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更新日:2022年1月21日

所信表明 平成24年2月22日発表分

本日平成24年2月22日をもって、平成24年第一回区議会定例会を招集いたしました。開会にあたり、江東区政が直面する課題と、次の時代に向けた着実な取組み、そして、あるべき区政運営について、私の所信の一端を申し述べたいと存じます。
昨年3月11日の東日本大震災による一連の出来事は、未だかつて経験したことのないものでありました。今まで当たり前だった存在・空間が失われるという驚きと悲しみ、そして積み上げてきた価値が根本から揺さぶられる衝撃に、私も暫し無力感にさいなまれました。しかし、発災直後から迫られる様々な課題の解決、被災地・被災者への支援を通じて、人と人、地域と地域との「絆」を実感するとともに、区民一人ひとりの安全・安心を守り、区民生活を支えていかなければならないという、区政を担うものの重責を改めて痛感いたしました。一政治家として、自治体の長として、今一度原点に立ち戻り、揺るぎない区政基盤を踏み固める強い決意をいたしたところです。
そこでまず、本区の最重要課題に「防災都市江東の実現」を新たに掲げ、全力で取り組むとともに、長期計画の着実な推進とあわせて、来年度の予算編成の基本方針ともいたしました。

平成24年度予算編成の大綱について

まず、平成24年度予算編成の大綱についてであります。国や都の状況についてですが、日本経済は、本格的な復興施策の集中的な推進により、景気は持ち直すことが期待されているものの、欧州発の経済危機の影響を受け、我が国の景気も下押しされ、デフレの影響、円高、雇用情勢など、依然として先行き不透明な状況にあります。
こうした経済情勢を踏まえ、国の来年度予算は、新成長戦略の取組みの断行と、日本再生元年へのチャレンジをメッセージとし、「日本再生元年予算」と位置付けて編成したとされております。
この結果、一般会計は、前年度比で、2.2%減の90兆3,339億円となり、6年ぶりに前年度を下回ったものの、復興特別会計や年金交付国債分を合わせると実質的には過去最大の予算規模となっております。
一方、歳入不足を補う新規国債発行額は、44兆2,440億円で、財政健全化目標の「約44兆円以下」をかろうじて維持しておりますが、年金交付国債や復興国債を含めると、依然として、国債依存型の厳しい財政状況が続いております。
次に、東京都でありますが、海外経済の減速や円高の影響等による企業収益の低迷などにより依然として、都税収入の好転は期待できない厳しい財政環境の中で、一般会計は、前年度比1.4%減の6兆1,490億円で、4年連続の減少となっており、政策的経費である一般歳出においても、前年度比1.3%減の4兆5,231億円と2年連続の減少となっております。
予算編成にあたっては、厳しい財政環境が続く中にあっても、将来に向けて強固な財政基盤を堅持するとともに、直面する難局を乗り越え、東京の更なる発展に向けて、着実に歩を進める予算としております。
また、特別区の財政運営に影響を与える都税収入においては、都政史上初めて5年連続の減少となる2.4%減の4兆1,195億円となり、そのうち法人二税については、1兆2,392億円と、前年度と比べて4.8%の減となっております。
次に、本区を取り巻く財政状況についてでありますが、企業収益の低迷により、個人所得の増収が見込めない状況から、区税収入は、来年度予算において、413億円、前年度比0.3%減と、2年連続の減少になると見込んでおります。
また、特別区交付金については、調整税の財源である固定資産税及び市町村民税法人分の減収が見込まれるため、442億円、1.0%の減と3年連続でマイナスの予算を計上しております。
このように本区歳入の根幹である区税、特別区交付金の減収が続く状況にありますが、このような時こそ、積立基金や起債の財政力を最大限活用し、引き続き、安定的・継続的な区民サービスの維持・向上への取組みを進めたところであります。
その結果、来年度一般会計の当初予算規模は、1,614億9,100万円で、前年度に比べ1.4%増となり、「防災都市江東」の実現を目指し、安全・安心施策の充実や長期計画の着実な実施により、次の世代まで住みよいまちづくりを実行する「世代、地域をつなぐ 安全・安心 実行予算」として編成いたしました。
これにより、大震災の教訓を踏まえ、江東区地域防災計画の見直しや災害情報通信設備の整備、民間建築物の耐震化促進、被災した道路の本格復旧、庁舎・公共施設及び橋梁などの耐震改修・補強などを更に進めてまいります。
なお、防災基金については、今年度末で過去最大の52億円を確保し、来年度以降の防災・震災施策の充実に活用してまいります。
また、長期計画のハード事業においては、(仮称)シビックセンター整備、(仮称)豊洲西小学校の工事着手や義務教育施設の改築・大規模改修など、主要事業の着実な実施に向け予算を計上いたしました。
そのほか、区の喫緊の課題である、中小企業を支えるための中小企業融資事業の継続、保育所待機児童の解消、高齢者・障害者施設の整備、環境施策や引き続き増加する生活保護予算の増額等を行い、ハード・ソフト両面において、区民生活を支える施策を展開してまいります。
また、予算編成にあたっては、財政健全化を図るため、外部評価結果を予算に反映するとともに、施策の優先性や有効性を十分に検証いたしました。更に、「江東区行財政改革計画」に掲げる職員定員の適正化、区民税等の徴収対策や使用料等の改定などによる適正な受益者負担の導入など、歳入の確保に取り組み、経費の削減と効率性を徹底した結果、「新たな取組み」66件、「事業の拡充」39件の事業を予算に反映することができました。
次に、特別会計について申し上げます。
はじめに、国民健康保険会計の予算規模は、519億5,700万円で、前年度と比べ、3.0%の増であります。これは、後期高齢者支援金などが増となったためであります。
なお、国民健康保険料については、昨年度の賦課方式の変更により、保険料負担が増加した階層については、一定率を控除する経過措置を昨年度に引き続き実施いたします。
次に、介護保険会計の予算規模は、245億8,700万円で、前年度に比べ、10.3%の増となっております。これは、介護サービス利用者の増などにより、保険給付費が増となっていることによるものであります。
なお、第5期の介護保険料の改定については、多段階化などにより、低所得者に配慮し、基準額の上昇幅を抑制しております。
次に、後期高齢者医療会計の予算規模は、70億2,800万円で、前年度に比べ、8.3%の増となっております。これは、広域連合納付金の見込みが増となったためであります。
なお、後期高齢者医療保険料については、改定にあたり、引き続き一般財源を投入し、保険料を抑制しております。
以上、一般会計と三つの特別会計を合わせた総予算規模は、2,450億6,300万円で、前年度に比べ、2.8%の増となり、一般会計及び総予算規模において、これまでの最大の予算規模となっております。
平成24年度予算の大綱は、以上のとおりであります。
次に、本区の重要課題とその取組みについて申し上げます。

