○江東区マンション建替法容積率許可要綱
令和5年3月31日
4江都建第1162号
目次
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 計画要件(第5条)
第3章 計画基準(第6条―第10条)
第4章 容積率制限の緩和(第11条―第20条)
第5章 雑則(第21条―第24条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この要綱は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(平成14年法律第78号。以下「法」という。)第105条第1項の規定に基づく容積率の許可(以下単に「許可」という。)に関して必要な事項を定めることにより、要除却認定マンションの除却又は建替えを促進するとともに、新たに建築されるマンションにおける公開空地の確保、地域の防災、環境等への貢献等を通じて、市街地環境の整備改善に資することを目的とする。
(基本目標)
第2条 都市計画等に基づく地域のまちづくりの方針に沿った良好な市街地環境の形成を目指し、建築活動を通じて市街地環境の向上に資するよう建築計画を誘導するため、マンション建替法容積率許可制度の運用に当たっての基本目標を次のとおり定める。
(1) 市街地環境の整備改善
(2) 良好な建築・住宅ストックの形成
(3) 公共施設の機能の補完
(4) 市街地の防災機能の強化
(5) 福祉のまちづくりの推進
(6) 少子高齢社会にふさわしい住まいの整備
(7) 敷地の集約による質の高い市街地形成
(8) 良好な都市景観の創造
(9) 緑化の推進
(10) 生物多様性の保全
(11) 低炭素型都市づくりの推進
(運用方針)
第3条 この要綱は、許可の取扱方針を定めるものであるとともに、許可の申請に当たり、必要な条件を示すものとする。
2 許可の要件を十分に満たすものであるか否かは、具体的な計画に即し、前2条の規定に照らして総合的見地から判断するものとする。
(1) 計画建築物 許可の計画に係る建築物をいう。
(2) 要除却認定マンション 法第102条第1項の認定を受けたマンションをいう。
(3) 活用方針 新しい都市づくりのための都市開発諸制度活用方針(平成15年6月東京都都市整備局策定)をいう。
(4) 中枢広域拠点域 活用方針に定める中枢広域拠点域をいう。
(5) 中核的な拠点地区 活用方針に定める中核的な拠点地区をいう。
(6) 活力とにぎわいの拠点地区群 活用方針に定める活力とにぎわいの拠点地区群をいう。
(7) 活力とにぎわいの拠点地区 活用方針に定める活力とにぎわいの拠点地区をいう。
(8) 中核的な拠点周辺地区 活用方針に定める中核的な拠点周辺地区をいう。
(9) 国際ビジネス交流ゾーン 活用方針に定める国際ビジネス交流ゾーンをいう。
(10) 基準建蔽率 建築基準法(昭和25年法律第201号)第53条の規定により許容される建築物の建築面積の敷地面積に対する割合の限度を百分率(%)で表したものをいう。
(11) 基準容積率 建築基準法第52条の規定により許容される建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の限度を百分率(%)で表したものをいう。
(12) 割増容積率 この要綱によって基準容積率に割増しされる容積率(%)をいう。
(13) 地上部の緑化 江東区みどりの条例施行規則(平成12年3月江東区規則第23号)第6条第1項第1号に規定する地上部の緑化をいう。
(14) 建築物上の緑化 江東区みどりの条例施行規則第6条第1項第2号に規定する建築物上の緑化をいう。
(15) PAL* 建築物の断熱及び熱負荷の低減に係る指標をいう。
(16) PAL*の低減率 PAL*の基準値に対するPAL*の値の低減率をいう。
(17) ERR 設備システムのエネルギー利用の低減率をいう。
(18) サービス付き高齢者向け住宅等 活用方針に定めるサービス付き高齢者向け住宅等をいう。
(19) 子育て支援住宅 活用方針に定める子育て支援住宅をいう。
(20) 子育て支援施設 活用方針に定める子育て支援施設をいう。
(21) 歴史的建造物 建築基準法第3条第1項各号に該当する建築物、景観法(平成16年法律第110号)第19条第1項に規定する景観重要建造物並びに東京都景観条例(平成18年東京都条例第136号)第22条第1項に規定する都選定歴史的建造物及び選定対象外建造物をいう。
(22) 一時滞在施設 帰宅が可能になるまで待機する場所がない帰宅困難者を一時的に受け入れる施設をいう。
(23) 待機スペース 帰宅が可能になるまで待機する場所がない帰宅困難者が一時滞在施設内において待機する空間をいう。
(24) 計画適合認定マンション 東京都マンション再生まちづくり制度要綱(平成29年3月30日付28都市住マ第322号)第7の規定により区の認定を受けたマンションの再生に係る計画に位置付けられたマンションをいう。
(25) 生物の生息空間 公開空地等における生物生息空間について(令和2年12月22日付2都市政緑第476号)に定める生物の生息空間をいう。
(26) 水害時の一時避難施設 活用方針に定める水害時の一時避難施設をいう。
第2章 計画要件
(計画の基本要件)
第5条 この要綱が適用される計画の基本的な要件は、次に掲げるとおりとする。
(1) 許可の適用区域は、江東区内における都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条第2項に規定する市街化区域内とする。
(2) 許可の対象となる計画は、建築基準法第97条の3第3項及び建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第149条第2項の規定により区の長が行うとされている建築物に係るものとする。
