文化財保護推進協力員
文化財保護推進協力員とは
江東区文化財保護推進協力員は、「江東区文化財保護推進協力員設置要綱」(以下、「要綱」という。)に基づき、文化財保護に関し、地域のリーダーとして活躍していただくために、江東区教育委員会が委嘱する民間協力員です。
先人たちが残した文化的遺産を保護し、後世に伝えることは、現在生きている私たちの責務です。そのためには、行政だけではなく、地域の方々の協力が必要です。協力員の方々には、文化財保護の大切さを地域社会に広げていただくことを期待しています。
文化財保護推進協力員になるには
文化財保護推進協力員(以下「協力員」という。)に応募するには、教育委員会が主催する文化財保護推進員講習会(以下「初級講習会」という。)の修了者を対象とする中級研修会を修了する必要があります。
そのうえで、区文化財保護審議会委員を中心に構成される文化財保護推進協力員推薦会によって委嘱予定者が選出され、その後区教育委員会から委嘱されます。
協力員は、居住地を基準とした4つの班(深川北部・南部、城東北部・南部)に分かれて活動を行います。任期は1期2年で更新は可能ですが、再度協力員推薦会によって選出される必要があります。

協力員会議の様子
文化財保護推進協力員の活動
文化財とひと言でいっても、建造物や石造物・絵画・古文書などの有形文化財、民俗芸能・工芸技術(職人の技)などの無形文化財というように、その種類はさまざまです。協力員活動の主眼は、このような文化財を保護し後世に伝えること(調査・記録)と、街のなかで一人でも多くの方に文化財の大切さを知っていただくこと(普及)です。
活動の基本となる調査・記録には、「有形文化財の現況確認調査」「定点観測調査(町並み変化の写真記録)」「文化財説明板の確認調査」があり、普及活動としては、「文化財講習会における文化財めぐりガイド」「民俗芸能大会での会場設営・案内・警備」「伝統工芸展での会場案内・警備」「新春民俗芸能の集いでの会場案内・警備」があります。
有形文化財の現況確認調査
現況確認調査は、登録文化財の現在の状態をスケッチ・写真・計測によって記録するものです。
現況確認調査の対象となるのは、登録文化財の石造物で、石碑や鳥居・燈籠・墓石などの屋外にある有形文化財です。調査対象の中には、文化財登録から今日までの間に所在地が移動していたり、損傷している場合があります。そこで、初級講習会で習得した調査技術を生かし、毎年1人1件を目安に調査を行い、現在の状況を記録します。
文化財を保存するためには、常に状態を把握しておく必要があり、協力員の活動が大きな力となっています。文化財登録時の調査と、現況調査の結果が異なる文化財については、調査担当の文化財専門員が改めて調査を行い、必要に応じて登録台帳の訂正等が行われます。

有形文化財の現況確認調査の様子
定点観測調査(町並み変化の写真記録)
定点観測調査は、私たちが住む江東区の町並みの移り変わりを写真によって継続的に記録する調査活動です。
具体的には、全体で約850か所ある定点(調査地点)を、各定点ごとに同じ方向を同じ画角で一定期間おきに撮影し、前回写真からの変化を読みとって記録していきます。各定点の撮影間隔は概ね数年ですが、定点によって特別な事情がある場合には撮影間隔を適宜短くするなどしています。
現在の江東区は、大規模なマンション建設の進行や豊かな水辺環境の整備など、大都市東京の中で住みよいまちづくりを推進していますが、その一方で都市開発によって地域の景観・町並みは大きく変化してきました。
この活動は、変貌著しい町並みの写真を、資料として後世へ伝え残すことに目的があります。
文化財説明板の確認調査
文化財説明板(以下「説明板」という。)は、文化財の説明を期した案内板です。江東区は震災や風水害といった天災や戦災に見舞われてきた歴史があり、文化財登録している史跡にも原形や遺構が失われたものが少なくありません。そのような文化財にとって説明板は、文化財の所在を示しその価値を伝えるものとして重要な存在です。説明板を適切な状況で受け継ぐことは、文化財を後世に伝えていくことに繋がるもので、「文化財を伝える」という重要な意味を持つものです。
調査では、説明板が安全な状態であるかや、板面が劣化していないか、文面に誤植がないかなどを確認して調査票に記録するとともに写真撮影を行います。
調査の結果、修理の必要があると判断された説明板については、建て替えや板面の更新といった修理を順次実施していきます。
文化財めぐり
文化財めぐりは、教育委員会主催の初級講習会のプログラムの一つとして行うもので、受講生への解説や誘導などを担当していただくものです。
コース設定や解説場所は、文化財専門員が中心となって決めます。解説内容は、中級研修会で学んだ文献調査の技術を生かし、協力員が自分で調べてまとめます。
民俗芸能大会での会場設営・案内・警備
江東区では、文化財保護強調月間中の10月に、民俗芸能の公開を行っています。公開される「木場の角乗」「深川の力持」「木場の木遣」「砂村囃子」「富岡八幡の手古舞」は、それぞれ江東区を代表する民俗芸能です。
民俗芸能の伝承のためには公開が不可欠であり、会場となる都立木場公園には毎年多くの人が訪れます。しかし、教育委員会の職員だけでは、設営や警備、来場した方の案内は行き届きません。そこで協力員が力を発揮することになります。民俗芸能の華やかな演技を、協力員が支えているといえます。

会場設営作業の様子
伝統工芸展での会場案内・警備
「伝統工芸展」は、文化財保護強調月間中に、職人さんたちの作品を一堂に展示し、実演公開や職人教室(技の体験)を行うものです。その会場案内と警備を協力員にお願いしています。
新春民俗芸能大会での会場案内・警備
例年1月下旬に開催する、新春民俗芸能の集いでは、民俗芸能大会同様に「木場の角乗」(記録映像上映)「深川の力持」「木場の木遣」「砂村囃子」「富岡八幡の手古舞」を公開しています。
こちらでも、会場案内や警備を協力員にお願いしています。
これからの協力員制度
「開発」と「破壊」は同じ意味を持つ場合があり、江東区の歴史を振り返ると、震災、戦災、そして戦後の高度経済成長によって多くの文化財が失われてきました。江東区で文化財を網羅・把握しようという登録制度が発足したのも、そのような歴史的背景があるからです。
文化財を失うということは、これまで人々が歩んできた記憶を失うということです。そこから、より良い未来を見据えることができるでしょうか。また、文化財の保護と活用を有効に展開しようとしても、行政だけではおのずから限界があります。そこで登場したのが協力員制度であり、「江東区の文化財保護は、区民の手で」というところに、その大きな特徴があります。いいかえれば、協力員活動そのものが、伝統と文化を引き継ぐ行為なのです。
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