重要課題とその取組みについて

まず、「防災都市江東」の実現についてであります。
民間建築物の耐震化については、東京都の条例が施行され、本年度より耐震診断が義務化される特定緊急輸送道路沿道建築物について、東京都との連携を図りながら、昨年10月末から新しい助成制度を開始いたしました。併せて、大幅な助成制度の充実と本区独自の対象建築物の拡充を図ったところであります。
また、被災した新木場地区等の道路については、本格的な復旧を開始いたします。
さらに、被災の経験を踏まえ、防災無線を全中学校に配備し、備蓄物資の見直しや備蓄倉庫の増設を図るとともに、保育施設や障害者施設における備蓄物資の充実にも努めてまいります。
併せて、国や都の災害対策の動向を見据えつつ、江東区地域防災計画の見直しに着手し、震災復興マニュアルの整備や、震災BCPを着実に実行するための職員訓練等を実施してまいります。
また、事業所や区民の皆さんとの協力・連携といった、「共助」の観点から、都内初の試みとして、昨年9月に区内四企業との津波等の水害時安心協定を締結し、12月には静岡県沼津市との災害時相互応援協定を締結いたしました。今後も、公的住宅や高層マンションとの水害時安心協定や、他自治体との災害時相互応援協定の締結を精力的に進めてまいります。
また、福島第一原子力発電所の事故に伴う放射能対策では、区独自に導入した測定器による食品の放射性物質の検査を積極的に実施するとともに、特に保育施設や学校施設等を重点に、引き続き土壌放射能測定及び空間放射線量調査等を行い、区民が安心して暮らせるよう努めてまいります。
さらに、本区内の被災避難者の方への支援については、避難者の方々の心身を支える継続的な支援を行ってまいります。
そして、被災地の復興を妨げている一因に、がれきの処理が挙げられます。復興支援の第一は、がれきの処理であり、昨年11月、私はどこよりも早く受入賛成を表明したところです。今後も都や関係自治体と密接に連携し、安全性の確認はもとより適切な処理を進め、真の復興支援を行ってまいります。
次に、築地市場の豊洲移転整備については、昨年8月に、移転場所を豊洲にする旨の都市計画決定がなされ、新たな局面を迎えることとなりました。引き続き、本区との十分な協議は当然のこと、都による確実な土壌汚染対策、豊洲・住吉間の地下鉄8号線の延伸などの総合的な交通対策の実施、新市場と一体となった魅力溢れる新たな観光名所となるにぎわいの場の整備、さらに昨年6月に本区が策定した「豊洲グリーン・エコアイランド構想」に定める環境まちづくりへの最大限の配慮を求めてまいります。
第三に、中央防波堤埋立地の帰属についてであります。
現在の江東区のまちの姿がどのように形成されてきたかということを考えれば、どうしても譲れない問題であります。改めて申し上げるまでもなく、この埋立地は、長年にわたりごみの終末処理をすべて負わされてきた本区の区民の犠牲の上に造成された土地であることは明白であります。であるからこそ、多摩地域で発生した放射性物質を含む下水汚泥焼却灰の埋立てについては、他の区とは比較にならない緊張感をもって受入を決断したものであります。今後も、あらゆる局面で、区民・区議会の理解と協力の下、毅然とした姿勢で、本区の主張の実現に向け、取り組んでまいります。
次に、六つの重点プロジェクトについて申し上げます。

