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更新日:2023年2月24日

所信表明 平成28年2月24日発表分

本日、平成28年2月24日をもって、平成28年第1回区議会定例会を招集いたしました。
まず、はじめに一言申しあげます。北朝鮮は、本年1月6日の、国連安全保障理事会の決議に違反した4回目の核実験の強行に続き、2月7日には、国際社会の自制要求を無視して「人工衛星」と称する長距離弾道ミサイルの発射を強行いたしました。今回の発射は、国際社会の平和と安定を著しく損なう重大な挑発行為であります。世界の真の恒久平和を念願し、「平和都市宣言」を行っている本区にとって、今回の暴挙は、区民の生活と安全を脅かす、決して許すことのできない極めて遺憾な行為であります。よってここに、江東区民を代表し、今般のミサイル発射に対して断固非難し、厳重に抗議するとともに、北朝鮮が安保理決議に違反する行為を今後行わないよう強く求めることを表明します。
それでは、今定例会の開会にあたり、江東区政が直面する課題と、あるべき区政運営について、私の所信の一端を申し述べたいと存じます。

平成28年度予算編成の大綱

まず、平成28年度予算編成の大綱についてであります。はじめに、国や都の状況についてですが、日本経済は雇用・所得環境の改善が続く中で、アベノミクスによる各種政策の効果もあり、穏やかに回復していくことが期待されています。ただし、海外景気の下振れなどのリスクにより、先行きを楽観視する状況にはありません。こうした経済情勢を踏まえ、国の平成28年度予算は、「経済再生と財政健全化の両立する予算」として編成されております。一般会計総額は、一億総活躍社会の実現、地方創生の本格展開等を盛り込んだ結果、前年度比0.4%増の96兆7,218億円で、過去最大の予算規模となっております。財政状況については、税収が企業収益の伸びにより、57兆6,040億円と、25年ぶりの高水準となったほか、新規国債発行額4年連続減の34兆4,320億円となるなど、一部改善の兆しは見られるものの、公債依存度は35.6%であるなど依然として厳しい状況が続いております。

江東区長山﨑孝明

平成28年第1回区議会定例会(平成28年2月24日)

