体的に調べ学習も行い、気付きや発見を工夫して、まとめました。6年生は、実行委員会を組織して、学校や地域の歴史のみならず、自分たち自身のことについても見つめ直しました。そして、それらの学びを基に、全校での90周年記念集会を創り上げました。私は、集会に参加することはできなかったのですが、準備や当日の動画を見せていただき、6年生の企画実践力と集会のクオリティの高さ、先生方も合わせたチーム力の素晴らしさを感じました。集会は劇仕立ての謎解きストーリーになっていて、「消えた校歌を探せ～過去から現在、そして未来へ～」というタイトルが付いています。

　記念式典でも、6年生は大活躍でした。6名の児童が代表で言葉を述べました。その言葉は、90周年で様々なことを学び感じた、児童のストレートな思いの表現でした。最初の児童が、東京に「ふるさと」はあると思いますか？と全児童に問いかけ、実行委員として活動することを通して、本校が「つながりを大切にする学校」だと気付いたことを話しました。そして、他の児童が、気付いた3つの「つながり」について紹介しました。

　1つ目が、「6年生からのつながり」です。自分たちの中に芽生えた6年生として成長と、先輩方からのつながりについての話でした。2つ目が、「地域の方々とのつながり」です。読み聞かせや学習等、様々なことでお世話になっていること、そして、自分たちのことをよく見ていて、温かい声をかけてくださっているという話でした。私は、6年生に「挨拶の声が小さいよ、下級生は見ているんだよ」とか、学校の帰りが遅い時には、「今日は何かあったの？」と、声をかけてくださったというエピソードに、改めて本校の地域の方々が真剣に児童のことを考えてくださっているなと感じました。3つ目は、「本校を支えてきてくださった先生方や職員の皆さんとのつながり」です。これは、戦時中、山形への学童疎開の際に引率してくださった先生方と今の先生方に相通じる「責任ある姿」についての話でした。「先生方を見習いたい」という言葉に、胸が熱くなりました。

　そして、具体的に形として残っている山形の「花笠音頭」、6年生が下級生のために作る「雑巾」、縦割り班で代々続く「ゼッケン」に触れて、最後に「ふるさと」は何か考えられましたか？と再度問いました。6年生の出した答えは、本校にとっての「ふるさと」は、これらの「素敵なつながり」だということでした。まさにそのとおりですね。会場全員で歌った「ふるさと」は、心にしみました。

　第四砂町小学校開校90周年おめでとうございます。開校90周年事業実行委員会、よんすな小応援隊、PTA、地域、教職員の皆様、ありがとうございました。本校の過去から現在への「つながり」は、この地域にこの子たちがいる限り、100年、150年と必ず未来へつながっていく。そんな思いを確信しました。

江東区教育委員会　教育長　本多健一朗