重点プロジェクトについて

第一は、南部地域における総合病院の整備についてです。
本事業については、22年3月、学校法人昭和大学との間で、病院の整備及び運営に関し事業協定を締結して以降、病院建築の設計作業等を精力的に進め、昨年6月の起工式の後、本格着工いたしました。
新病院は、地下1階、地上10階で、免震構造を採用し、「女性とこどもにやさしい病院」として周産期センターやこどもセンターの充実を図るとともに、地域の中核病院として、二次救急医療機関や災害時における拠点病院としての役割も担ってまいります。新しい豊洲のまちを象徴する、水と緑に囲まれた病院「パークホスピタル」「エコホスピタル」として、多くの区民に信頼される病院を目指し、26年3月の開院に向け、引き続き着実な整備を図ってまいります。また、今後は、医師会など関係機関とともに、地域医療との連携体制構築に向け、鋭意、検討・協議を進めてまいります。
第二に、区南部地域の拠点施設となる(仮称)シビックセンターの整備についてであります。
区南部地域における急激な人口増に対応するため、出張所、文化センター、図書館などの機能を備え、区民が集い、憩うにふさわしい施設を整備することとし、来年度に工事着工し、27年4月の開設を目指してまいります。
併せて豊洲二・三丁目地区二街区については、地区の活力や駅前としての賑わいを醸成するため、業務や商業、文化・交流などの多様な施設を配置し、新しいまちの玄関口にふさわしい、魅力的な市街地形成を図るため、地権者等と共同で、市街地再開発事業の事業手法を活用してまいります。
第三に、緑化・温暖化対策の推進についてであります。
緑の中の都市「CITY IN THE GREEN」の実現を目指して、今年度は河川の護岸緑化や道路の隙間緑化を進め、また、緑のコミュニティづくり講座をスタートしました。さらに、区民と区がともに緑の中の都市を創るという視点から、将来構想となる「江東区CIGビジョン」を策定し、区民との協働による緑化推進の道筋をお示ししてまいります。
福島第一原子力発電所の事故を受け、CO2削減をめぐる環境は一層困難なものとなりましたが、温暖化防止対策の必要性が低下するものではなく、対策の一層の推進のため、中小規模の事業所及び区民を対象に、エネルギー消費行動等の転換を促すとともに、啓発活動の実効性・継続性を確保することを目的とした「エコ事業所認定制度」及び「エコポイント制度」の制定に向け、具体的な制度設計をエコライフ協議会で、区民の方々とともに検討してまいります。
次に、子育て・教育環境の整備についてであります。
待機児童の解消は、喫緊の重要課題の一つであり、私は区長就任以来、認可・認証保育所の整備に全力で取組み、本年4月開設予定の4園を含め、60園の新規開設を行い、約3,500人の定員増を実現してまいりました。しかし、待機児童数は昨年、4月時点で270名を超え、依然として予断を許さない状況ですが、今後も着実に待機児童の解消を図ってまいります。
保育サービスの充実については、現在豊洲・猿江の2か所で行っている病後児保育を、今年7月には、新砂保育園との併設で、また、大島地区では6月に、本区初となる病児保育室も開設いたします。区内4か所で病児・病後児保育を行うことで、地域バランスのとれたサービス提供が可能となり、保護者の子育て支援に大きく役立つものと考えております。
また、良好な教育環境の整備については、(仮称)豊洲西小学校を27年度開設に向け、着工し、浅間竪川、第二辰巳、豊洲北小学校の増築設計を行います。さらに、第二亀戸中学校の改築工事のほか2校2園で改修工事に着工するなど、学校施設の適正整備に努めてまいります。
放課後支援事業では、来年度に「江東きっずクラブ」を新たに5校で開始し、合計16校での事業展開を図ってまいります。放課後等に安全で安心して過ごせる場として、31年度までに全ての小学校での実施を目指してまいります。
