文化財の種類と範囲
文化財の種類
次に「文化財保護法」で保護の対象となっている文化財の種類を見てみましょう(「文化財保護法」第1章第2条など)。
文化財 |
有形文化財 |
建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で我が国にとって歴史上又は芸術上、価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料。 |
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無形文化財 |
演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で我が国にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの。 |
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民俗文化財 |
衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で我が国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの。 |
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記念物 |
史跡 |
貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で我が国にとって歴史上又は学術上価値の高いもの。 |
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名勝 |
庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で我が国にとって芸術上又は観賞上価値の高いもの。 |
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天然記念物 |
動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む)、植物(自生地を含む)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む)で我が国にとって学術上価値の高いもの。 |
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文化的景観 |
地域における人々の生活又は生業及び地域の風土により形成された景観地で、我が国民の生活又は生業の理解のため、欠くことのできないもの。 |
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伝統的建造物群 |
周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値の高いもの。 |
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埋蔵文化財 |
土地に埋蔵されている文化財。 |
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選定保存技術 |
文化財の保存のために欠くことのできない伝統的な技術・技能。 |
文化財の範囲の拡大
これらの文化財の種類は最初からすべてが定められていたわけではありません。例えば民俗文化財を見ると、有形民俗文化財は昭和29年に、無形民俗文化財は昭和50年に初めて文化財に加えられました。また、有形文化財の歴史資料や伝統的建造物群も昭和50年に追加されたものです。さらに平成16年の保護法改正によって文化的景観が加えられました。このように保護対象となる文化財の種類は、順次その範囲を広げてきたのです。
同じように指定の対象とする時代も範囲が広がっています。例えば、建造物は近代のものが指定されるようになりました。埋蔵文化財も大名屋敷などの近世遺跡も含まれるようになっています。
また、隣接する関連法規についても「自然環境保全法」「国土利用計画法」「都市計画法」などにおける歴史的風土の保全や美観地区の設置、「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」の制定など、歴史的景観といったものをも含む保護が進められ、近年では平成9年の東京都景観条例、平成16年の保護法改正による文化的景観の追加によって、環境や景観が文化財としてとらえれるようになりました。
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