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伝統・文化江戸情緒
江戸の歴史を守り伝える民俗芸能の魅力
本格的な土地開発が始まった江戸時代から、脈々と世代を超えて伝承されてきた区の『民俗芸能』。長い間途絶えることなく守られてきたその芸能は、区内神社の祭礼、祝儀の場などで目にすることができます。熟練の技が繰り広げられる演目の数々は、長年に渡り受け継がれてきた地域への想いや、人々との絆の証でもあります。
「木場の角乗」の三宝乗り。角材を自在に操る熟練の技が繰り広げられます。
受け継がれる5つの民俗芸能
木場の筏師(川並)が水に浮かべた材木に乗って筏を組む作業から発生した「木場の角乗(かくのり)」は、竹竿を使い角材を乗りこなします。軽快な囃子の演奏と口上に合わせて、角材の上に三宝(さんぽう)を3つ重ねその上に乗り角材を操る“三宝乗り”や、逆立ちをする“しゃちほこ”などを披露。研ぎ澄まされたバランス感覚、水の上を自由に動く姿は圧巻のひと言です。「江戸時代、筏師たちが仕事をしながら生まれた技術。昔の人は粋ですよね」と東京木場角乗保存会、会長の川藤健次さんは話します。
筏師(川並)が材木を操る時の労働歌、「木場の木遣(きやり)」は、水からあげた材木をまっすぐに直すときに互いの息を合わせるため、即興の詩をつけて歌ったのが始まりといわれています。「譜面があるわけではないので、耳で覚えて受け継いでいるんですよ」と木場木遣保存会、会長の石橋昭宏さん。男性特有の重厚感あふれる歌声を聴くと、筏師たちの勇ましい姿が目に浮かぶようです。
木場の木遣(きやり)
香取明神社(現在の葛西神社)の神官、能勢環(のせたまき)が農民に囃子を教え、それが近隣の農村に広まったものと伝えられる「砂村囃子(ばやし)」は、大太鼓1、締太鼓2、篠笛1、鉦(かね)1で演奏されます。「小学2年生からベテランまでが一丸となって演奏しています」と、砂村囃子睦会、会長の埒與政(らち ともまさ)さん。週に1回の練習を欠かさず、伝統の音色を300年もの間守り続けています。
砂村囃子(ばやし)
「みんなの息を合わせることが一番大切」と話すのは、深川力持睦会、会長の金尾健治さん。江戸時代、佐賀辺りで米俵などの運搬から発生し、米俵や酒樽を持ち上げたりと力自慢の曲技を繰り広げる「深川の力持(ちからもち)」は、お腹の上に米俵を4俵重ね、その上で餅をつくなどのユニークな演目が披露されます。お腹に俵4俵、臼、船、酒樽、そして俵を持った男性3名が乗る“宝の入船”は必見です。
深川の力持(ちからもち)
「富岡八幡の手古舞(てこまい)」は、富岡八幡宮の三年に一度の大祭に行われる芸能。男性の装束を身にまとい、伸びやかに唄うなかにも女性の強さを彷彿とさせる手古舞は、深川ならではの伝統美を放ちます。富岡八幡の手古舞保存会、会長の髙橋富雄さんは「毎年10月開催の『江東区民まつり中央まつり』や毎年1月開催の『新春 民俗芸能の集い』など、民俗芸能が披露できる場があるのも街の魅力ですね」と話します。
富岡八幡の手古舞(てこまい)
いずれも東京都および江東区の無形民俗文化財として指定・登録されている民俗芸能。ぜひご鑑賞ください。