次に、高齢者・障害者関連施設の整備についてです。
介護基盤の整備では、旧三大小跡地に14か所目となる特別養護老人ホームと北砂二丁目に7か所目となる介護老人保健施設の整備を進めるとともに、認知症高齢者グループホームの整備も複数着手してまいります。また、新砂三丁目の地域密着型介護施設を、保育所と併せて本年6月に開設いたします。低所得高齢者のすまい対策では、2か所目となる都市型軽費老人ホームを来年度中に開設するとともに、旧三大小跡地の特養と併設で、区内初の介護専用型ケアハウスを整備いたします。
また、障害者関連施設の整備では、多機能型入所施設や、地域生活移行への基盤となるグループホーム・ケアホームの整備も計画化いたしました。
六点目、南北交通の利便性の向上については、区の悲願である地下鉄8号線の延伸に向け、現在、学識経験者を座長とし、国土交通省と東京都、東京地下鉄株式会社の参画を得た「東京8号線事業化研究会」を設置し、実現に向けた課題解決策を鋭意検討しているほか、来る3月7日には、「地下鉄8号線延伸促進シンポジウム」を開催し、区民への事業の周知と理解の形成を図ってまいります。
今後は事業化研究会での議論を踏まえた整備計画案をまとめ、関係機関の部長級で構成する委員会を設置し、東京都と連携を図りながら、整備に向けた最終調整を目指してまいります。
また、建設基金の積立てを継続し、区の早期整備に向けた積極姿勢を関係機関に強く訴えてまいります。

次に、長期計画における五つの施策の大綱に沿って、来年度の主な取組みを申し上げます。

「水と緑豊かな地球環境にやさしいまち」について

まず、「水と緑豊かな地球環境にやさしいまち」についてであります。
本区3か所目となる「夢の島区民農園」を4月に開園いたします。有料駐車場や、バーベキュー施設、個人区画に加え団体区画も設け、緑を育て収穫する楽しみを身近に体験できる場を提供してまいります。
次に、大島九丁目の旧中川河川敷に、水陸両用バスや和船、カヌーなどの多様な水辺利用の拠点として「旧中川・川の駅」を整備いたします。新たな水辺のにぎわいとなる「川の駅」を通して、「水彩都市江東」を全国にアピールし、併せて地域の活性化を推進してまいります。
水辺・潮風の散歩道の整備事業は、河川の耐震護岸や運河の高潮防潮堤の補強護岸上を園路として整備し、水辺と緑のネットワークとして連続性を確保するもので、豊洲運河沿いに全長1,200メートルの「潮風の散歩道」が完成いたします。
区立公園の改修事業としては、現在、リニューアル工事を進めている竪川河川敷公園の一部に、フットサルコートを開設いたします。整備にあたっては、様々な課題はありますが、区民が憩い楽しめる公園を目指し、来年度竣工に向け整備を推進してまいります。また、東砂一丁目公園など4園で全面改修を行うとともに、耐用年数に達した遊具や施設の一部を対象に行う小規模改修を、亀高公園など5園で実施いたします。
さらに、豊洲埠頭に整備され区が管理する公園・緑地等について、新たなPFIの形態であるPPP(官民連携)による公園管理の実現の可能性を全国に先駆けて検討してまいります。
環境の分野では、3年間にわたり実施してきた「ソーラーカーチャレンジ計画事業」は終了いたしますが、本年も鈴鹿レースへの出場を目指すとともに、これまでの成果や経験を生かして、ソーラーカーを活用した環境学習を展開してまいります。
清掃・リサイクル事業については、今年度改定を行う「江東区一般廃棄物処理基本計画」に基づき、燃やすごみの半分弱を占める生ごみの減量化を推進するため、本区の地域特性に適した生ごみ減量化手法を区民とともに検証する「生ごみ減量モニター事業」を実施してまいります。

