食品衛生ニュース最新号について
正しい手洗いで食中毒予防
食中毒の原因となる、細菌やウイルスは身の回りの至る所に存在しており、これらは人の手指を介して食品に付いてしまいます。
また、少量でも発症してしまう細菌やウイルスがいます。これらを食品に付けないよう正しい手洗いを行い、食中毒を予防しましょう。
アルコール消毒だけでは不十分?
ノロウイルスは、アルコール消毒では十分な効果が得られません。そのため、正しい方法で手洗いを行い、細菌やウイルスをしっかりと洗い流すことが非常に重要です。
手を洗うタイミング
細菌やウイルスは様々なタイミングで手指に付いてしまいます。そこで、調理を始めるときだけでなく、下記の時には手洗いを行うことを心がけましょう。
- トイレの後
- 調理前
- 未加熱で提供する食品の調理前
- 肉や魚の調理後
- 作業の切り替わり時(例:下処理後、盛り付け前など)
- ゴミを捨てた後
塩素系漂白剤や洗剤の取り扱いに要注意!
塩素系漂白剤や洗剤の誤飲による事故が都内でも発生しています。江東区内の施設でも、食器用洗剤が残存したことによる事故が発生しています。適切に管理して、事故を防ぎましょう。
事例
【事例1】原因食品:次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする漂白剤入りの水
アクリル製ピッチャーに次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする漂白剤を希釈して入れ、漂白していたところ、それを知らない別の従業員が、そのピッチャーから水をグラスに注ぎ、客に提供した。
通常は金属製ピッチャーを使用することになっていたが、当日は忙しかったため、通常とは異なるピッチャーから提供したこと、漂白中のピッチャーに漂白中である旨を表示していなかったこと等が原因と考えられた。
【事例2】原因食品:コーヒーシェイク
客から注文があった時、コーヒーシェイクを作るドリンクミキサーを次亜塩素酸ナトリウム溶液で消毒していたため、ドリンクミキサーを洗浄をしてからシェイクを調理した。また、消毒に使用する次亜塩素酸ナトリウム溶液の濃度は、マニュアルでは200ppmに調製したものを使用することになっていたが、規定より濃い1,000ppmで消毒を行っていた。
マニュアルでは営業終了後に消毒することになっていたにもかかわらず、営業中に実施したため、洗浄が不足していたこと及び消毒薬を規定より濃くしていたことにより、コーヒーシェイクに高濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液が混入したと考えられた。
対策
【洗剤等を食品の空き容器に詰め替えない】
〇調味料の容器や飲料容器等に詰め替えると、食品と勘違いする場合があります。やむを得ず、洗剤等を食品の空き容器等に詰め替える場合は、誰でもわかるように「洗剤」等と大きく表示しましょう。
【洗剤等は食品と違う場所に保管する】
〇同じ場所に保管していると食品と洗剤等を間違えてしまう可能性があります。食品と洗剤等は違う場所に保管しましょう。
〇洗剤等は調理場内で置く場所を決めましょう。色々な場所に置かないようにしましょう。
【食器等を漂白する時は「漂白中」と表示する】
〇漂白剤等は無色透明のものが多いため、水と間違えやすいので、漂白する時は、調理している場所とは別の場所に保管し、「漂白中」等と誰でも分かるように表示しましょう。
【塩素系漂白剤は規定の濃度で使用する】
〇塩素系漂白剤を希釈する際は、目分量ではなく、きちんと測って使用しましょう。
テイクアウト・デリバリーを始める飲食店の方へ~食中毒予防のポイント!~
テイクアウト・デリバリーは、客席で提供する料理と異なり、お客さんが食べるまでに時間がかかることや、調理後に容器詰めするなどの作業が発生するため、食中毒のリスクが高まります。
加えて気温の高い夏は、細菌が増殖しやすく、さらに食中毒のリスクが高まります。
普段の衛生管理に加え、気をつけなければならないポイントを紹介します。
テイクアウト・デリバリーのポイント
お店の規模や調理能力(キャパシティ)にあった提供数にしましょう!
