7月9日「教育長の学校日記」
プロ教師は、授業力を高める努力を怠らない
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【1年理科】水上置換法で気体を集める | 【1年理科】端末とモニターを活用して |
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【1年家庭】授業の課題をつかみ、見通しをもつ | 【1年家庭】端末で考えを共有する |
今日は、江東区立中学校・義務教育学校後期課程のすべての先生方が一斉に授業研究に取り組む、「中学校教科交流授業研究の日」です。江東区全域で20人の先生方が16校で授業を公開してくださり、江東区中の先生方がそれぞれの地域や教科に分かれて、公開授業を基に研究協議会を行いました。これだけの規模で、一斉に授業研究に取り組んでいるのは江東区ぐらいではないでしょうか。授業をされた先生方、指導助言を担当された先生方、協議会や会場の準備をしてくださった先生方、職員の皆さんに心より感謝です。
私は、深川四中で行われた理科と家庭の授業を参観しました。今回、私が見た2つの授業は、まだ経験の浅い、若手の先生方の授業でした。7月8日の学校日記に、「挑戦なくして成長なし」という言葉を紹介しましたが、教師の授業も同じです。授業研究に挑戦し、多くの先生方に見てもらい、助言や意見をいただくことで多くのことを学ぶことができ、自分自身の成長につながります。何より、挑戦を通して授業力を高めることは、生徒たちのためになります。私も若い頃にたくさん授業研究に取り組みましたが、1つ1つの授業を今でも克明に覚えています。そして、忘れられないのは失敗の数々です。
理科も家庭も1年生の授業でした。少し前まで小学生だった生徒たちですが、どちらのクラスも落ち着いていてしっかりと学習に取り組んでいる姿、話す言葉にも成長を感じました。もちろん生徒自身の努力ですが、深川四中の先生方のご指導の賜物でしょう。
理科は「身のまわりの気体の性質」の学習で、これまでの様々な知識と技能を使って、謎の気体XとYを特定するという授業です。先生は、生徒たちが6年生の理科で学習した酸素と二酸化炭素の性質等を基に謎を解決できるように、そして自分たちで意欲的に実験に取り組めるように、「気体の正体を探る」と設定し、ワクワク感をもたせる工夫もされていました。さらに、理科の探究学習には欠かせない、単元を通した課題設定を、しっかりと生徒に主体的に取り組ませているのも素晴らしいと思いました。
家庭は、「衣服計画と必要な衣服の選択」の中の、既製服の選び方でした。好み、デザイン、サイズ、価格、流行、メーカー、原産国、手入れ方法、素材(繊維)、着用目的、着心地、色という項目について、「重視する」から「重視しない」まで段階的に評価していくという学習でした。友達と意見交換をしながら、それぞれの重視する項目の違いに気付くとともに、自分の服を買う場合と誰かにプレゼントする場合では、自分自身でも重視する項目に違いが出てくることにも気付いていました。生徒たちは、外国産も最近は質が高いからか、原産国はまったく重視しないようでした。また、誰かにプレゼントするとなると、自分に買う場合には重視していなかった価格を重視する生徒がいました。理由を聞いてみると、「(プレゼントは自分のお金で支払うので)高い物は買えません」ということでした。なるほど…。授業作りには、他校の家庭科の先生も協力してくださったようですが、自分に買う場合と他者を意識してプレゼントする場合という比較はよかったですね。中には、授業者の先生へのプレゼントを考えている生徒もいて、優しさにほっこりしました。
今回、どちらの授業でも学習端末を学習の記録、友達との意見共有に当たり前の文房具として活用されていたのはよかったです。今後は、さらに有効な活用方法についても研究できるといいなと感じました。授業後の協議会では、助言者や多くの先生方から貴重な意見や提案があり、参加者の学びをさらに深めることができたようです。
「中学校教科交流授業研究の日」で、江東区中の中学校・義務教育学校後期課程の先生方が研究を深められたことはとてもよかったです。「プロ教師は、授業力を高める努力を怠らない」のです。私も学ぶことが多かったです。今回、授業をされたすべての先生の挑戦に拍手ですね。しかし、私が見た授業の2人の先生、堂々としていて感心しました。実は、私は教師1年目の理科の研究授業で、思わず自分で答えを言ってしまうという大失敗をした経験があります。まさに、「失敗と書いて成長と読む」です。
江東区教育委員会教育長本多健一朗
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