「未来を担うこどもを育むまち」について

次に、「未来を担うこどもを育むまち」についてであります。
子育て家庭への支援では、新たに「子育て情報ポータルサイト」を構築し、子育て情報発信の充実を図ります。これは、孤立しがちな若い子育て世帯への対応として、従来区ホームページで提供をしていた子育てイベント情報や赤ちゃんマップのスマートフォン対応、子育てハンドブックの電子化等を行うものであります。この子育て情報の一元化により、いつでも、どこでも情報確認が出来るようになり、子育ての不安感の軽減を図ってまいります。
また、児童虐待への取組みとして、南砂子ども家庭センターに設置している児童虐待ホットラインと区の虐待対応部門をネットワークで結び、有機的な情報の一元化を図るとともに、要保護児童対策地域協議会のメンバーによる予防活動を本格的に展開し、地域における見守り機能を強化いたします。
さらに、子ども家庭支援センターによる「地域子育てひろばモデル事業」として、地元の子育て支援団体やボランティアと協働し、マンション集会室や地区集会所、空店舗等でひろば事業を実施し、子育て相談機能を充実し、虐待の発生予防を図ってまいります。
教育分野については、江東区で学ぶこどもたちのために、本区の教育振興基本計画である「教育推進プラン・江東」に基づき、「生きる力」を育む教育施策を総合的に推進してまいります。
また、国の小学校学級定数の少人数化に先駆け、小学校第一学年を対象に今年度より配置した実質30人以下の規模で学習指導を行うための少人数学習講師を、来年度は第二学年まで拡大し、更なる学力の基礎・基本の定着を目指します。
さらに、こども達が安心して生き生きと通うことができる学校づくりの一つとして、「江東区保幼小連携教育プログラム」に基づき、保育園・幼稚園・小学校における異校種間の連携強化に取り組んでまいります。
そして、教師力の向上を図るため、教員養成系大学との連携による「授業改善支援チーム」を学校に派遣し、実践授業と専門的な指導を行います。
学校安全対策については、今年度、区立小学校に緊急時一斉連絡システムを導入しましたが、来年度中に幼稚園、中学校にも拡大し、こどもたちの安心安全をサポートしてまいります。

「区民の力で築く元気に輝くまち」について

次に、「区民の力で築く元気に輝くまち」についてであります。
東日本大震災後の景気低迷の中で、中小企業を資金面から支援するための緊急融資を継続して実施してまいります。
また、昨年10月より、青海に本部移転をした「東京都立産業技術研究センター」の利用料負担を軽減し、中小企業の製品開発促進を図るとともに、商店街に対する補助事業の実施などにより、中小企業振興を推し進めてまいります。
スポーツの分野では、本区の豊かな水辺を活かして、新たにカヌー大会を開催するなど、さらなるスポーツの推進と地域の活性化に取り組んでまいります。また、「スポーツ祭東京2013」の開催に向け、リハーサル大会の開催など、着実に準備を進めてまいります。
観光振興については、観光推進プランに基づき、(仮称)江東区観光協会を設立し、全区的な観光行政を進めるとともに、東京ゲートブリッジ、東京スカイツリーといった新観光名所の誕生を契機に、東京の観光機運が高まっていることから、本区としても観光レトロ商店街のPRや亀戸四丁目の公有地活用など様々な手法で水彩都市・江東の地の利を生かした観光客誘致を図ってまいります。
また、観光ガイド事業のさらなる充実や、水陸両用バスの区内の運行活用なども含む、様々な舟運観光の検討を進める一方、東京都、近隣自治体や観光関係団体との広域連携による観光振興の展開も積極的に図ってまいります。
男女共同参画社会の実現については、新たに策定した第五次行動計画「男女共同参画KOTOプラン」に基づき、重点課題として掲げるワーク・ライフ・バランスについて、新たに意識啓発や企業に対する推進の働きかけを行います。また、子育てで仕事を中断した女性の再就職支援や、デートDV防止等、地域の需要に応じた講座を展開してまいります。