次に、東京都の平成28年度予算は、「『世界一の都市』の実現に向けた取組を加速化・深化させ、力強く前進させる予算」として編成されております。一般会計総額は、2020年とその先の将来像実現に向けた取組を果敢に推進した結果、前年度比0.8%増の7兆110億円で、23年ぶりの7兆円超えとなっております。また、特別区の財政に影響を与える都税収入は、前年度比3.7%増の5兆2,083億円で、5年連続の増加となっております。しかしながら、都税は景気変動の影響を大きく受ける不安定な構造であることから、都債の発行抑制や一兆円を超える活用可能な基金残高の確保に努めるなど、将来負担を見据え、強固で弾力的な財政基盤を構築しております。
次に、本区を取り巻く財政環境についてであります。まず、特別区民税は、納税義務者数の増加や、雇用・所得環境の改善に加え、オール東京での特別徴収の推進強化等により増となり、特別区税としては、490億100万円、前年度比5.1%の伸びを見込んでおります。また、特別区交付金については、法人住民税の一部国税化の影響が拡大するものの、本区は人口増加に伴う需要の伸びや、普通交付金における子ども・子育て支援新制度の新規算定の影響などにより、前年度比3.6%増の495億1,700万円としております。景気動向は中長期的には予断を許さないものの、このように、本区歳入の根幹を成す特別区税・特別区交付金が堅調に推移している今を格好のチャンスと捉え、人口急増や2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催準備など新たな課題への対応のほか、真に必要な区民サービス向上のため、職員の創意工夫と実効性に富んだ施策を積極的に充実させるなど、本区の更なる発展に向け、未来へはばたく果敢な予算編成に取り組んでまいりました。その結果、平成28年度予算は、「スポーツと人情が熱いまち 夢への加速予算」として、オリンピック・パラリンピックに向け、ブランディング戦略を通してスポーツと人情が熱いまちをPRするほか、パラリンピック選手応援施策を充実するなど、区民を応援し、夢へと加速させる予算を編成いたしました。一般会計は,1,886億3,800万円、前年度比6.7%増で、過去最大の当初予算規模となっております。以下、予算の特徴を申し上げます。
まず、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた取組については、新たに「SPORTS&SUPPORTS ブランディング推進事業」を開始いたします。ブランドコンセプトやロゴマークを活用し、本区の魅力を区の内外に広く発信してまいります。また、庁内においても、JETプログラムを活用した外国籍の国際交流員を任用し、海外組織との調整や地域の国際交流イベントの参加などを通して、本区の国際化をさらに推進してまいります。特にパラリンピックに向けては、障害者スポーツの普及振興に重点的に取り組むことにいたしました。具体的には区内在住の日本代表選手に対し、一部国際大会への遠征費を補助するほか、パラカヌーについては育成プログラムを強化、競技活動を支援し、2020年の東京大会では江東区から金メダリスト輩出という夢を目指します。
その他、オリンピック・パラリンピックの競技施設が最も多い本区に相応しいまちづくりとして、会場周辺路線を中心に無電柱化を推進するほか、平成31年度までに区内すべての公衆便所に洋式トイレを整備してまいります。なお、これらの取り組みには、すべて「東京オリンピック・パラリンピック基金」を活用いたします。今後も関連事業の収支の明確化とともに、積極的な取り組みを支える財源として本基金を有効に活用してまいります。
次に、長期計画(後期)におけるハード事業では、引き続き私立保育所の整備を進め、1,000人を超す定員確保に努めてまいります。併せて、保育所に対する保育士等の宿舎借上げ補助の開始により保育人材の確保を図るなど、喫緊の課題である待機児童解消に向け、あらゆる方策を講じてまいります。児童・生徒の収容対策では、(仮称)第二有明小・中学校の整備や、既存校の改築、改修を進めてまいります。10月には、本区15か所目の特別養護老人ホームを整備いたします。介護専用型ケアハウスや都市型軽費老人ホーム等が併設されるほか、特養内には地域交流サロンを設置するなど、高齢者へ多様なサービスを提供する環境整備に取り組んでまいります。
次に、ソフト事業についてですが、「江東きっずクラブ」を新たに6校で開設し、引き続き全校展開に向け着実に推進するほか、環境配慮の取り組みとして、蛍光管及び乾電池の回収方法を拠点から集積所へ移行し、水銀含有廃棄物の適正処理を徹底してまいります。平成28年度は、長期計画の重点課題に掲げる豊洲市場の開場を控えるなど、引き続き大きな転換期にある本区が、多様な行政課題の解決を通して持続的に発展するため、主要事業の予算を確実に計上しております。
その他の予算についても、本区が臨海部でいち早く導入したコミュニティサイクルについて、他区との広域連携も契機として、平成30年度までに今後、区内全域へ展開してまいります。また、防災対策については、引き続き北砂地区の不燃化特区における事業を推進するほか、その他の木造住宅が密集する地域においても不燃領域率等の調査を実施するなど、区内全域にわたり災害に強い燃え広がらないまちを目指してまいります。母子保健施策では、妊娠期から産後まで切れ目のない支援として「妊娠出産支援事業」を開始するほか、高額な医療費を要する特定不妊治療への助成を実施いたします。また、増加する外国人住民への対応として、国民健康保険や子ども医療費等の窓口に通訳クラウドサービスを導入するなど、区民生活に密接に関わるハード・ソフト両面において施策を充実してまいります。
一方、予算編成にあたっては、自律・安定的な財政基盤を構築するため、自発的な事業の新陳代謝の徹底、行政評価結果を踏まえた事業の総点検による見直しを実施したほか、区民税等の徴収対策、インセンティブ制度を取り入れた広告事業の更なる推進などの歳入確保や、民間委託の拡大など、行財政改革にも積極的かつ着実に取り組み、予算に反映いたしました。
次に、特別会計について申し上げます。はじめに、国民健康保険会計の予算規模は、622億6,100万円で、前年度比1.7%の減となっております。これは、雇用環境の改善や後期高齢者への移行に伴い、被保険者数が減少したことによるものであります。国民健康保険事業については、ジェネリック医薬品の使用勧奨を拡充するなど、増大する医療費の削減を図るほか、運営方法の都道府県への広域化といった制度改革の動きを注視しつつ、的確に事業を実施してまいります。次に、介護保険会計の予算規模は、303億8,600万円で、前年度比1.1%の増となっております。これは、引き続く介護サービス利用件数の増に加え、新たに介護保険法改正に伴う介護予防・日常生活支援総合事業を開始することによるものであります。今後も、地域支援事業の更なる展開を図るなど、本区における地域包括ケアシステムの構築に向け取り組んでまいります。次に、後期高齢者医療会計の予算規模は、84億5,600万円で、前年度比4.0%の増となっております。これは、被保険者数が増加したことなどによるものであります。後期高齢者医療制度については、広域連合と十分に連携しつつ、本区としても収納率の向上に引き続き努めるなど、適切な事業運営を行ってまいります。
なお、一般会計と3つの特別会計を合わせた総予算規模は、2,897億4,100万円、前年度比4.1%の増で、全会計を合わせても過去最大の規模となっております。平成28年度予算の大綱は、以上のとおりであります。

