食品衛生ニュース最新号について
令和6年東京都の食中毒発生状況
令和6年に東京都で発生した食中毒は、111件(患者数1,511名)でした。令和5年に比べると事件数で26件減少、患者数は633名増加しました。
病因物質ごとの事件数と患者数の発生状況は次のとおりです。
【事件数】
1位:ノロウイルス➡34件
1位:アニサキス➡34件
3位:カンピロバクター➡25件
【患者数】
1位:ノロウイルス➡1,035名
2位:ウエルシュ菌➡164名
3位:カンピロバクター➡148名
令和6年江東区の食中毒発生状況
令和6年に江東区では8件の食中毒が発生しました。病因物質の内訳は、アニサキス5件、カンピロバクター2件、ノロウイルス1件でした。
今回は、病因物質毎に食中毒事例と予防のポイントをご紹介します。
令和6年江東区内食中毒事例
【アニサキス】
〈概要〉
令和6年9月、区外事業者から「当店で購入した刺身等を喫食した江東区内在住の客から、医療機関でアニサキス虫体を摘出したとの連絡があった」との届出がありました。
〈原因〉
当該施設はペン型のブラックライトを当てて、アニサキスを目視確認し除去していましたが、冷凍処理は行っていませんでした。
【カンピロバクター】
〈概要〉
令和6年10月に区内飲食店を4名で利用し焼き鳥等を喫食したところ、2日後から3名が体調不良になったとの届出が江東区保健所にありました。
〈原因〉
カンピロバクターに汚染された鶏肉を加熱不十分な状態で提供したことが原因と考えられました。
【ノロウイルス】
〈概要〉
令和6年12月、区内医療機関から食中毒疑いの届出がありました。また、同じ飲食店を利用した2グループからも複数名が体調不良を起こしている、との届出が江東区保健所にありました。
〈原因〉
従業員の中に発症していた者やノロウイルスの健康保菌者がいたことから、調理従事者の手を介して食品が汚染されたと推察されました。
予防のポイント
【アニサキス】
冷凍(-20℃24時間)
加熱(70℃以上もしくは60℃1分)
目視で確認してアニサキスを除去
新鮮な魚を選び、速やかに内臓を除去
(注釈)目視での確認や内臓除去はアニサキス食中毒のリスク低減につながりますが、最も効果的なのは冷凍と加熱です。
【カンピロバクター】
食品の中心を75℃1分以上の加熱
調理器具の使い分け(肉、魚、野菜等で専用の物を用意する)
使用後に器具を洗浄、消毒
【ノロウイルス】
ノロウイルス食中毒予防4原則
ウイルスを「やっつける」「持ち込まない」「ひろげない」「つけない」
石けんによる手洗い(調理前、トイレ後、下処理後等)
食品の中心を85~90℃90秒以上で加熱
使用後の器具を洗浄後、熱湯や次亜塩素酸ナトリウムで消毒(注釈)アルコールは効きません
食品工場・飲食店の害虫対策
害虫は見た目の不快さもさることながら、菌やウイルス等の病原菌を媒介する可能性もあります。衛生面からもしっかりとした対策が必要です。
害虫をよく見かけるのは夏ですが、春から、害虫たちの活動が活発になります。一度、店舗へ侵入してしまうと駆除が難しく、夏に大発生する原因になります。気温が上がり始める時期から侵入対策と発生対策に取り組みましょう。
飲食店や工場に発生しやすい害虫
ハエ、ゴキブリ、蚊、蛾、蝶、アリ、ムカデ、ヤスデ、ユスリカ、チョウバエ等。
外部からの侵入経路
外部からの侵入経路には、主に3種類あります。
ドアや窓等を開けた際に飛来侵入する。(ハエや蚊等)
店舗の床や壁等を這って侵入する。(ゴキブリやアリ等)
原材料や段ボール、衣服に付着して侵入する。(害虫全般)
内部の繁殖
虫は外部から侵入するだけでなく、店舗内部でも繁殖して数を増やします。
水回り等の湿気が多い場所は定期的に水気を拭き取り衛生状態を保たなければ、虫の繁殖場所となってしまいます。
また排水溝等はゴミが残り、虫の餌となるため、入念なチェックが必要です。
予防のポイント
飲食店や工場の害虫発生を防ぐために、次の3つのポイントを押さえましょう。
- 害虫が侵入しやすい場所を特定する
外部からの侵入対策をする際は、施設ごとの状況をよく確認しましょう。
ドアの開放頻度、窓の開閉・換気方法
納品時の検品環境
調理場内で検品することや、出入りの頻度が多いドア等は、害虫の侵入リスクが高くなります。このような場所について従業員に周知しましょう。
- こまめな清掃
施設内部で虫の繁殖を防ぐには、虫の発生源となりやすい部分を重点的に清掃することが効果的です。具体的には以下のような場所を清掃しましょう。
〇排水溝
〇ベルトコンベアの裏側とサイド部分
〇配管の細部
〇シンク下
普段はなかなか目に付かない場所に虫が繁殖するため、定期的な清掃は欠かせません。
- 隙間を塞ぐ
天井や壁に破損部分がある場合は、早めに修理しましょう。害虫が侵入できるような隙間(換気扇の隙間やエアコンのドレーン等)がないか、細かいところまで確認しましょう。
『くるみ』アレルギー表示義務化~移行期間がまもなく終了~
令和5年3月9日に「くるみ」のアレルギー表示が義務化されました。そこから約2年間設けられていた移行期間が、令和7年3月31日に終了します。
令和7年4月1日以降に製造する「くるみ」を含む製品等は、必ず表示をしてください。
ポイント
- 移行期間が終了しても、令和7年3月31日以前に製造された製品等は販売可能です。
- 「くるみ」と同じクルミ科のペカンは、「くるみ」と交差反応が認められる場合があることから、ペカンを含む加工食品、添加物について、一括表示枠外に「本品はペカンを含んでいます。くるみアレルギーの方はお控えください」等の注意喚起を行うことを消費者庁は推奨しています。
今後のアレルギー表示の動向
- カシューナッツ
表示推奨から義務化へ移行(特定原材料に準ずるもの⇒特定原材料)
- ピスタチオ
表示推奨に追加へ(特定原材料に準ずるものに新たに追加)
➡それぞれ令和7年度中に正式決定予定です。
ナッツ類の動向は今後も要注目
食生活の変化に伴い、カシューナッツ、ピスタチオに限らず、ナッツ類は今後も義務化・推奨への追加が予想されます。動向に注目しましょう。
市販食品のアレルギー検査結果について
江東区保健所では毎年、区内に流通している食品のアレルギー物質検査を実施しています。
今年度も、16検体を検査しましたが、表示にないアレルギー物質は検出されませんでした。
バックナンバー
- 食品衛生ニュースNo.125(PDF:731KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.124(PDF:930KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.123(PDF:580KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.122(PDF:825KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.121(PDF:843KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.120(PDF:1,373KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.119(PDF:827KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.118(PDF:900KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.117(PDF:2,421KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.115(PDF:675KB)(別ウィンドウで開きます)
- 江東区保健所
関連リンク
- 東京都福祉保健局(外部サイトへリンク)(別ウィンドウで開きます)
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