「学校、今日行く！」～教育長の学校日記～

こどもたちが目を輝かせて、前のめりになって問題解決に挑む授業

▲授業への集中度はマックス！早く実験がしたい！	▲ポリ袋に入れた泥岩を細かくしていきます
▲「細かくしても、重さは変わらなかった！」	▲Chromebookに結果を入れて、送ります
▲みんなの結果もすぐ確認できます！	▲小中、約90名の先生方で研究を深めました

　今日は水曜日、Challenge Wednesdayです。江東区立小学校・中学校・義務教育学校の先生方は、それぞれ専門とする教科等の研究に取り組む日でした。私は、小学校・義務教育学校前期課程で理科を専門に研究している理科部会の先生方の提案授業が行われる有明西学園を訪問しました。今回は、中学校・義務教育学校後期課程の理科の先生方も参加して、大規模な理科の研究会となりました。

　今日の授業は、3年生の理科「ものの重さ」の授業でした。皆さんは、ボール型の丸い粘土を細長く伸ばしたら、重さはどうなると思いますか？または、小袋に入ったおせんべいを細かく砕いたら、重さはどうなると思いますか？今日の授業で3年生の児童が実験をしながら追究したのは、「物は、形が変わっても重さは変わらない」ということです。

　本学級の児童は、前の時間に粘土の形を変えて重さを比べてみて、実験の結果から、形を変えても重さに変化はないことが分かりました。しかし、そこで新たな疑問が生まれました。「もっと細かくしても重さは変わらないのだろうか？」児童の中に、「もっと細かくすれば、軽くなるのではないか？」、「いや、細かくしても変わらないはずだ」等、異なった考えが生まれます。「じゃあ、調べてみようよ！」そこで、今日の実験です。

　授業開始の挨拶をして、担任の先生に向かっている児童たちの表情、目の輝きがすごいんです。「実験して、絶対に明らかにするぞ！」そんな意欲がメラメラと伝わってきます。まさに、前のめりになって授業に臨んでいます。今回は、児童の「もっと細かくしたらどうなるか調べてみたい！」という思いを受けて、先生が用意したのは、「多摩川沿いで拾える泥岩」です。泥岩は文字通り、砂より細かい泥が固まった堆積岩です。担任の先生の熱心な教材研究にあっぱれです。さあ、予想を立てます。「細かくなるんだから軽くなる」、「細かくなっても変わらない」ほとんど同数です。「どっちかなあ？」そんな状況が、児童の調べたいという思いを高めていきます。予想の根拠を述べ合い、安全の確認を行って、さあ実験開始です。

　この実験で大事にしなければならないのは、始めと終わりの重さを正確に測ること、途中で物（泥岩）が外にこぼれないようにすることです。児童は、密封できるポリ袋に入れて慎重に電子天秤で測っていました。泥岩は棒で丁寧に砕いていきます。その見事に粉々になることに児童は驚きながら実験を進め、結果をChromebookに記録し、オクリンクというアプリで全員の結果を共有します。中学校の先生方は、3年生が手際よく端末を扱って学習していることに驚かれていました。端末は学習に欠かせない当たり前の文房具となっています。実験は、ほとんどの児童の結果が、「重さは変わらない」となりました。「軽くなるだろう」と思っていた児童にとっては、驚きの結果です。しかしながら、少し違った結果もあったことから、協議の末、再度詳しく調べてみようということになりました。

　この3年生の学習は、5年生の「物が水に溶けても、水と物とを合わせた重さはかわらない」、中学2年生の「化学変化の前後で全体の質量は変化しない（質量保存の法則）」などにつながっていきます。今回、児童が泥岩を細かく砕いて、粉のように小さくしても重さが変わらなかったことは、貴重な学びとして児童の心に刻まれ、その後の学習につながっていくと思います。本校の3年生、児童も先生も素晴らしかったです！

　こどもたちが目を輝かせて夢中になって何かに取り組む姿っていいですよね。理科で言えば、抱いた疑問を何とか解決しようとして観察や実験を通して問題解決（中学校では科学的に探究）している姿です。江東区立学校の先生方は、小・中学校の枠を越えて、児童・生徒の学びを深めるために、よりよい授業づくりに取り組んでいきます！

江東区教育委員会　教育長　本多健一朗