ホーム > こども・教育 > 教育委員会 > 「学校、今日行く!」~教育長の学校日記~ > 令和5年度(2023年度)発行号 > 4月14日 たいせつなものが、ここにはある ~自然にたっぷり触れる~
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更新日:2023年4月19日
▲「つばめいけ」からたくさんのことを学びます |
▲あっという間に秘密基地のような家が完成! |
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▲虫との関わり方もみんな上手です |
▲鯉のぼりの下で思い切り遊ぶ姿もいいですね |
暖かくなってきました。ジャケットも、もう暑いくらいです。今日は、午後に少し時間ができたので、新年度がスタートしたばかりのつばめ幼稚園に行ってきました。もう必要ないかなと思いながらも、幼稚園専用のライオンマスクをポケットに入れて出かけました。
年中さんはまだ午前保育の期間なので、午後の園庭は年長さんが独占しています。円を描いてドッジボールをする子たちを気持ちよく泳ぐ鯉のぼりが見守ってくれていました。ウッドデッキでは、春の風を受けながら3人でお絵描きをしています。「花子さん(きっと、トイレにいるという…)」を話題にしながら、「怖くな~い!」と笑顔で言い合って、一緒にお絵描きをしていることを心から楽しんでいました。一緒にいる心地よさを楽しんでいる様子を見ているだけで、こちらもうれしくなってきます。
つばめ幼稚園には、2年前に、幼児がたくさんの大人の方々に協力してもらい、自分たちでいろいろと調べたり、考えたりしながら、みんなでつくり上げたビオトープがあります。特に、みんなで穴掘りをした「つばめいけ」はその中心的存在で、幼児も大好きです。今日も、何人もの子が橋の上にしゃがんで、池をのぞき込んでいます。神谷園長先生に話を伺うと、年長さんはこれまでの経験で、太陽の光が池に差し込む日は生き物が見つけやすく、今日のように光が弱い日は生き物を探すのが難しいこと、池の水が濁ってしまうとさらに見えにくくなること等をちゃんと理解しているとのことでした。じっと水面?水中?を見つめるその姿は真剣そのものです。
そんな時です。プラスチックざるで、そーっと池の水をすくった子が、「何かいた~!」と叫びました。近くにいた子たちは、ざるの中をのぞき込みます。私にはまったく見えませんでした。すると、見つけた子は「ヤゴだ~!」と喜びの声を上げると同時に、近くにいた私の両肩に手を乗せて、喜びを全身で表しました。思わず、私もうれしくなってしまいました。「どこにいるの?」まったく見つけられない私が聞くと、丁寧に「ここ、ここ」と教えてくれました。何と、全長1cm程でしょうか。それもすごくうすい緑色なんです。見つけた子に「あっぱれ!」ですね。
近くの園庭では、ござを敷いて3人の女の子が仲良く座っています。よく見ると腕の上に小さな虫が動いています。一人の子が「これ、ワラジムシ」と言うと、隣の子が「さわるとまるまるのがダンゴムシ」と説明を加えます。かと思うと、今度は遠くで「カメムシ~!」と言う声が聞こえました。本園の幼児たちは、昆虫博士かこどもナチュラリストかという感じで、みんないろいろと詳しいんですね~。さすが、毎日ビオトープに関わっているだけのことはありますね。本園は、そんな実践を生かして、今年度から「みんながつながるようちえん~自然との関わりを通して~」というテーマで、本区の研究協力園として研究に取り組みます。主体的な子、自然大好きな子が多い本園ですから、すごく楽しみですね。ちなみに、私は理科を専門としておりまして、昆虫大好き、生き物大好きなんです。夏になれば、オニヤンマを追いかけて、冬になれば野鳥を観察に行きます。
そろそろ帰ろうとしたら、さっきのヤゴを見つけた子が私を呼んでいます。どうも、既に水槽を用意して、ヤゴの名前も「のこっち」と決めたそうです。水槽にはビオトープの水と水草も入っています。これもさすがです!どの学校や幼稚園でも、ヤゴはだいたい羽化寸前の大きくなったものを水槽に入れて、羽化のきっかけの棒を入れて観察することが多いんです。こんなに小さいヤゴを育てていくのは難しいことでしょう。でも、きっと幼児たちは、ここからいろいろと調べたり、先生と相談したりしながら、「どう育てるか」を悩みながら考えていくんでしょうね。ビオトープをつくった本園の幼児、先生たちならではの、「自分たちの正解」を見つける取組がここから始まります。わくわくしますね。
帰りに、「トンボになりそうになったら教えてね」と話すと、「電話するね!」と答えてくれました。また、一人友達ができました。江東区立幼稚園には、「たいせつなもの」がたくさんあります。今日は、「自然にたっぷり触れる」ことの大切さを幼児の姿から感じることができました。
江東区教育委員会 教育長 本多健一朗
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