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更新日:2022年1月21日

所信表明 平成27年2月19日発表分

本日、平成27年2月19日をもって、平成27年第1回区議会定例会を招集いたしました。開会にあたり、江東区政が直面する課題と、あるべき区政運営について、私の所信の一端を申し述べたいと存じます。

「平成27年度予算編成の大綱」について

まず、平成27年度予算編成の大綱についてであります。
はじめに、国や都の状況についてですが、日本経済は当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善傾向が続く中で、原油価格下落の影響や各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待されております。しかし、消費者マインドの弱さや海外景気の下振れなどの要因もあることから、先行きを楽観視できる状況ではありません。
こうした経済情勢を踏まえ、国の平成27年度予算は、「経済再生と財政再建の両立を実現する予算」として編成されております。一般会計総額は、前年度比0.5%増の96兆3,420億円となり、過去最大の予算規模となっております。

江東区長 山﨑孝明

平成27年第1回区議会定例会(平成27年2月19日)

一方、税収は企業業績の伸びなどによる増もあり、54兆5,250億円と24年ぶりの高水準となっております。また、税収不足を補う新規国債発行額は、36兆8,630億円で、6年ぶりに40兆円を下回るものの、公債依存度は38.3%と、依然として厳しい財政状況が続いております。
次に、東京都でありますが、「東京を『世界一の都市』へと飛躍させる予算」として編成されております。
平成27年度一般会計の予算規模は、前年度比4.3%増の6兆9,520億円で、3年連続の増となり、政策的経費である一般歳出においても、前年度比3.2%増の4兆8,608億円と、一般会計同様に3年連続の増となっております。
また、特別区の財政運営に影響を与える都税収入においては、前年度比7.5%増の5兆216億円となっており、そのうち法人二税は、1兆6,632億円と、前年度と比べて3.2%の増となっております。
都税については、堅調な企業収益や地方消費税率の引き上げの影響などから増収が見込まれているものの、法人二税の占める割合が高いことから、景気変動の影響を受けやすく、不安定な増減を繰り返しております。そのため、今後の税収動向を慎重に見極める必要があるとしております。
次に、本区を取り巻く財政状況についてであります。
まず、特別区民税については、納税義務者数の増加や、所得環境の改善等により増となり、特別区税としては、466億円、前年度比4.3%増と3年連続の増加で、過去最大規模を見込んでおります。
また、特別区交付金については、法人住民税法人税割の一部国税化による影響で、特別区全体で減収が見込まれてはおりますが、本区においては人口急増や投資的経費の伸びもあることから、昨年度と同額の478億円としております。
このように、本区の歳入の根幹である特別区税では増収、特別区交付金も昨年度と同額と見込んでおりますが、本区の財政基盤は景気動向などに大きく左右される脆弱な構造となっております。
現在、景気は回復基調にあるものの、平成29年4月に予定されている消費税増税や、地方法人課税のさらなる見直しなどもあり、本区を取り巻く歳入環境は、依然として厳しい状況であると認識しております。今後の財政運営につきましても、国・都の補助制度を活用することはもとより、これまで培ってきた基金や起債の財政力を最大限有効活用していくことが重要であると考えております。