「ともに支えあい、健康に生き生きと暮らせるまち」について

次に、「ともに支えあい、健康に生き生きと暮らせるまち」についてであります。
区民の健康を守る取組みとして、来年度から新たに眼科検診を実施してまいります。また、成人健診、高齢者健診を統合し、「健康診査」として実施いたします。さらに、健康診査の実施については、各種がん検診とも実施時期をあわせるなど、区民の利便性の向上を図るとともに、周知・啓発を充実し、受診率の向上に努めてまいります。
高齢者施策では、今年度中に策定する「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」の基本理念に掲げる「ともに支えあい、健やかに生き生きと暮らせる地域社会の実現」を目指して施策の充実・強化を図ってまいります。
まず、地域包括ケアの充実に向け、地域包括支援センターをその中核として、地域密着型サービス、居宅介護支援事業者などの介護部門と病院、訪問看護ステーションやかかりつけ医など医療部門との連携を促進し、介護を必要とする高齢者とその家族支援を強化してまいります。
また、認知症の高齢者とその家族支援のため、医療介護連携の体制づくりを進めていくとともに、判断能力が十分でない人が地域で安心して生活していけるよう権利擁護推進事業の促進に努めてまいります。
さらに、高齢者地域見守り支援事業の対象地域を年間4か所から8か所に倍増し、見守りの輪を広げてまいります。
また、新たに災害・緊急時に役立つ情報を記載した高齢者ガイドブックを作成し、75歳以上の一人暮らし高齢者の調査時に民生委員が手渡しで届けるなど、地域のつながりを深めてまいります。
福祉人材の確保・定着では、ハローワーク木場との連携を強め、福祉のしごと相談・面接会や福祉インターンシップで人材の確保を図るとともに、介護従事者向けの研修を区が主催し、人材の育成、定着、支援にも取り組んでまいります。
障害者福祉の分野では、策定中の「障害者計画・障害福祉計画」に基づき、障害のある方もない方もともに住み慣れた地域で暮らしていけるよう支援の充実を図ってまいります。
また、厳しい経済・雇用情勢ではありますが、区民生活の最後のセーフティネットである生活保護制度の適正な運用により、最低生活の保障と自立への支援を積極的に図ってまいります。

「住みよさを実感できる世界に誇れるまち」について

次に、「住みよさを実感できる世界に誇れるまち」についてであります。
豊洲埠頭においては、「豊洲グリーン・エコアイランド構想」に基づき、地区のまちづくり特性を十分に踏まえた上で、最先端の技術を駆使した大規模なコージェネレーションシステムの導入や、東京で初となるガスの圧力差発電システムの導入などにより、低炭素で分散型のエネルギーシステムを構築し、世界に類を見ない「環境先端拠点」の形成を図ってまいります。
さらに、既に多くの集客施設が点在し、今後も豊洲新市場を始めとする、新たな開発が続く臨海部において、まちの回遊性向上による、地域の活性化や更なる賑わいの創出を図るため、環境にやさしい交通手段である「コミュニティサイクル」の導入を検討してまいります。導入に際しては、民間活力を最大限に生かした上で、来年度中の実証実験を目指してまいります。
景観形成については、新たな景観重点地区として、亀戸、門前仲町両地区において、地域の意見を踏まえながら、来年度内の指定を実現してまいります。
次に、区民生活の基盤である土地の境界や面積等を一筆ごとに明らかにする地籍調査を実施いたします。これにより、土地取引・公共事業・まちづくり等の円滑化や、土地境界紛争の防止はもとより、震災等の災害復旧を迅速に図ることができるようになります。なお、来年度は、東日本大震災による地殻変動で移動した公共基準点の復元測量を行います。
都市計画道路の整備については、まず、補助200号線について、来年度の全線開通に向けて、引き続き事業を進めてまいります。また、補助115号線については、昨年4月、事業認可を取得しており、今後用地取得を進めてまいります。なお、補助115号線整備にあたっては、隣接する横十間川等との一体となった質の高い空間を創出するため、東京都と協議を進めているところです。
無電柱化は、都市景観の向上や歩行空間の充実、災害時の救援、避難路の確保など、道路環境の総合的な改善を図るためのものであり、亀戸の観光レトロ商店街及び南部地域における総合病院の整備にあわせ、計画的に進めてまいります。
また、近年、多発する都市型水害の対策として都の下水道幹線整備にあわせ、区で枝線の再構築に着手したところであり、本区の治水能力の向上を図ってまいります。
橋梁の改修事業については、江東区橋梁長寿命化修繕計画に基づき、コスト縮減を図りながら計画的な橋梁の架替・修繕を進めてまいります。来年度は、三石橋の架替や大栄橋の改修に着手いたします。
放置自転車対策では、区内5か所の自転車保管場所を2か所に集約し、事業の効率化を図るとともに、自転車の安全利用指導については、引き続き、区内に自転車安全利用指導員を配置し、自転車利用マナーの向上、そして自転車事故の減少に向け、一層の努力を行ってまいります。
安全・安心への取組みでは、生活安全対策について、安全・安心パトロール団体の支援体制や江東区パトロールカーによるパトロール活動を強化し、地域と連携した取組みを進めてまいります。

長期計画の実現に向けて

最後に、長期計画の実現に向けての取組みについてであります。
地域で活動する団体と区とが、協力して地域の課題解決にあたる協働の取組みが重要でありますが、今般の大震災では、その地域の力の大きさを改めて認識いたしました。これら協働の取組みをなお一層推進するため、コミュニティ活動支援サイトの充実や、新たに採択した区民の提案事業である「こうとうむかしばなし事業」と「公園をとおした地域コミュニティ形成活動事業」とを着実に実施するとともに、市民活動団体と行政との仲介となる「中間支援組織」について、区としての方向性を定めてまいります。
また、震災復興や社会保障制度と税の一体改革など、予断を許さない行財政環境の中でも、長期計画を着実に推進し、未来の江東づくりに向けた堅固な基盤を築くため、昨年10月に「江東区行財政改革計画」を策定いたしました。外部評価を活用し、区民の声に応える事業見直しや新たな施策の創出など、不断の行政改革を進めてまいります。
さらに、現在国が進めている地方分権改革につきましても、権限移譲や義務付け・枠付けの見直しなど、改革の成果を確実に具体化するとともに、その裏付けとなる財源の移譲を、引き続き国や都に求めてまいります。

以上、本区が直面する課題について、長期計画の展開に沿って、所信の一端を申し述べました。
今日本は、明治維新、戦後復興期に次ぐ第三の岐路に立たされています。かつて坂の上の雲を目指し、どんな困難にも顔を上げ前を向いて一歩一歩決して歩みを止めなかった誇りと気概を取り戻さなければなりません。
東日本大震災の経験は、我々に喪失感だけを与えたものではありません。当たり前に享受していた豊かさを再確認し、人と人との絆、次の世代への思いを新たにさせてくれました。
私は、基本構想に掲げる世界に誇れるまち、未来のこどもたちに美しいまちを残すため、来年度を「堅固な区政基盤を踏み固め、次につなげる年」と位置づけ、47万区民の信頼と負託に、意欲とスピードと思いやりを持って応え、区政運営にまい進してまいります。より一層の議員各位のご理解、ご協力をお願いするしだいであります。
なお、本定例会には、平成24年度当初予算及び平成23年度補正予算をはじめ、事件案件、条例等の63件を提案いたしております。
よろしくご審議の程お願い申し上げまして、私の所信表明といたします。

お問い合わせ

政策経営部 企画課 企画担当(庶務) 窓口:区役所4階1番

郵便番号135-8383 東京都江東区東陽 4-11-28

電話番号:03-3647-9167

ファックス:03-3699-8771

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