本区の重要課題とその取組

開場に向け工事が進む豊洲市場

開場に向け工事が進む豊洲市場

次に、本区の重要課題とその取り組みについて申し上げます。
第1に、築地市場の豊洲移転整備についてであります。
東京都は昨年7月、新市場の正式名称を「東京都中央卸売市場豊洲市場」と決定し、本年11月7日に開場することを発表いたしました。本区は、これまで食の安全を守るために土壌汚染対策を確実に実施するよう、求めてまいりましたが、土壌汚染対策工事が完了し、東京都は豊洲市場用地の安全性を確認しております。今後も、地下水管理システムの運用状況などを注視し、継続して安全性の確保を求めてまいります。また、併設される千客万来施設については、豊洲市場との同時開設は困難な状況ですが、現在の築地の賑わいを継承・発展させ、本区の新たな観光名所となるよう、早期の整備を求めて参ります。
第2に、中央防波堤埋立地の帰属についてであります。
改めて申し上げるまでもなく、この埋立地は、長年にわたり、ごみの終末処理をすべて負わされてきた江東区民の犠牲の上に造成された土地であり、本区に帰属することは明白であります。2020年には、オリンピック3競技とパラリンピック2競技が中央防波堤埋立地内の2か所の競技会場で開催される予定となっております。円滑な競技会場の整備、運営等はもとより、大会終了後の土地利用を見据えると、早急に本帰属問題を解決しなければならないと考えております。今後も区民、区議会のご理解、ご協力のもと、本区の主張を関係機関に対し働きかけてまいります。

7つの重点プロジェクト

次に、7つの重点プロジェクトについて申し上げます。
第1は、オリンピック・パラリンピック開催への準備についてであります。
本年度も、「聞かせてあなたのオリンピック・パラリンピックこども編」など、気運醸成に向けた取り組みを行ってまいりましたが、今後も、「東京オリンピック・パラリンピック基金」を活用して、スポーツの振興、会場周辺のインフラ整備の推進など様々な分野において事業を展開してまいります。また、大会期間中だけでなく、未来に向けたレガシーの継承を目指し、本区のさらなる発展につながる施策の推進に取り組んでまいります。さらに、昨年、区のブランド化に向けた検討を行い、「SPORTS & SUPPORTS KOTO City in TOKYO スポーツと人情が熱いまち 江東区」をブランドコンセプトと決定いたしました。ブランドコンセプトを図案化したロゴマークを公募したところ、北は北海道、南は九州まで、全国から760点もの作品が集まり、現在、3月の発表に向けて、準備を進めております。今後は、ブランドコンセプトと新たに決定するロゴマークを活用し、グッズの製作、イベントの開催、PR動画の制作など、さまざまな事業展開により、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた区内の気運醸成と、海外を含む区外の方々への積極的な魅力発信を実現してまいります。さらに、世界最大規模の人的交流プログラムであるJETプログラムを活用し、国際交流員を配置いたします。外国人の視点を活かし、本区の魅力を海外に発信するとともに、区民や職員との交流で異文化理解の促進を図り、おもてなしの体制を確立します。海外との連絡調整や情報収集を始め、本区の国際交流事業の企画立案、職員への語学指導など、本区の国際化に向けた幅広い分野で力を発揮してもらえることを期待しております。

