文化財の保護と普及
調査・記録された文化財を次代の人々に引き渡すために保護・保存することはもちろん、今を生きる私たちが活用してこそ文化財本来の役割を果たすといえるでしょう。そのためには文化財を地域の人々に広く知ってもらうことが必要になります。江東区では文化財の保護・普及を目的として以下のような活動を行っています。
文化財保護強調月間
11月1日から7日までの1週間は、国で定められた「文化財保護強調週間」です。一人ひとりの国民に文化財を知っていただき、愛護の心を育てることをねらいとして、昭和29年(1954)に定められました。江東区ではこれをさらに推し進めて、昭和57年(1982)から、10月から11月にかけて「江東区文化財保護強調月間」を設けています。期間中は「歴史と文化を考えよう」をテーマに掲げ、民俗芸能大会、伝統工芸展、文化財講演会などの諸事業を開催し、ふるさと江東を知る機会としています。
文化財保護推進員講習会
文化財保護活動をより有意義なものとするためには、行政と地域住民とが一体になってその活動に取り組んでいくことが必要です。そのため、区内各地域における郷土史の学習や研究、伝統的文化活動、そして文化財愛護活動を推進する地域リーダーとなる「文化財保護推進員」を養成する目的で、昭和60年度から文化財保護推進員講習会を開催してきました。
この講習会では、私たちが住む町の歴史や文化財をはじめ、文化財調査の方法や技術、文化財愛護活動の現状や課題、文化財保護行政のしくみなどについて学びます。講習会を修了した方々には、それぞれの地域での活動、活躍が期待されます。
文化財保護推進員中級研修会
中級研修会は、文化財保護推進員講習会の修了者の中から、希望する人が参加する研修会です。内容は、ゼミ方式によるグループ研究で、図書館を活用した文献調査、地域史研究の方法とその技術を学習し、最後に報告書を作成します。研究テーマは、江東区の歴史、文化、民俗に関するものを取り上げ、研修生の話し合いで決定するのが原則です。
この研修会では、研修生が自ら調べ考えるという自主的な活動を重視し、それが、中級研修会修了後も、各自で地域学習・研究を継続していくための基礎となっています。報告書は、区内の各図書館で閲覧することができます。
文化財保護推進協力員制度
協力員には文化財保護の重要性を区民に広げてもらうことが期待され、その性格は「文化財保護に関し、江東区教育委員会の施策に協力するとともに、地域のリーダーとして啓発活動をすすめる民間協力員」として位置づけられています。
協力員の応募資格があるのは中級研修会修了者です。定員は48人で任期は2年です。具体的な活動内容は、1.有形文化財の現況確認調査、2.定点観測調査(町並み変化の写真記録)、3.文化財説明板の確認調査、4.文化財講習会での文化財案内、5.各種文化財公開事業への協力などです。「江東区の文化財保護は区民の手で」というところに協力員制度の大きな特徴があり、実際の活動では、ベテランと新人が力を合わせ、文化財保護の最前線で活躍しています。
旧大石家住宅友の会
旧大石家住宅は、江東区最古の木造民家建築で、江戸時代末に建てられました。その歴史的重要性から、昭和61年(1986)に区登録文化財、平成6年(1994)3月には区指定文化財となりました。この間、所有者の大石氏から寄贈を受けると、解体調査を行い、同8年に区立仙台堀川公園内(南砂5)に移築復原しました。
現在では、江戸時代の建築技術やこの地域の生活の歴史などを伝える文化財として、土・日・休日に一般公開しています。平日は「旧大石家住宅友の会」が保存のためのボランティア活動を行っています。友の会は月曜日から金曜日の5班に分かれ、住宅内外の清掃を行うなどの活動を実施しています。歴史的建造物の保護は、ただ残せばよいということではありません。そこに暮らす人々の息吹がなくなれば、建造物はすぐに朽ち果ててしまいます。友の会の人たちは、文化遺産を未来へとつなぐ役割を担っています。
出版活動
出版活動は文化財保護のための記録・普及活動として位置づけられます。
現在、以下の本が頒布されています。
『下町文化』
昭和56年(1981)の創刊以来、催し物案内、文化財の紹介など、文化財係の広報紙として多くの情報を提供しています。※無償
『江東区の文化財』(1~8)
区内を八つの地域に分け、文化財それぞれの解説・写真を掲載しています。
『江東区の民俗』(深川編・城東編)
昭和56年度から江東区民俗調査団に委託した民俗調査の成果がこの2冊にまとめられています。
『江東区の伝統工芸技術』
区内の工芸技術とその保持者を一覧できるものです。
『ゆこうあるこう こうとう文化財まっぷ』
文化財などの所在案内や多くの写真、錦絵を掲載したガイドマップです。文化財めぐりなどの際に手軽に持ち歩けるため、便利です。
『江東ふるさと歴史研究』(1~7)
区民の研究発表の場として設けられたものです。
『江東区文化財研究紀要』(1~23)
文化財専門員や研究者の研究成果を掲載しています。
『寛永録』(1~7)※1は絶版
深川猟師町八か町の一つ相川町の名主であった相川家に伝来した江戸時代の古文書を翻刻した史料集です。
『牧野家文書』(1~5)
亀戸の旧家、牧野家に伝えられた古文書を翻刻した史料集です。
『中川番所資料集』(1)
中川船番所資料館開館五周年を記念して刊行しました。中川番所でのさまざまな取り決めなどが記された「中川御制札記」(三重県伊勢市神宮文庫所蔵)を活字に直して紹介しています。
『東都三十三間堂旧記』(1~6)
深川にあった三十三間堂の堂守鹿塩家の当主による記録で、内容は管理や補修をめぐる幕府とのやりとりや、深川の盛り場や町の様子などが詳しく記されています。
『江東のいまむかし』
昭和30年代を中心とした町並み写真と現在の写真を掲載したもので、『江東古写真館』の後継の写真集です。
『絵葉書で見る江東百景』
既刊:(「深川公園」「花の名所」「震災復興」「臨海地の記憶」「大洪水」「復興小学校」)
戦前の絵葉書を集めたものです。
『深川と渋沢栄一』
明治9年(1876)から21年(1888)の間、深川福住町(現・永代2)に住んだ渋沢栄一と当時の江東区域との関わりについてまとめています。
これらの出版活動をより充実したものとするため、郷土資料出版委員会を設置しています。
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