平成27年度予算については、人口50万人となり飛躍を続ける江東区が、今後、区外、世界へもさらに魅力を発信する予算として、「50万人都市・江東 魅力発信予算」を編成いたしました。一般会計の当初予算規模は、1,767億6,900万円で、前年度比、1.4%増となっております。
以下、予算の特徴を申し上げます。
まず、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた取り組みとして、新たに「江東区東京オリンピック・パラリンピック基金」を設置いたします。これは大会成功に向け、区が実施する関連事業の財源を確保するとともに、財政の透明性を高めるため収支の明確化を図るものです。27年度には、会場周辺路線無電柱化事業をはじめ、パラリンピックカヌー選手輩出に向けた選手の育成や、江東区の魅力を区外、世界に積極的に発信していくためのブランディング戦略の検討などに活用してまいります。
また、長期計画(後期)におけるハード事業では、引き続き待機児童解消に向けて、私立保育所整備を進め、1,000人を超す定員を増やしてまいります。収容対策では、本年4月に豊洲西小学校が開校するほか、(仮称)第二有明小・中学校の整備や、既存校の増築を進めてまいります。なお、豊洲西小学校では、5月より温水プールやトレーニング室の地域への一般開放をスタートいたします。
さらに、8月には、災害時の救援物資輸送拠点となる江東区中央防災倉庫が完成するほか、9月には、区南部地域の拠点となる、出張所、文化センター、図書館等の複合施設「豊洲シビックセンター」を開設いたします。
豊洲シビックセンター内の出張所では、取扱業務を拡大し、戸籍の届出や児童手当の申請、保育園の入園相談などを身近な出張所でできるようにするとともに、外国語対応も可能なフロアマネージャーを配置し、きめ細やかな窓口誘導や申請書の記載案内などにより、区民サービスの向上を図ります。
次に、ソフト事業では、民間建築物耐震促進事業でマンション耐震改修助成の拡充を図るほか、放課後子どもプラン事業では新たに7校で江東キッズクラブの開設を行い、全校展開に向けて推進してまいります。
27年度は、長期計画(後期)5か年のスタートの年であることからも、主要事業の着実な推進に向け、予算を計上しております。
そのほかにも、環境配慮の取り組みとして、二十三区初の燃料電池自動車の庁有車への導入、若者・女性等の求職者を対象としたマッチング事業による中小企業への支援、生活困窮者に対する総合相談窓口を開設し、各種支援事業を開始するなど、区民生活に密接にかかわるハード・ソフト両面において、きめ細やかな展開をしてまいります。
一方、予算編成にあたっては、財政の健全性を確保し、将来に向け安定的かつ継続的な区民サービスを提供できる財政基盤を構築するため、事務事業の総点検による事業の見直し、区民税等の徴収対策や広告事業の推進などの歳入確保、民間委託の推進など、行財政改革にも積極的かつ着実に取り組んでおります。
その結果、新たな取り組み、事業の拡充、見直しについて予算に反映いたしました。
次に、特別会計について申し上げます。
はじめに、国民健康保険会計の予算規模は、633億600万円で、前年度比17.4%の増となっております。
これは、保険財政共同安定化事業において、対象の医療費が拡大したことによるものであります。
次に、介護保険会計の予算規模は、300億6,300万円で、前年度比2.4%の増となっております。
これは、介護サービス利用件数の増などから、保険給付費が増となっていることによるものであります。
次に、後期高齢者医療会計の予算規模は、81億2,700万円で、前年度比4.4%の増となっております。
これは、被保険者数の増などにより、広域連合納付金が増となったためであります。
なお、一般会計と三つの特別会計を合わせた総予算規模は、2,782億6,500万円で、前年度比4.9%の増となり、一般会計及び総予算規模において、これまでの最大の予算規模となっております。
平成27年度予算の大綱は、以上のとおりであります。