有明アリーナイメージ図

区内では多くの競技が開催

第2に、南部地域における公共施設の整備についてであります。
区では、南部地域における大規模開発等に伴う人口増に対応するため、公共施設の整備に取り組んでまいりました。その結果、昨年4月には豊洲西小学校、豊洲駅地下自転車駐車場が、9月には豊洲シビックセンターがオープンいたしました。また、「(仮称)第二有明小・中学校」の平成30年4月開校に向けた整備を着実に進めております。南部地域では、今後も人口増が見込まれ、更なる公共施設の整備が必要と考えておりますが、現時点でオリンピック・パラリンピック開催後の開発や人口の動向について、その詳細を見通すことは難しい状況であります。今後、人口動向を注視しながら、認可保育所や子育て支援施設、小中学校、保健・福祉施設など必要な公共施設の選定や、整備時期、民間活力の活用も含めた効率的・効果的な整備手法等について検討を進めてまいります。
第3に、緑化・温暖化対策の推進についてであります。
緑化については、「江東区CIGビジョン」をもとに、公共施設の緑化を着実に推進するとともに、区民や事業者の皆さんとの協働を進め、みんなが緑の豊かさを実感しながら、毎日の生活を楽しむことができる緑の中の都市、「CITY IN THE GREEN」の実現を目指してまいります。温暖化対策についてはCOP21などの国際的な動きや国内の動向を見極めながら、「江東区環境基本計画」に基づいて、省エネルギー、CO2削減を進めるとともに、(仮称)第二有明小・中学校を木質化、木構造にするなど、木材利用にも取り組んでまいります。
第4に、子育て・教育環境の整備についてであります。
保育所の待機児童解消については、私が区長に就任した平成19年以降、95施設、約5,600名の定員増を実現いたしました。長期計画(後期)5か年においても、引き続き認可保育所を積極的に整備することとしており、1日も早い待機児童の解消を目指してまいります。教育環境の整備については、南部地域の急激な人口増に対応するため、「(仮称)第二有明小・中学校」の新築工事に着手するほか、既存校の改築、改修を進めてまいります。また、放課後支援事業では、「江東きっずクラブ」について、平成29年度までに全小学校での実施を達成できるよう取り組みを進めるほか、来年度より江東区立以外の小学校に在籍する区内在住の児童についても、受け入れを行ってまいります。今後とも、安心して学校生活を送ることができる教育環境の実現と、放課後等の安全で健やかな居場所・生活の場の提供に努めてまいります。
第5に、高齢者・障害者関連施設の整備についてであります。
介護基盤の整備については、本年10月、塩浜一丁目に、介護専用型ケアハウスや都市型軽費老人ホームのほか、地域交流サロンも併設した、区内15か所目の特別養護老人ホーム「(仮称)故郷の家・東京」を開設いたします。今後も、在宅での生活が困難な高齢者等が、適切な施設に入所できるよう、整備促進に取り組んでまいります。
第6に、南北交通の利便性の向上についてであります。
区の悲願である地下鉄8号線豊洲―住吉間の延伸については、昨年7月、東京都の「広域交通ネットワーク計画」において「整備について優先的に検討すべき路線」と位置付けられました。検討対象となった37路線のうち、優先的に検討すべきとされた路線は、わずか5路線であり、改めて本路線の必要性、高い整備効果が示されたところです。また、本年3月末には、「東京圏における今後の都市鉄道のあり方」を示した国の答申が公表される見込みです。答申後の速やかな合意形成を目指している本区にとって、平成28年度はまさに地下鉄8号線整備に向けた正念場の年でありますので、引き続き、全力を挙げて取り組んでまいります。
第7に、災害に強いまちづくりの推進についてであります。
「防災都市江東」の推進を図るため、防災施設を整備するとともに、近年における台風の大型化などの豪雨によって引き起こされる大規模な水害に対しては、「江東五区大規模水害対策協議会」により、1自治体を超える住民の広域避難及び具体的な方針と対策について一体的に検討してまいります。木造住宅密集地域への対策については、これまでの不燃化特区事業における現地相談ステーションを核とした建替等の相談や老朽建築物の除却等の各種助成に加え、住民主体のまちづくりを行うべく、地区計画を見据えた更なる施策の充実に取り組みます。また、その他の木造住宅密集地域については、これまでに得られた知見を活用し、危険度等の高さを考慮して、「燃えない・燃え広がらないまちの実現」に向けて、順次調査し事業化を図ってまいります。
次に、長期計画(後期)における5つの施策の大綱に沿って、来年度の主な取り組みを申し上げます。

