食品衛生ニュース最新号について
腸管出血性大腸菌による食中毒が多発!
例年に比べ、腸管出血性大腸菌による食中毒が多く報告されています。
腸管出血性大腸菌による食中毒は、症状が重篤化すると死亡することもあります。
危険性を知り、適切な対策をして感染を防ぎましょう。
特徴
〇牛などの家畜が保菌している。
〇ベロ毒素を産生し、出血性の腸炎を起こす。
〇50個程度のごく少数の菌数で発症する。そのため二次感染リスクが高い。
〇熱に弱く、75℃、1分以上の加熱で死滅する。
〇夏季に患者が多くなるが、年間を通じて発生している。
症状
〇潜伏期間:平均4~8日
〇症状:激しい腹痛や血便、下痢など。急性脳症(けいれん、意識障害など)や溶血性尿毒症症候群(急性腎障害、血小板の減少、貧血など)を併発することがある。
基礎疾患のある人や、子ども、高齢者は重症化するリスクが高く注意が必要です。
主な原因食品
〇牛レバー刺し、焼き肉、加熱不十分なハンバーグなどの加工品、牛肉のユッケなど
〇二次汚染された食品(サラダ、浅漬けなど)
★牛レバーの生食は禁止されています。絶対にしないでください!
★生食用食肉を提供する場合は、「生食用」と表示のあるものを選びましょう!
★提供する前に、保健所への届け出が必要です!
危険です、肉の生食!リスクを知ろう!
腸管出血性大腸菌(O157など)
上記を参照してください。
カンピロバクター
家畜などの腸管に生息しています。特に鶏肉の汚染率が高くなっています。潜伏期間が2~7日と他の食中毒と比べ長い傾向があります。主な症状は腹痛、下痢、発熱です。
まれに、ギランバレー症候群(四肢の筋力が急激に低下するなどの症状)を発症することがあります。
サルモネラ
人や家畜の腸管や、河川などの自然界に幅広く生息しています。乾燥に強く、少量の菌で発症することが特徴です。食肉だけでなく、卵やうなぎ、スッポンなどが原因になりやすいとされています。幅広い食品で注意が必要です。
加熱が最も有効な対策です!
食肉に存在する菌は、熱に弱い傾向にあります。
75℃で1分以上、食品の中心部まで十分に加熱しましょう。
【加熱不足を起こさないために】
〇加熱後、食品をカットして断面を見て色が完全に変わっているか確認しましょう。
〇現在の加熱温度・時間で問題ないか十分に検証しましょう。
〇HACCPの衛生管理計画に、検証した加熱温度・時間を明記しましょう。
よくある間違った考え方
たたき、湯引き、炙っていれば安心
⇒食肉の深部にも菌は入り込んでいます。これらは十分な加熱とはいえません。
新鮮な食肉だから安心
⇒新鮮な食肉に存在する菌は、むしろ活発に活動していることもあります。
食中毒を引き起こす細菌・ウイルスの二次汚染に注意!
店舗での生肉の取扱いが悪いと、他の食品や調理器具をカンピロバクターなどの食中毒細菌で汚染させてしまう可能性があります(二次汚染)。下記のポイントを参考にして二次汚染を防ぎましょう。
二次汚染を防ぐポイント
調理器具は用途ごとに使い分ける
肉・魚・野菜用など、用途ごとに包丁・まな板を用意しましょう。
色や形で分ける方法がおすすめです。
作業場所・順番(作業動線)を工夫しましょう
生肉を扱う場所と加熱済食品などを扱う場所を分けると二次汚染のリスクは下がります。
分けることが難しい場合は、作業時間が重ならないようにしましょう。
使い捨て手袋の使用にはメリハリを!
食品を衛生的に取り扱うためのツールとして、使い捨て手袋がありますが、使用方法を誤ったり、過信すると、二次汚染につながります。
下記のポイントを押さえ、正しく使用しましょう。
- 手袋着用の前には必ず石けんを使って手洗いをしましょう。
- 着用時は、手袋の指先側を触らず、手首側から取って着用しましょう。(指先側の汚染リスクを下げるためです。)
- 作業内容が変わる時に手袋を交換しましょう。(次の作業への二次汚染を防ぐためです。汚れのついた手袋は清潔ではありません。)
冷蔵庫内での食品の配置を工夫しましょう
冷蔵庫内の調理済み食品や野菜・果物などが、生肉のドリップなどで汚染されないよう置き場所を工夫しましょう。また庫内を清潔に保つため、定期的に清掃しましょう。
調理済み食品が生肉などより低い位置にあると、ドリップによる二次汚染の可能性があります。
上段に調理済み食品、下段に生肉・生魚を配置するなど、置き場所を工夫した上で蓋つき容器などに入れて保管しましょう。
夏場フル稼働した機器をメンテナンスしましょう
製氷機
スコップを製氷機の中に入れっぱなしはNG!
手に持ったスコップを氷の中に入れたままにすると、そこから細菌などが侵入し、氷が汚染されます。スコップは、製氷機外の清潔な場所に保管しましょう。
製氷機内にもカビが発生します!
製氷機を開閉すると、調理場内の湿気が入り、それが霜となって製氷機や氷の表面に付着します。
この霜が溶けると湿気を生み出し、カビが繁殖しやすい環境を作ります。特に底面は水や外部からの汚れがたまりやすい場所です。
定期的に氷をすべて取り出し、ドアのパッキンや奥のファン部分まで、洗剤やブラシを使ってしっかり洗浄しましょう。
エアコン
エアコンを清掃して、カビを防ぐ!
エアコンはホコリがたまりやすく、結露も発生しやすいので、定期的な清掃をしないとカビが発生します。
カビを放置すると、空気中に胞子が舞い、食品に付着し、カビが生えやすくなります。
メーカーの取扱い説明書をよく読み、定期的に清掃しましょう。
そうすることで、カビや油等の嫌な臭いや、目詰まりによる空調能力低下を防止することができます。
換気扇・レンジフード
油汚れを放置は危険、清掃は夏場がチャンス!
油汚れは気温が高くなると取れやすくなるので、夏に清掃するのが最適です。
長期間放置すると、油が固まって取れなくなりますし、調理中の熱で溶けて食品に混入してしまいます。
また、引火して、火災の原因になる恐れもあります。油が固まる前に清掃しましょう。
定期的にレンジフードのグリスフィルターやオイルポットも取り外し、内部も洗剤で洗浄しましょう。
汚れ具合にもよりますが、1~3か月に1回清掃しましょう。定期的に清掃することで、ダクト内部に入り込む汚れを少なくすることができ、ダクトの汚れ防止や換気機能を保つことができます。
バックナンバー
- 食品衛生ニュースNo.127(PDF:413KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.126(PDF:638KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.125(PDF:731KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.124(PDF:930KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.123(PDF:580KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.122(PDF:825KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.121(PDF:843KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.120(PDF:1,373KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.119(PDF:827KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.118(PDF:900KB)(別ウィンドウで開きます)
- 江東区保健所
関連リンク
- 東京都福祉保健局(外部サイトへリンク)(別ウィンドウで開きます)
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