「江東区長期計画(後期)」について

次に、江東区長期計画(後期)についてであります。
現在の長期計画は、平成22年3月に策定いたしましたが、この間、東日本大震災の発生や東京オリンピック・パラリンピックの開催決定など、区政を取り巻く環境は大きく変化し、新たな課題も生じております。
こうした長期計画策定時には想定し得なかった社会経済情勢の変化や多様化する区民ニーズに的確に対応するため、本年3月に、平成27年度から31年度までを計画期間とする「江東区長期計画(後期)」を策定いたします。
この計画では、長期計画で示した考え方を踏襲しつつ、必要に応じて見直しを行っております。
その結果、長期計画(後期)では、2つの重要課題と7つの重点プロジェクトを掲げましたので、まず、本区の重要課題について申し上げます。

「本区の重要課題」について

第1に、築地市場の豊洲移転整備についてであります。
東京都は、昨年末、豊洲新市場の開場時期を平成28年11月上旬と決定いたしました。
本区は、これまで、食の安全を守るために土壌汚染対策を確実に実施するよう、求めてまいりましたが、昨年10月に土壌汚染対策工事が完了し、11月に開催された「豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」の結果、東京都として豊洲新市場用地の安全性が確認できたとのことであります。今後も、地下水管理システムの運用状況などを注視し、継続して安全性の確保を求めてまいります。
さらに、引き続き、市場に併設される千客万来施設について、現在の築地の賑わいを継承・発展させ、新たな観光名所とすること、地下鉄8号線の延伸などの総合的な交通対策の実施や、「豊洲グリーン・エコアイランド構想」に定める環境まちづくりへの最大限の配慮などを東京都に対して求めてまいります。
第2に、中央防波堤埋立地の帰属についてであります。
改めて申し上げるまでもなく、この埋立地は、長年にわたり、ごみの終末処理をすべて負わされてきた江東区民の犠牲の上に造成された土地であり、本区に帰属することは明白であります。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、中央防波堤埋立地でも馬術やマウンテンバイクなど、3つの競技場が整備される予定となっております。
円滑な競技場の整備、運営等はもとより、大会終了後の土地利用を見据えると、早急に本帰属問題を解決しなければならないと考えております。
今後も、区民・区議会のご理解とご協力のもと、毅然とした強い姿勢で、本区の主張を関係機関に対し働きかけてまいります。

中央防波堤埋立地

競技場も整備される予定の中央防波堤埋立地

「重点プロジェクト」について

中央防災倉庫

8月に完成予定の中央防災倉庫

次に、7つの重点プロジェクトについて申し上げます。
第1は、オリンピック・パラリンピック開催への準備についてであります。
本年度もオリンピック・パラリンピック開催に向けた取り組みを行ってまいりましたが、来年度からは、新たに設置する「江東区東京オリンピック・パラリンピック基金」を活用して、事業を実施してまいります。
今後とも、大会の成功はもとより、スポーツの振興、ボランティア活動の推進など様々な分野において、レガシーを将来に継承し、本区のさらなる発展につながる施策の推進に取り組んでまいります。

第2に、南部地域における公共施設の整備についてであります。
区では、南部地域における大規模開発等に伴う人口増に対応するため、公共施設の整備に取り組んでまいりました。その結果、本年4月には豊洲西小学校、豊洲駅地下自転車駐車場が、9月には豊洲シビックセンターがオープンいたします。
南部地域では、今後も人口増が見込まれ、さらなる公共施設の整備が必要と考えておりますが、現時点でオリンピック・パラリンピック開催後の開発や人口の動向について、その詳細を見通すことは難しい状況であります。
今後、人口動向を注視しながら、認可保育所や子育て支援施設、小中学校、保健・福祉施設など必要な公共施設の選定や、整備時期、民間活力の活用も含めた効率的・効果的な整備手法等について検討を進めてまいります。
第3に、緑化・温暖化対策の推進についてであります。
緑化対策については、「江東区CIGビジョン」をもとに、公共施設の緑化を着実に推進するとともに、区民や事業者の皆さんとの協働を進め、みんなが緑の豊かさを実感しながら、毎日の生活を楽しむことができる緑の中の都市、「CITY IN THE GREEN」の実現を目指してまいります。
温暖化対策では、引き続き、太陽光エネルギーや省エネルギー設備の導入促進等を図ることにより、地球温暖化の防止を目指してまいります。
さらに、江東区公共建築物等における木材利用推進方針に基づき、(仮称)第二有明小・中学校の整備にあたり、本区初の試みとして一部木構造を導入するなど、積極的な木材利用を図り、温暖化対策を推進してまいります。
第4に、子育て・教育環境の整備についてであります。
保育所の待機児童解消については、区の最重要課題のひとつとして、私が、区長に就任した平成19年以降、約4,500名の定員増を実現いたしました。とりわけ、昨年は、全国初として注目を浴びた江東湾岸サテライト保育をはじめ、約1,200名の定員増を図ったところであります。
長期計画後期5か年においても、認可保育所を積極的に整備し、5,000名を超える定員増を図ることにより、実質的な待機児童の解消を目指してまいります。
教育環境の整備については、南部地域の急激な人口増に対応するため、平成29年度の竣工に向け、(仮称)第二有明小・中学校の整備を進めてまいります。
また、放課後支援事業では、「江東きっずクラブ」について、計画の前倒しを図り、平成29年度までに全小学校での実施を達成できるよう取り組みを進めてまいります。
今後とも、安心して学校生活を送ることができる教育環境の実現と、放課後等の安全で健やかな居場所・生活の場の提供に努めてまいります。
第5に、高齢者・障害者関連施設の整備についてであります。
塩浜一丁目において、区内15か所目となる特別養護老人ホームの整備を進めるとともに、長期計画後期5か年で介護専用型ケアハウスを1か所、都市型軽費老人ホーム、認知症高齢者グループホーム、小規模多機能型居宅介護施設をそれぞれ5か所整備し、高齢者が住み慣れた地域で、必要なサービスが受けられる環境を整備してまいります。
第6に、南北交通の利便性の向上についてであります。
区の悲願である地下鉄8号線豊洲―住吉間の延伸については、昨年、国が開催している次期答申に向けた小委員会において、私自ら、本路線の必要性・緊急性を訴えてまいりました。小委員会に呼ばれた自治体は本区を含め2自治体のみであり、これまでの区及び区議会の一体的な取り組みが、国において高く評価されたものと認識しております。
また、併せて国土交通大臣、東京都知事に対しても、早期整備を要望するなど、関係機関の理解を得られるよう、鋭意活動を行っております。
今後も、国や東京都との合意形成に全力を尽くすとともに、建設基金の積立てを継続し、一日も早い整備着手を目指してまいります。
第7に、災害に強いまちづくりの推進についてであります。
区民の生命・安全を守る基礎自治体として、江東区中央防災倉庫の整備など、引き続き、防災施設の充実を図るとともに、地域の様々な主体が共に連携しあえる体制づくりなど、地域防災力のさらなる向上に努めてまいります。
また、木造住宅密集地域への対策としては、不燃化特区制度を活用し、北砂地区に開設した現地相談ステーションを基点に、地域の皆さんの声を聴きながら、建替え等の促進や居住環境の改善に取り組み、「燃えない・燃え広がらないまち」の実現を目指してまいります。
次に、長期計画(後期)における5つの施策の大綱に沿って、来年度の主な取り組みを申し上げます。

「水と緑豊かな地球環境にやさしいまち」について

まず、「水と緑豊かな地球環境にやさしいまち」についてであります。
区立公園・児童遊園の改修については、牡丹町公園など4園で大規模改修を行うとともに、遊具や施設の一部を対象とした小規模改修を、砂町橋公園など8園で実施いたします。
仙台堀川公園整備事業については、老朽化した親水公園の更新時期にあわせ、隣接する道路と一体的に整備し、安全な遊歩道・自転車道の機能を備えた緑豊かな憩空間の創出を目指します。環境、レクリエーション、防災と多様な機能を有し、地域の特色を生かした魅力ある公園の整備に向け、基本設計を実施いたします。

仙台堀川公園および隣接道路

仙台堀川公園の基本設計を実施

水辺・潮風の散歩道の整備事業については、大横川の木場五丁目に「水辺の散歩道」、豊洲運河の豊洲一丁目に「潮風の散歩道」を整備し、水辺と緑のネットワークづくりを図ってまいります。
また、豊洲ふ頭内公園等においては、民間事業者と連携した管理運営事業を行うことで、経費の削減を図るとともに魅力ある水辺空間の創出を目指してまいります。
環境保全と温暖化対策では、本年度改定する江東区環境基本計画を着実に実行してまいります。計画では、「地球温暖化・エネルギー対策の推進」、「循環型社会の形成」など6つの柱に加えて、東京オリンピック・パラリンピック開催と災害対策の視点を盛り込み、今後の社会状況の変化に的確に対応していくものとしております。中でも、水素社会への取り組みでは、いち早く、庁有車に燃料電池自動車を導入するほか、インフラ整備についても、環境先進都市として相応しい取り組みを進めてまいります。
また、来月オープンするマイクロ水力発電施設については、本区の再生可能エネルギーの新たなシンボルとして環境学習や観光に活用してまいります。
清掃事業では、区で収集している不燃ごみを民間事業者に委託して、ほぼ全量資源化いたします。これにより埋立処分量の大幅な削減が図られ、最終処分場の延命化への効果が期待されます。

「未来を担うこどもを育むまち」について

第二亀戸小・幼稚園(完成イメージ)

第二亀戸小・幼稚園(完成イメージ)

次に、「未来を担うこどもを育むまち」についてであります。
本年4月から、「子ども・子育て支援新制度」がスタートいたします。新制度の実施に向けては、平成27年度から31年度までを計画期間とする「江東区こども・子育て支援事業計画」を本年3月に策定し、教育・保育の場の確保と子育て家庭への支援を着実に実施してまいります。
保育所の整備については、本年4月に、環境や防災に配慮した、新たな(仮称)江東湾岸サテライト・スマート保育所の開設を予定しており、小規模認可保育所など認可外からの移行も含め、4月には定員約1,200名分の認可保育所13か所を整備いたします。
また、相談件数が増加している児童虐待については、関係機関とさらに連携強化を図り、支援が特に必要な家庭に、迅速に養育支援の訪問や子育て短期支援を実施するなど、児童虐待の早期予防に努めてまいります。

学校施設の整備については、(仮称)第二有明小・中学校の実施設計を行うとともに、南陽小学校、東雲小学校、有明小学校及び北砂小学校の増築工事を行い、着実な収容対策を図ってまいります。
校舎等の改築については、来年度の竣工に向け、第二亀戸小学校・幼稚園の工事を進め、第五大島小学校ではワークショップ形式での検討結果を生かした実施設計に着手いたします。また、改修については、2校で工事に、4校1園で設計に着手いたします。
教育分野については、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正を踏まえ、来年度から区長と教育委員による総合教育会議を設置するとともに、「教育推進プラン・江東」の後期計画で新たに策定する「(仮称)江東区教育ビジョン」をもって、教育行政の大綱とし、本区の教育の方向性を明確にしてまいります。
また、本区の特色ある教育として、専門講師を派遣した俳句授業の充実を図り、すべてのこどもたちが俳句に親しむまち江東を目指し、俳句教育をさらに推進してまいります。
さらに、東京オリンピック・パラリンピックに出場できるような選手育成も視野に入れ、セーリング部、カヌー部、女子サッカー部など特色ある部活動の一層の充実に取り組んでまいります。
次に、いじめの問題については、こどもの心の健全育成に関わるものであり、昨年策定した「江東区いじめ防止基本方針」に基づき「健全育成総合対策」を着実に実施いたします。こどもの心に寄り添い、学校や保護者、地域、関係機関が連携し、心の教育の充実と、いじめのない社会の実現を目指してまいります。
また、安心して通える楽しい学校づくりの推進として、小学校通学路への防犯カメラ設置に取り組みます。平成30年度までに、区立小学校全校へ計画的に設置し、通学路における児童の安全確保の強化を図ってまいります。
ニート・ひきこもり等の問題を抱える若者への支援については、青少年センターにおける相談や居場所づくり等の支援策を拡充してまいります。

「区民の力で築く元気に輝くまち」について

次に、「区民の力で築く元気に輝くまち」についてであります。
本年度開始した「江東ブランド推進事業」において認定された18事業所、3伝統工芸品を江東ブランドとして、東京インターナショナルギフトショーに出展いたしました。今後は、認定企業を増やすとともに、海外進出支援の検討を開始いたします。
商業振興では、東京オリンピック・パラリンピックを控え、商品説明やメニュー、看板などの多言語表記や接客に活用するコミュニティボードの作製など、外国人観光客の受け入れ環境を整備する事業者への補助を開始いたします。
また、商店街で生鮮品を取り扱う店舗の改修や設備を更新する際の費用を補助します。

豊洲図書館(完成イメージ)

広々とした利便性の高い図書館に(豊洲シビックセンター内)

人材・労働力確保の支援では、「(仮称)こうとう若者・女性しごとセンター」を開設し、中小企業若者就労マッチング事業に加え、新たに、出産育児等で離職した女性や、新卒の学生を区内中小企業とマッチングさせ、就労に導く事業を開始いたします。
スポーツ分野では、本年3月に策定を予定している「江東区スポーツ推進計画」に基づき、区民がより一層スポーツに親しめる環境の整備を着実に進めてまいります。
観光振興については、平成22年度に策定した「江東区観光推進プラン」について、東京オリンピック・パラリンピックの開催決定など、社会・経済情勢等の変化を踏まえ、中間年にあたる来年度に見直しを行います。
また、今後増加が予測される外国人観光客に向けた誘客事業を展開するとともに、外国語版の観光マップを作成するなど、受け入れ態勢の整備を図り、江東区観光協会と連携して、区全体の観光振興を積極的に推進してまいります。
男女共同参画社会の実現については、本年度実施した「男女共同参画意識実態調査」の結果を反映させて、新たに「第六次男女共同参画行動計画」を策定し、最近の社会情勢や江東区の現状を踏まえた施策を総合的に推進してまいります。
豊洲シビックセンターに開設する豊洲図書館は、面積を現在の約1・8倍に広げ、育児支援のための特設コーナー等を充実させた一般フロア、自由なスタイルで読書が楽しめる児童とティーンズのフロア、乳幼児を対象とした読書と遊びが楽しめる「おはなしのへやキッズ」などを配置いたします。自動貸出機、返却機と予約資料の自動受け取りコーナーも導入し、利便性の高い図書館サービスを提供してまいります。

「ともに支えあい、健康に生き生きと暮らせるまち」について

グループホームきらら東大島

建設中の「グループホームきらら東大島」

次に、「ともに支えあい、健康に生き生きと暮らせるまち」についてであります。
近年、生活習慣病による死亡率が増加しております。とりわけ、がん対策は重要な課題であり、「がん対策推進計画」に基づき、引き続き、積極的な施策の展開を図り、生活習慣病の予防及びがんの早期発見など、がん対策の充実に取り組んでまいります。
また、在宅医療の重要性が高まるなか、医療と介護の連携が求められております。住み慣れた地域で安心して暮らすために、区民を含めた在宅医療にかかわる多様なメンバーによる連携会議の設置や、在宅医療の相談窓口の整備などにより、在宅医療連携を進めてまいります。

また、感染症対策では、町会・自治会の協力のもと、デング熱等を媒介する蚊の防除を強化いたします。
食の安全確保については、区民の意見を反映させた食品衛生監視指導計画に基づき、カンピロバクターやノロウイルスなどの食中毒の予防対策を啓発してまいります。
高齢者施策では、平成27年度からの3か年を計画期間とする「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」を本年3月に策定し、団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据えた地域包括ケアシステムの構築を目指します。計画の基本理念には引き続き「ともに支えあい、健やかに生き生きと暮らせる地域社会の実現」を掲げ、施策の充実・強化を図るとともに、来年度からの介護保険制度の改正に向け、的確な対応を図ってまいります。
また、介護基盤施設の整備では、区内18か所目の認知症高齢者グループホームを、本年5月に大島七丁目に開設いたします。さらに、認知症の方へのサービスをわかりやすく説明するためのガイドブックの作成や認知症カフェ運営費の補助を行い、認知症の方やその家族等に対する支援を推進してまいります。
障害者施策では、在宅で医療的ケアが必要な、重症心身障害児(者)に対して、看護師を自宅に派遣し、一定時間家族等に代わって介護することで、家族の方などに一時的な休息・休養をとっていただくモデル事業を実施いたします。
また、障害者が地域で自立した生活を送るためには、様々なニーズや課題にきめ細かく対応し、適切な障害福祉サービスに結びつけていく必要があることから、塩浜福祉園など区立障害者支援施設に相談支援専門員を配置し、相談支援体制の充実を図ってまいります。
区民生活を守る最後のセーフティネットである生活保護制度の役割は、益々重要となっており、今後とも、必要な人には確実に保護を実施してまいります。また、本年4月施行の生活困窮者自立支援法に基づき、新規事業として、生活困窮者に対し早期の支援を行う自立相談支援事業の実施や、貧困の連鎖を防止するため、生活保護受給世帯等を対象とする学習支援事業に取り組んでまいります。

「住みよさを実感できる世界に誇れるまち」について

次に、「住みよさを実感できる世界に誇れるまち」についてであります。
「オリンピック・パラリンピックまちづくり基本計画」を本年中に策定し、レガシーを活かしたまちづくりを推進するとともに、その効果を区内全域へ広げ、大会後も持続的な発展を獲得できるよう、取り組みを進めてまいります。また、性別・年齢・障害の有無・国籍などに関わらず多様な人々が安全・安心、快適に暮らせるユニバーサルデザインのまちづくりをあわせて推進してまいります。
コミュニティサイクルの実証実験については、順調に利用者数を伸ばし交通手段の一つとして定着しておりますが、さらなる利便性向上を図るため実験期間を平成30年3月末まで延長することといたしました。今後は電動アシスト自転車の導入や、広域展開を見据えたエリア拡大などに取り組んでまいります。
住宅施策については、区営住宅における計画的改修の着実な実施による維持管理や長寿命化に努め、高齢者住宅においては、安否確認システムの更新を行うなど安心して住み続けることができる住環境を整備いたします。
また、本年度実施したマンション実態調査の調査結果に基づく課題整理等を踏まえ、区内マンションが適正管理を行うための支援の充実やマンション建設指導の内容等について検討を行ってまいります。
民間建築物の耐震化促進については、マンションの耐震改修に係る補助金の上限額を1,000万円から2倍の2,000万円に増額し、耐震化を促進いたします。
都市計画道路の整備については、補助115号線の完成に向け、引き続き事業を推進してまいります。
区道の無電柱化については、防災上及び景観上有効な施策であり、現在、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、東雲地区及び辰巳地区の会場周辺路線において、無電柱化に着手したところです。
なお、東日本大震災により被災した新木場地区の道路については、来年度も引き続き歩道を中心に復旧工事を行ってまいります。
橋梁の改修については、江東区橋梁長寿命化修繕計画に基づき、本年度、三石橋、平野橋の架替が終了いたします。来年度は、引き続き三島橋の架替を進めるとともに、新たに中川大橋の改修工事に着手いたします。

競技場予定地(有明地区)

競技場などが整備される臨海部

「長期計画の実現に向けての取組み」について

最後に、長期計画の実現に向けての取組みについてであります。
協働の取り組みを一層推進するため、コミュニティ活動支援サイトの利用促進や、新たに採択した「江東区内ことばの道案内作成・提供」と「江東区内『だれでもトイレ』の詳細情報の調査」の2事業を着実に実施するとともに、市民活動団体と行政との仲介役となる「中間支援組織(仮称)市民活動推進センター」の整備について、より具体的に進めてまいります。
また、建築行政については、オリンピック・パラリンピック開催に向け建築需要の増加が見込まれる中、建築計画に必要な各種情報をインターネットで提供できる「建築情報閲覧システム」を構築し、区民や事業者に対して利便性の向上を図ってまいります。
以上、本区が直面する課題について、長期計画(後期)に沿って、所信の一端を申し述べました。
私は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催は、江東区を世界に誇れるまちにするため、そして、未来のこどもたちへ美しい町を残すための絶好の機会と考えており、その実現のために、引き続き区政を担う決意であります。
今後も50万区民の信頼と負託に、意欲・スピード・思いやりを持って応え、基本構想が目指す未来の江東区づくりにまい進してまいる所存ですので、より一層の議員各位のご理解、ご協力をお願い申し上げます。
なお、本定例会には、平成27年度当初予算及び平成26年度補正予算をはじめ契約案、条例案などあわせて34件を提案いたしております。
よろしくご審議の程お願い申し上げまして、私の所信表明といたします。

お問い合わせ

政策経営部 企画課 企画担当(庶務) 窓口:区役所4階1番

郵便番号135-8383 東京都江東区東陽 4-11-28

電話番号:03-3647-9167

ファックス:03-3699-8771

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