水と緑豊かな地球環境にやさしいまち

潮風の散歩道が整備される辰巳運河

潮風の散歩道が整備される辰巳運河

まず、「水と緑豊かな地球環境にやさしいまち」についてであります。区立公園・児童遊園については、八名川公園など4園で全面改修を行うとともに、耐用年数に達した遊具や施設の一部を対象とした小規模改修を、南砂三丁目公園など8園で実施いたします。仙台堀川公園整備事業については、隣接する道路の改修と合わせ、安全で開放感のある緑豊かな公園を目指します。来年度は、地域の特色を生かした魅力ある公園整備に向け、実施設計を行います。「水辺・潮風の散歩道」整備事業については、辰巳運河の辰巳一丁目に「潮風の散歩道」を整備し、水辺と緑のネットワークづくりを図ってまいります。また、豊洲ふ頭内公園等においては、平成29年度の事業開始に向け、管理運営事業者の公募を行い、民間事業者と連携した管理運営を行うことで、経費の削減を図るとともに魅力ある水辺空間の創出を目指してまいります。

温暖化対策事業については、区立全小学校が参加して実施している「カーボンマイナスこどもアクション事業」の継続的な活動が区内外から高く評価されており、低炭素杯2016のファイナリスト賞を受賞いたしました。引き続き本事業の充実に努めるとともに、来年度10周年を迎える「環境学習情報館えこっくる江東」を拠点として、地域における地球温暖化対策を一層推進してまいります。また、「みんなでまちをきれいにするポスターコンクール」の小学生部門区長賞作品を印刷した啓発シートを東陽町駅に続き、来年度は豊洲駅にも掲出し、環境美化の推進をより一層図ってまいります。
清掃リサイクル事業については、水銀含有廃棄物のより適正な処理とリサイクル推進のため、拠点回収している蛍光管と乾電池を、ごみ集積所における分別回収に変更し、回収量の増加を図ります。また、設備の老朽化や今後の処理量の増加等に対応するため、「江東区リサイクルパーク」を廃止し、4月からびん・缶・ペットボトルの中間処理業務の民間委託を開始いたします。「江東区一般廃棄物処理基本計画」については、来年度が現行計画の中間年度となることから、清掃事業を取り巻く状況の変化を踏まえて改定いたします。

未来を担うこどもを育むまち

次に、「未来を担うこどもを育むまち」についてであります。保育所の整備については、亀戸地区において、区内3番目となるサテライト方式による保育所を開設するなど、引き続き保護者ニーズや地域バランスに十分配慮しつつ、安心してこどもを産み、育てることができるまちとして、さらなる施設整備を進めてまいります。

(仮称)第二有明小・中学校完成イメージ

(仮称)第二有明小・中学校完成イメージ

子育て家庭への支援の充実については、6月より豊洲子ども家庭支援センターにおいて、新たに、「リフレッシュひととき保育」を開始いたします。また、11月には区民協働のイベントで「(仮称)こうとう子育てメッセ」を開催いたします。子育て中の保護者に様々な子育て支援情報を提供するとともに、区と地域の子育て支援団体とが連携し、社会全体で子育て家庭を支えるよう、取り組んでまいります。
児童虐待防止対策については、「KOTOハッピー子育てトレーニング事業」として、保護者の子育て力向上のプログラムを新たに導入し、虐待予防の取り組みを強化してまいります。また、増加している外国人区民に対するサービスアップを図るため、子育て支援課の窓口にタブレット端末を配備し、5か国語に対応できるクラウド型のビデオ通訳サービスを導入いたします。
学校施設の整備については、「(仮称)第二有明小・中学校」の整備のほか、校舎等の改築については、第五大島小学校の工事を行うとともに、香取小学校では、本区4校目となるワークショップを開催し、様々な意見や考えを取り入れながら、基本設計に着手いたします。また、改修については、3校で実施設計に、4校1園で工事に着手いたします。
特別支援教育については、平成28年度から、教員が巡回指導を行う特別支援教室を段階的に整備し、児童が在籍校において指導を受けられるようにするなど充実を図ってまいります。初年度は、豊洲西小学校通級区域を対象として順次巡回指導への移行を図り、その後、他校においても設置を進め、平成30年度には全小学校において巡回指導を実施いたします。
スクールソーシャルワーカーについては、不登校を始め、こどもを取り巻く様々な問題に対して、教育と福祉の両面から解決に向けて取り組み、成果をあげております。来年度は、さらに1名を増員し3名体制とし、これまでの学校の要請による派遣だけでなく、学校を定期的に巡回して積極的に問題解決に取り組んでまいります。

