10月24日「教育長の学校日記」
江東区の伝統工芸を学ぶ~木工(建具)~
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| ▲製作が始まりました | ▲緊張しながら、はめ込んでいきます |
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| ▲匠の技はすごい! | ▲完成しました! |
今日は、今年度から始まった江東区の伝統工芸の出前授業が行われる深川四中を訪問しました。江東区には、様々な伝統工芸があり、その素晴らしさを伝え、こどもたちに体験してもらう出前授業が今年度から始まりました。今日は、江東区無形文化財として登録されている木工(建具)の友國三郎さんをお招きした授業が、2年生を対象に行われました。
生徒たちが体験するのは、「枡つなぎ」文様の組子コースター作りです。まず、友國さんから生徒たちに、日本の文化「木の話」と題したお話がありました。日本書紀に伝えられている杉や檜等の木の話やノコギリのない時代の加工の仕方等について説明がありました。法隆寺が世界最古の木造建築と言われていることは生徒たちも知っていると思いますが、東側に生えていた木は東側に、南側に生えていた木は南側に使われているという話は、私も知りませんでした。木は、日の光を浴びることで育ちます。日があまり当たらない場所で育った木は、何とか日を浴びようとします。木はそれぞれの育った場所で、力強く生きて行こうとします。その場所で育った木のもつ特性を生かしていくこと、それが、よく言われる「適材適所」の発祥でもあるという話がありました。飛鳥時代の頃から、職人たちがこのような知恵をもっていたということに驚かされます。生徒たちも、うなずきながら話を聞いていました。
組子コースターは、檜材の長い部材6本、短い部材16本を、接着剤も釘も使わずに組み立てて作ります。袋を開けたときの檜の香りのよさに、生徒たちは思わず声を上げていました。木の切り込みや先端の向きを間違えずに組んでいけばよいのですが、ぴったりとはめ込んでいくのがなかなか難しいのです。逆に、ぴったりとはめ込めるように木を切っていることのすごさに、改めて感動します。生徒たちは、「難しいからこその、達成感がありました」、「職人さんたちのすごさを実感しました」等、感想を述べていました。
友國さんからは、夏の暑い時期には、組子のようなものはできないという話もありました。湿気の多い夏には、木も水分を多く含んでしまいます。夏の時期に合わせて木を切って作ってしまうと、乾燥する時期には隙間が空いてしまうということなんですね。進化するAIを目の当たりにする現在ですが、先人の知恵や技術って、本当に素晴らしいですね。
この事業は、建具の友國さんだけでなく、表具の岩崎さん、木彫の渡邉さん、無地染の近藤さんにもお願いしており、今年度は8校で実施されます。こどもたちが、江東区の無形文化財保持者の皆様の伝統技術に触れ、多くのことを学べること、そして、この授業を通して、伝統技術を継承したいと思う子がいたらうれしいですね。なお、毎年、この時期に行われている江東区伝統工芸展が、今年度も10月30日(木)~11月3日(月)に深川江戸資料館で行われます。体験や工芸品即売展もあるようですので、ご家族で行ってみてはいかがでしょうか。
本区では、学校の改修や改築で、地場産業でもある木材を多く使用する「木質化」を進めています。深川四中も令和2年に大規模改修を行い、校舎の木質化を行いました。木をふんだんに使った校舎は明るく、温かみがあります。本校の生徒たちが、改めて木のよさ、木を使った校舎の素晴らしさを実感し、充実した学校生活を送ってくれることを願っています。
江東区教育委員会教育長本多健一朗
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