お店が本来調理できる能力を超えて調理を行うと、正しい衛生管理を行えず、食中毒を起こす可能性があります。厨房の広さ、従業員数や冷蔵庫の大きさなどを考慮し、無理のない範囲でテイクアウト・デリバリーを行いましょう。
メニューはテイクアウトに適したものにしましょう
〇刺身などの生ものは傷みやすいので避けましょう。
〇半熟卵、レアステーキなどのお肉の提供は、テイクアウト・デリバリーでは避けましょう。細菌やウイルスが増殖する可能性があります。
⇒テイクアウト・デリバリーのメニューは中心部まで加熱しましょう!
食中毒を発生させない工夫をしましょう
〇注文を受けてから調理を開始するなど、食品を食べるまでの時間を短くする工夫をしましょう。
〇食品の容器詰めは、厨房内の清潔な場所で行いましょう。
〇水気を切る、浅い容器に詰める(深い容器だと冷めにくくなる)など、食品が傷みにくくなる工夫をしましょう。
普段以上に温度管理を徹底しましょう
〇食中毒を起こす細菌は、20℃~50℃でよく増えます。この温度帯に食品が置かれる時間を短くしましょう。
〇調理した食品を冷ます場合は、小分けして速やかに10℃以下まで冷やしましょう。
〇温かいまま食品を提供する場合は、65℃以上で保温しましょう。
〇配達中や配達が終わった後も、食品の温度が上がらないように保冷剤等を使用するなど、工夫をしましょう。
「悪臭対策」していますか?
よくある悪臭苦情
事例1
「近所のカレー屋さんからのにおいが家まで来る。洗濯物にもにおいがついて困る。」
事例2
「最近、近所にできたそう菜の工場から、肉を焼いたにおいと煙が1日中来る。」
事例3
「隣のレストランの生ごみがにおう。ゴミ箱に蓋も無く、ネズミが来ないかも心配。」
注意!
食べ物のいいにおいでも、毎日同じにおいを嗅いだり、洗濯物ににおいが付くと苦情に繋がります。
におい対策の例
においの発生源を断つ
〇強いにおいの発生する作業内容、時間帯を見直しましょう。
〇換気扇や排気口、グリストラップを清掃しましょう。
においを消す
〇油煙除去フィルターや脱臭装置を取り付けましょう。
ゴミの管理を徹底する
〇ゴミ箱には蓋をして、保管時間を短くしましょう。
〇ゴミ置き場の温度を低く保ち、こまめに清掃しましょう。
ポイント1
新たに飲食店や食品工場をはじめる際には、周りの住宅やマンションの立地を考慮し、排気口の位置や高さも慎重に決めましょう。
ポイント2
換気扇や排気口、グリストラップの清掃について実施頻度をHACCPの衛生管理計画に盛り込み、清掃後は記録をとりましょう。
「カビ対策」していますか?
湿度が高くなるこれからの時期、カビの発生には十分に気をつけましょう。
カビ毒について
〇一部のカビは、「アフラトキシン」を生成します。カビ毒を含む食品を食べると食中毒を起こすことがあります。
〇カビ毒は熱に強く、加熱調理では分解されません。
予防のポイント
〇除湿をし、結露を防止しましょう。
〇開封後の食品は低温で保管しましょう。
〇定期的な清掃により、食品の残渣など、カビの栄養源となるものを除去しましょう。
〇ナッツ類はカビが生えやすいため、特に気を付けましょう。
バックナンバー
- 食品衛生ニュースNo.126(PDF:638KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.125(PDF:731KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.124(PDF:930KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.123(PDF:580KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.122(PDF:825KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.121(PDF:843KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.120(PDF:1,373KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.119(PDF:827KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.118(PDF:900KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.117(PDF:2,421KB)(別ウィンドウで開きます)
- 江東区保健所
関連リンク
- 東京都福祉保健局(外部サイトへリンク)(別ウィンドウで開きます)
お問い合わせ先
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください