文化財の調査と記録
調査と記録
文化財の保護は調査から始まるといえます。調査は文化財専門員によって行われます。調査された文化財は、文化財保護審議会の審議を経て江東区の文化財として登録・指定され、これらの記録は台帳として保管されます。
有形文化財・有形民俗文化財
文化財の種類については、「文化財の種類と範囲」で詳しく記しましたが、有形のものについては、江東区では石造の文化財が多く残されています。これは、この地域が江戸時代から幾多の災害に見舞われたことに深く関係しているといえるでしょう。しかし、石造文化財にも震災・戦災による火災などで痛みが激しいもの、地域の開発により移転を余儀なくされるものもあります。これらの文化財の現状を把握し、損なうことなく次代に伝えていくことは私たちの務めでもあります。
無形文化財・無形民俗文化財
形を持たない無形の文化財はとくに記録・保存が難しいといえます。伝統工芸技術などの無形文化財や民俗芸能などの無形民俗文化財は映像により記録しています。これらの映像はDVDで貸出しを行っています。また、森下文化センター(森下3)内の「工匠館(たくみのやかた)」や深川江戸資料館(白河1)内の「匠の粋品処(たくみのいっぴいんところ)」では、区内の無形文化財保持者による伝統工芸作品などを展示しています。
史跡
江東区の地域性をあらわすものとして河川や堀・橋、新田跡などが史跡として登録されています。また、著名人の住居跡や誕生の地および墓なども含まれます。江東区における史跡の考え方は、「遺構」が残されていない「旧跡」の概念を含んだものとなっています。
埋蔵文化財
埋蔵文化財とは、土地に埋蔵された状態にある文化財のことで、そのすべてを対象とします。埋蔵文化財の発見や調査は住宅建設などの土木工事に伴う場合が多いので、いろいろな問題を抱えています。江東区でも近年、住宅の建替えや大規模なビル建設が見られます。埋蔵文化財は国民の共有財産であり、貴重な文化遺産です。中世以降の土地の利用状況を把握し、遺跡の存在が予想される地域を限定していくことが急務であり、また課題でもあります。
旧大石家住宅
江東区に現存する最古の木造民家建築である旧大石家住宅は、歴史的に重要であるとして昭和61年に区登録文化財となり、平成6年に所有者である大石氏より区に寄贈されました。さらに同年3月に区有形文化財として指定されるとともに解体調査を行い、同8年区立仙台堀川公園(南砂5-24地先)内に保存のため移築復元されました。周辺地域の歴史や生活を伝える文化財として、土・日・祝休日には一般に公開されています。
旧大石家住宅
民俗調査と民俗資料収集
江東区には早くから都市化の波が押し寄せ、それに伴い人々の暮らしの様相も大きく変化しました。教育委員会では、暮らしの変遷を記録するために民俗調査団を結成し、区内に古くからお住まいの方に昔の話を伺う民俗調査を行ってきました。この調査団の団員には区民の参加もあり、これまでに貴重な聞取り調査の成果が得られました。
また、暮らしを支えてきた生活道具も生活の変化とともに姿を変えて、あるいは消えていきました。長い間区内やその周辺で日常の暮らしや生業に使用されてきた道具(民俗資料)の収集・保存も行っています。これらの民俗資料は昔の生活を知る手がかりとして、歴史と生活展などの展示や学校教育の場で活用されています。
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