中央防波堤埋立地の帰属について
中央防波堤埋立地は、長年にわたり帰属が決まっておらず、江東区と大田区がそれぞれ全島帰属を主張してきました。江東区としては、中央防波堤埋立地がごみの埋立処分に伴う江東区民の多大な忍耐と犠牲の上に造成されたという歴史的経緯を根拠として主張を展開してきました。平成28年4月からの部課長級協議、そして平成29年10月の東京都自治紛争処理委員による調停、さらには調停を不服とした大田区の提訴により、最終的には司法の場である東京地方裁判所において争われることとなりましたが、令和元年9月の第一審判決を両区が受け入れたことから、約半世紀にわたった帰属問題がようやく終結することとなりました。判決により帰属した土地は、国・東京都・民間事業者等と連携し、区民の皆さんとともに持続的に発展するまちづくりへの活用を目指します。
中央防波堤埋立地造成に係る歴史的経緯とごみ問題
昭和に入り、江東区地先が次々とごみの埋立処分場として使用され、江東区は、東京23区のごみの終末処理をこれまで全て負ってきたと言っても過言ではありません。
14号地(夢の島)、15号地(若洲)におけるごみの埋立てにより、悪臭やハエの大量発生、1日に5、000台を超えるごみ運搬車による交通渋滞、ごみや汚汁の飛散などのごみ問題は、長年にわたり江東区民を苦しませてきました。
15号地(若洲)の次の終末処分場として、中央防波堤埋立地が計画され、これに対し江東区は、江東区地先以外の水面を提唱し、厳しく抵抗しましたが、大局的な見地に立ちやむを得ず同意しました。引き続き、終末処理に向かうごみ運搬車は、江東区を通過しなければならず、区民に多大な負担を強いることとなりました。
内側埋立地
東京都は、15号地(若洲)の次の処分場として、中央防波堤内側を提案してきました。当時、江東区は、分散投棄を主張し続け、江東区地先以外の水面を提唱し、厳しい抵抗を行ってきました。しかしながら、昭和47年6月に大局的見地に立って、他区の清掃工場の建設に地元の了解が得られない場合は中断するなどの条件付きで同意しました。
外側埋立地
東京都は、中央防波堤内側埋立地の次の処分場として、中央防波堤外側を提案してきました。江東区は、引き続きごみ公害等で大きな負担を強いるものとして反対表明をしましたが、昭和49年3月、他区の清掃工場建設を目標年次内に完成することなどの条件付きで同意しました。
中央防波堤埋立地における事務処理
昭和48年に内側埋立地について、昭和63年に外側埋立地について、当時帰属を主張していた5区(江東区、中央区、港区、品川区、大田区)で締結した覚書に基づき、建築確認などの特別区が処理する事務については、全て江東区が処理してきました。
東京地裁判決の確定(令和元年10月5日)
令和元年9月20日の判決では、以下のとおり判示されました。
- 境界の確定にあたっては、両区の現在の水際線からの距離を基準とする「等距離線主義」を採用
- 歴史的沿革は、両区にとって有利に働くものではなく、等距離線を基礎としながら適宜修正することで境界を確定
- 適宜修正の具体的内容としては、海の森水上競技場を江東区に全て帰属とする一方で、埠頭用地と港湾関連用地は一体管理すべきとして大田区に帰属
- その結果、地積割合は江東区79.3%(約399.0ha)、大田区20.7%(約104.2ha)
この判決に対し、江東区は、中央防波堤埋立地がごみの埋立処分に伴う江東区民の多大な忍耐と犠牲の上に造成されたという歴史的経緯が評価されなかったことは、誠に遺憾であるとした上で、以下の考えに基づき、決して判決内容は全て納得できるものではないものの、断腸の思いで、そして、大局的な見地から、令和元年9月26日に判決を受け入れることとしました。
- 司法において、江東区に約8割を帰属させるとの判断が示されたことは、重く受け止めるべき
- 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会までに早期解決を図ることは大田区との固い約束である
- 裁判の長期化による都民・区民の血税の浪費は決して許されるものではない
- 早期に帰属を決定することで、次の世代に夢を託す第一歩を踏み出すことこそが何よりも重要
また、大田区も令和元年10月3日に判決の受け入れを表明したことにより、判決が確定し、中央防波堤埋立地の帰属問題は歴史的な終結を迎えることとなりました。
帰属問題をめぐるこれまでの経緯
平成13年4月 関係5区(江東区、中央区、港区、品川区、大田区)による帰属に関する協議会・検討会設置
平成14年12月 中央区、港区、品川区が帰属主張を取り下げることを確認
- 江東区及び大田区は、帰属問題について別途協議すること
平成28年3月 両区長による会談
- 東京2020オリンピック・パラリンピック大会開催前までには解決すること
- 部長級協議を再開すること
平成28年4月~平成29年5月 両区の担当部長による協議を再開(全9回)
平成29年6月 両区長・議長による会談(PDF:371KB)(別ウィンドウで開きます)
- 両区で東京都に調停申請すること
- 自治紛争処理委員による合理的な勧告案については受諾することを前提とすること
平成29年7月 東京都自治紛争処理委員による調停を申請(PDF:283KB)(別ウィンドウで開きます)
平成29年8月 東京都自治紛争処理委員の両区長・両議長への事情聴取
平成29年10月 東京都自治紛争処理委員による調停案の受諾勧告(PDF:400KB)(別ウィンドウで開きます)
平成29年10月 調停案受諾
平成29年10月 大田区が調停案不受諾の上、地方裁判所へ境界確定請求事件を提訴(PDF:333KB)(PDF:333KB)(別ウィンドウで開きます)
平成29年11月 東京都自治紛争処理委員による調停打ち切り(PDF:210KB)(別ウィンドウで開きます)
平成30年1月 第1回口頭弁論
令和元年6月 第7回口頭弁論(結審)
令和元年9月 第一審判決(PDF:258KB)(別ウィンドウで開きます)
令和元年9月 第一審判決受け入れ(PDF:579KB)(別ウィンドウで開きます)
令和元年10月 大田区が第一審判決受け入れ(判決確定)(PDF:82KB)(別ウィンドウで開きます)
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