区民の力で築く元気に輝くまち

パラカヌー練習風景

パラカヌー選手を育成

次に、「区民の力で築く元気に輝くまち」についてであります。中小企業支援については、継承と革新をテーマとした「江東ブランド推進事業」が来年度は3年目となり、今年度新たに認定した企業8社を加えた29社が連携して活動を行うとともに、様々な展示会への出展を拡充します。今後も、江東ブランドの国内外へ向けた展開支援について、検討してまいります。また、雇用支援については、「中小企業若者就労マッチング事業」に加え、昨年10月に開設した「こうとう若者・女性しごとセンター」において、特に女性や新卒学生等の若者と中小企業とのマッチングを推進してまいります。商業振興については、商店街等のニーズにかなう多様な補助事業を実施するとともに、区内商店を支援する「江東お店の魅力発掘発信事業 ことみせ」の充実を図ってまいります。

スポーツ分野では、昨年3月に策定した、「江東区スポーツ推進計画」に基づき、区民の誰もが「いつでも、どこでも、いつまでも」スポーツに親しめる環境の充実ならびに2020年東京オリンピック・パラリンピックの中心地として、誇りあるスポーツ環境の整備を着実に進めてまいります。特に障害者スポーツの普及振興を重点に取り組むため、2020年のパラリンピック大会の出場を目指すパラカヌー選手輩出事業を引き続き実施していくとともに、区内在住の障害者スポーツ選手に対し、一部国際大会への遠征費を補助いたします。また、障害の有無に関わらず、誰もが楽しめるスポーツイベント「(仮称)障害者スポーツフェスティバル」や、障害者スポーツにかかる専門知識を有する指導員を養成するための講習会を開催するなど、障害者および障害者スポーツへの理解を促進し、4年後のパラリンピックに向け気運醸成を図ってまいります。
観光振興については、本年3月に平成28年度から32年度までを計画期間とする「江東区観光推進プラン(後期)」を策定いたします。今後は本プランに基づき、江東区観光協会と連携して、「住み続けたいまち江東」「何度訪れても楽しめるまち江東」を実現してまいります。
男女共同参画社会の実現については、女性活躍推進法の施行など新たな課題を取り込んで、本年3月に策定する「男女共同参画KOTOプラン」の改訂版に基づき、本区における諸課題に的確に対応し、社会状況の変化に即した施策を総合的かつ計画的に推進してまいります。

ともに支えあい、健康に生き生きと暮らせるまち

次に、「ともに支えあい、健康に生き生きと暮らせるまち」についてであります。現在、国民の2人に1人が、がんにかかり、3人に1人が、がんで亡くなっております。本区においても、がんは死因の第1位であり、がん対策は重要な課題であります。このため、「がん対策推進計画」に基づき、引き続き、積極的な施策の展開を図り、生活習慣病の予防及びがんの早期発見など、がん対策の充実に取り組んでまいります。

介護予防のための体操風景

4月から「介護予防・日常生活支援総合事業」がスタート

食の安全確保については、11月に開場する豊洲新市場及び周辺の暫定活用が予定されている施設への監視指導を重点的に行うとともに、引き続き食品に関する事件・事故の発生防止に努めてまいります。
また、妊娠出産支援事業については、育児の孤立化を防止し、出産や育児についての不安を軽減するため、全妊婦への面接やショートステイなどの産後ケアを提供するなど、妊娠期から産後における切れ目のない支援を行ってまいります。さらに、東京都が実施している不妊治療費の助成事業に、区独自の助成を上乗せし、不妊に悩む夫婦への支援も進めてまいります。
高齢者施策では、平成27年度からの3か年を計画期間とする「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」に基づき、介護の必要な状態になっても、可能な限り住みなれた地域で、能力に応じて自立した日常生活を営むことができるよう、医療・介護・介護予防・生活支援及び住まいが包括的に確保される「地域包括ケアシステム」の構築を目指してまいります。また、4月から開始する介護予防・日常生活支援総合事業において、効果的な介護予防と多様な生活支援サービスの実施により、地域社会全体で高齢者を支える柔軟な体制を整えてまいります。
障害者施策では、本年4月に施行される障害者差別解消法を踏まえ、障害者差別に関する相談窓口を設けるとともに、区民、事業者等への周知・啓発に取り組んでまいります。福祉施策では、区民生活の最後のセーフティネットである生活保護制度の適切・適正な運用と、生活保護に至る前の生活困窮者に対する相談窓口を活用するとともに、貧困の連鎖を防止するため、生活保護受給世帯などの生徒等に対する学習支援等をより充実させてまいります。

