食品衛生ニュース最新号について
令和7年東京都の食中毒発生状況
令和7年に東京都で発生した食中毒は、134件(患者数1,308名)でした。令和6年に比べると事件数で20件増加、患者数は228名減少しました。
病因物質ごとの発生状況は次のとおりです。
病因物質別食中毒発生状況
【事件数】
1位:ノロウイルス47件
2位:アニサキス41件
3位:カンピロバクター27件
【患者数】
1位:ノロウイルス814名
2位:ウエルシュ菌175名
3位:カンピロバクター49名
仕入品や食材が原因の食中毒事例
汚染された共通の仕入品や食材が原因となり、広域に患者が発生するような食中毒が起きています。最近の事例を2つご紹介します。
事例1.ノロウイルスに汚染された大根おろしの事例
概要
令和7年9月、A県の保健所に「県内の飲食店を利用した複数名が、嘔吐や発熱等の症状を呈している」との連絡が入りました。その後、複数の自治体で患者の発生が確認され、患者発生施設はB系列12店舗、C系列10店舗、患者数は218名に上りました。
調査結果
当初、店舗ごとに個別に調査を開始し、患者検便からノロウイルスが検出されましたが、従業員からは検出されませんでした。そこで患者・施設調査に加え、食品の仕入先・製造者を詳しく調査したところ、B系列、C系列の店舗で共通して、加工施設Aが製造した大根おろしを仕入れていたことが判明しました。さらに、当該品の喫食と発症状況に有意な相関が認められました。
加工施設Aでは、非加熱食品の汚染リスクが軽視されており、適切な衛生管理が行われておらず、製造工程においてノロウイルスに汚染された可能性が推察されました。
結論
本件は加工施設Aで製造されたノロウイルスに汚染された大根おろしが原因の食中毒であると断定されました。
予防対策と注意するポイント
非加熱食品の場合は、加熱による殺菌を行うことができません。(加熱する食品の場合は、中心部が85~90℃に達してから90秒以上の加熱でノロウイルスを死滅させることができます。)この場合は細菌やウイルスをつけないことが大切です。
〇手洗いの徹底
適切な手洗いで、物理的に細菌、ウイルスを流しましょう。水を付けるだけ、石けんが泡立っていないような手洗いは効果がありません。
「石けんを泡立て、洗い、水で流す」を2回繰り返す2度洗いが効果的です。
〇使い捨て手袋の活用
手袋着用の前には必ず石けんを使って手洗いをしましょう。着用時は、手袋の指先側を触らず、手首側から取って着用しましょう。(指先側の汚染リスクを下げるためです。)
作業内容が変わる時に手袋を交換しましょう。(次の作業への二次汚染を防ぐためです。汚れのついた手袋は清潔ではありません。)
〇従業員の体調管理
適切な管理方法を衛生管理計画で定め、毎日記録を取りましょう。
事例2.腸管出血性大腸菌O26に汚染された肉による事例
概要
令和8年4月、E県の保健所に腸管出血性大腸菌O26食中毒疑いにかかる施設の調査依頼が入りました。その後、複数の自治体からも同様の調査依頼が入り、患者発生施設はE県内の同じ系列5店舗、患者数は9名に上りました。
調査結果
患者検便から腸管出血性大腸菌O26が検出されました。また、食材や調理工程等を調べた結果、患者が発生した5店舗でカットステーキに使用されている原料肉が、共通のセントラルキッチンで加工されたものであることが判明しました。原料肉は筋切り及び漬け込み処理が施されていました。
原料肉は筋切り及び漬け込み処理工程において、内部が腸管出血性大腸菌O26に汚染された可能性が高いと考えられました。また、各店舗ではステーキの加熱調理において、加熱時間及び中心温度の計測を行っておらず加熱不十分であった可能性がありました。
結論
本件は腸管出血性大腸菌O26に汚染された原料肉を加熱不十分な状態で提供したことが原因の食中毒であると断定されました。
予防対策と注意するポイント
〇中心部まで加熱する
食中毒を起こす細菌は、中心部が75℃に達してから1分以上の加熱で死滅させることができます。
「牛肉だから表面を焼けばOK。」は間違いです!!
味付けされている肉や、テンダライズ・タンブリング加工されている肉などは、肉表面の汚染・細菌が内部まで拡大している可能性があります。このような加工肉を中心部まで加熱せず提供すると、食中毒のリスクが非常に高いです。加工肉は、確実に中心部まで加熱しましょう。必要に応じて、取り扱っている肉の加工の有無を確認しましょう。
卸売を行っている方、これから行う方へ
一般飲食店ですぐにお客様に提供する食品とは違い、広域的に流通・販売する食品は、誤った取り扱いをすると大規模な食中毒に繋がります。卸行為や広域流通を行う場合は、適切な衛生管理を確実に行うようにしましょう。今一度、衛生管理計画(HACCPに沿った衛生管理)を見直してください。
テイクアウト・デリバリーの衛生管理
近年、テイクアウトやデリバリーを始める飲食店が増えています。注意点を再確認し、食中毒を事前に防ぎましょう。
〇テイクアウト・デリバリーに適したメニューを選定する
日ごろから調理している作り慣れたメニューの中から、直前に加熱するメニューを選びましょう。肉や魚、卵は中心まで十分加熱し、傷みやすい生卵や刺身等の生ものは避けましょう。
〇運搬時の温度管理に注意する
配達時は、菌やウイルスが増えないよう、クーラーボックスや保冷庫、保冷剤を用いて商品の温度が上がらないようにしましょう。また、保冷できているかは温度計を入れて確認し、温度と時間を記録しておきましょう。
〇購入者に注意喚起する
購入した商品は長期間保管せず、すぐに食べるように購入者に説明しましょう。シールを貼り注意喚起することも効果的です。
〇お店の処理能力を超えた注文を受けない
お店の規模(広さ)、従業員の数を鑑み、お店で1日に調理できる量を超えた注文を受けないようにしましょう。処理能力を超えた大量調理は、原材料や完成した商品の管理がとても難しく、食中毒のリスクが高くなります。
〇体調不良時には調理をしない
既に受けた注文であっても、体調不良時には調理をしないようにしましょう。
食品ロス削減に取り組みましょう
食品ロスは家庭だけではなく、飲食店等でも多く発生しています。
〇「ハーフ」「少なめ」メニューを導入
食べきれる量を、消費者が選べるようにしましょう。
〇期限の管理を徹底
材料等の「買いすぎ」に注意し、計画的に期限管理しましょう。
〇宴会時は幹事と相談
食べ残しが発生しないよう、メニューや量を事前に相談しておきましょう。
食べきれなかった食品を持ち帰ってもらうことも食品ロス削減につながります。一方、速やかに食べるように説明するなど、食中毒には十分に気を付けましょう。
バックナンバー
- 食品衛生ニュースNo.130(PDF:647KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.129(PDF:673KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.128(PDF:608KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.127(PDF:413KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.126(PDF:638KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.125(PDF:731KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.124(PDF:930KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.123(PDF:580KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.122(PDF:825KB)(別ウィンドウで開きます)
- 食品衛生ニュースNo.121(PDF:843KB)(別ウィンドウで開きます)
- 江東区保健所
関連リンク
- 東京都福祉保健局(外部サイトへリンク)(別ウィンドウで開きます)
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