住みよさを実感できる世界に誇れるまち

コミュニティサイクルの自転車

コミュニティサイクル実証実験

次に、「住みよさを実感できる世界に誇れるまち」についてであります。コミュニティサイクル実証実験については、昨年3月に東京都及び本区、千代田区、中央区、港区で結んだ基本協定に基づき、4区での相互乗り入れを調整してきましたが、この度、2月1日から4区での相互乗り入れ実験を開始いたしました。今後は、3年間で区内全域に拡大してまいります。また、本区では、区民はもちろんのこと、オリンピック・パラリンピックを契機とした国内外からの多くの来訪者などが、国籍や年齢、障害の有無にかかわらず、快適に過ごせるまちづくりを進めております。昨年策定した、「オリンピック・パラリンピックまちづくり基本計画」を踏まえ、本区ではハードの整備だけではなく、優しく思いやりのある心を育てる心のユニバーサルデザインを推進し、世界に開かれた江東区を目指します。

住宅施策については、区営住宅において、老朽化による事故等を防ぐとともに、予防保全的な維持管理を行い、耐久性の向上を図ってまいります。また、既存住宅の適正な維持管理支援については、区民ニーズやマンション実態調査の分析結果を踏まえ、良好な住環境整備のため、一層の支援を行ってまいります。民間建築物の耐震化促進については、耐震診断が完了した物件に対して、耐震改修の働きかけを強め、まちの安全性向上に努めてまいります。
区道の無電柱化については、防災上及び景観上有効な施策であり、来年度は、2020年東京オリンピック・パラリンピック会場周辺路線となる東雲及び辰巳地区において、工事に着手いたします。東日本大震災により被災した新木場地区の道路については、平成24年度より復旧工事を行ってまいりましたが、来年度の工事をもって道路の復旧を完了する予定であります。
橋梁の改修については、江東区橋梁長寿命化修繕計画に基づき、来年度は引き続き三島橋の架替、中川大橋の改修を進めるとともに、新たに雲雀橋の改修に着手いたします。
自転車対策については、本年度策定の「江東区自転車利用環境推進方針」に基づき、自転車安全教室の対象拡大や自転車通行環境の整備など、安全で快適な自転車利用環境の構築を進めてまいります。
鉄道駅のバリアフリー推進については、視覚障害者のホーム転落事故を防止するため、鉄道事業者が行う内方線付き点状ブロック整備費用の一部を区が助成し、人に優しいまちづくりを推進します。

長期計画の実現に向けての取り組み

最後に、長期計画の実現に向けての取り組みについてであります。協働の推進に向けた取り組みとして、協働事業提案制度で採択した事業の実施を通じて、協働のプロセスの理解と市民活動団体との連携促進を図るとともに、「コミュニティ活動支援サイト」の活用による市民活動団体の情報発信の支援を行ってまいります。また、協働するための環境整備に取り組み、団体活動の活性化に努めてまいります。
来年度は本区のホームページを全面リニューアルいたします。行政情報を伝える媒体として充実・強化を図りつつ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、区の魅力を積極的に国内外へ発信してまいります。また、区議会におけるペーパーレス会議導入については、省資源化を図る議会の取り組みに対し、予算を計上したところであります。
行財政運営にあたっては、後期も引き続き、「江東区行財政改革計画」を着実に推進しつつ、外部評価を活用した事業見直しや、新たな施策の創出などを通し、長期計画の着実な推進を図ってまいります。
以上、本区が直面する課題について、長期計画(後期)に沿って、所信の一端を申し述べました。
本区の大きな転換期となる2020年東京オリンピック・パラリンピックまで、いよいよあと4年となりました。今後も50万区民の信頼と負託に意欲・スピード・思いやりを持って応えるとともに、基本構想が目指す江東区づくりにまい進してまいりますので、議員各位のより一層のご理解、ご協力をお願い申しあげます。
なお、本定例会には、平成28年度当初予算及び平成27年度補正予算をはじめ契約案、条例案などあわせて41件を提案いたしております。よろしくご審議の程お願い申し上げまして、私の所信表明といたします。

お問い合わせ

政策経営部 企画課 企画担当(庶務) 窓口:区役所4階1番

郵便番号135-8383 東京都江東区東陽 4-11-28

電話番号:03-3647-9167

ファックス:03-3699-8771

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