(3) 要除却認定マンションの敷地に比べて著しく大きい隣地を取り込んだ建替え、要除却認定マンションの敷地を細分化した建替え、法第2条第1項第1号に規定するマンションに該当しない建築物をマンションに変更した上で行う建替え等に係る許可については、特定行政庁が要除却認定マンションの除却又は建替えのために必要と認める範囲で行うものであること。
(4) 住宅用途以外の用途に供する部分の床面積(江東区マンション建替法容積率許可要綱実施細目(令和5年3月31日4江都建第1164号。以下「実施細目」という。)で定める施設、サービス付き高齢者向け住宅等及び子育て支援住宅に付属する住宅部分以外の施設に供する部分の床面積を除く。以下同じ。)の合計は、次のア及びイに適合させること。
ア 要除却認定マンションの住宅用途以外の用途に供する部分の床面積の合計より増加しないこと。ただし、住宅の用途に供する部分の床面積の合計が増加する計画、計画適合認定マンション又は中核的な拠点地区若しくは中核的な拠点周辺地区の区域内において江東区が取り組むまちづくりの方針に適合する計画については、この限りでない。
イ 基準容積率の算定の基礎となる延べ面積を超えないこと。
(5) 割増容積率に相当する部分(建築基準法第3条第2項の規定により同法第52条第1項、第2項及び第7項の規定の適用を受けない既存建築物における超過容積率に相当する部分並びにサービス付き高齢者向け住宅等である部分を除く(超過容積率の算定方法は、第12条第2号アの規定による。)。)の住宅の専有面積を55平方メートル以上とすること。
(6) 計画建築物の敷地は、原則として、幅員6メートル以上の道路に当該敷地境界線の長さの合計の6分の1以上接するものであること。ただし、地区計画等により計画的に街区整備を図っていくことが認められる場合は、この限りでない。
ア 有効公開空地率の算定は、次により行う。
(ア) 有効公開空地率は次式により算定する。
(公開空地の有効面積の合計/敷地面積)×100(%)
(イ) 公開空地の有効面積とは、公開空地の面積(有効面積の算定の対象となる部分に限る。)に、当該公開空地の種別に応じ、第7条第4項に定める公開空地の有効係数を乗じた数値をいう。
(ウ) 屋内貫通通路、アトリウム及びピロティ等の公開空地等の有効面積の算定に当たっては、公開空地全体の面積の3分の1(第15条第1号に定める緩和の対象となる計画建築物にあっては、3分の2)の面積に相当する部分を対象とする。
イ 計画建築物の敷地内における有効公開空地率の最低限度は、10パーセントとする。
(8) 計画建築物の敷地には、原則として、歩道状空地を設けること。この場合において、歩道状空地は、原則として、前面道路(幅員4.5メートル以上の歩道が確保されているものを除く。)に接する全ての敷地の部分に設けること。
ア 計画建築物の外壁又はこれに代わる柱の外面から隣地境界線までの水平距離は、原則として当該部分の計画建築物の高さ(隣地境界線の地表面からの高さをいう。)の平方根の2分の1に2メートルを加えた数値以上であること。ただし、次に掲げる建築物の部分には適用しないことができる。
(ア) 壁面の位置の統一を図るべき地区において壁面の位置を統一する計画建築物、歴史的建造物の存置部分又は公共用歩廊、渡り廊下、地下鉄駅出入口施設その他これらに類する建築物の部分
(イ) 敷地の隣地が河川管理用通路のない河川その他これに類するものであり、かつ、落下物に対する危険防止の措置を有効に講じている建築物の部分
イ 計画建築物の外壁又はこれに代わる柱の外面から道路境界線までの水平距離は、当該部分の計画建築物の高さ(道路境界線の地表面からの高さをいう。)の平方根の2分の1に必要な歩道状空地の幅員を加えた数値以上であること。ただし、実施細目で定める危険防止の措置を講じている場合は、歩道状空地の幅員以上とすることができ、また、壁面の位置の統一を図るべき地区において壁面の位置を統一する計画建築物、歴史的建造物又は公共用歩廊、渡り廊下、地下鉄駅出入口施設その他これらに類する建築物の部分にあっては、これによらないことができる。
(10) 駐車場を整備する場合は、次のとおり電気自動車等の充電設備を設置すること。
ア 原則として、EV及びPHV用充電設備を1台以上設置することとし、複数の用途が混在する場合は、用途ごとに1台以上の充電設備を設置すること。ただし、用途が異なる場合であって駐車場を共同利用できる場合は、共同利用可能な駐車場ごとに1台以上設置することとし、やむを得ない事情により充電設備を設置できない場合は、この限りでない。
イ 充電設備の種類は、不特定多数の者が利用する駐車場については、原則として急速充電器とし、やむを得ない事情により急速充電器を設置できない場合は、普通充電器に代えることができる。
ウ 電気自動車等の充電設備の設置についての協議に関する手続その他必要な事項については、実施細目及び都市開発諸制度の適用に関する環境都市づくりに係る規定の取扱い指針(令和2年12月24日付2都市政広第449号)によるものとする。
第3章 計画基準
(計画に当たって配慮すべき事項等)
第6条 この要綱の許可の対象となる計画は、法に定める有効な都市空間の確保を基調とし、法第4条第1項の規定に基づき国土交通大臣が定めるマンションの建替え等の円滑化に関する基本的な方針(平成26年12月10日国土交通省告示第1137号)に留意するとともに、第2条に定める基本目標の実現に貢献する次に掲げる事項に配慮又は対応した計画とする。
(1) 周辺の市街地環境等に対して配慮した建築形態であること。
(2) 周辺市街地の状況の変化等を踏まえ、計画建築物の形態、配置等について、地区の将来像を見据えた配慮がなされていること。
(3) 計画の規模及び周辺市街地の状況に応じ、都市施設若しくは公共施設等の機能補完又はこれらの負荷軽減のための具体的な措置を講じていること。
(4) 計画の規模に応じ、周辺市街地の防災及び避難に有効な施設を設けていること。
(5) 福祉のまちづくりの推進に配慮したものであること。
(6) 計画の内容に応じ、適切に施設が計画されていること。
(7) 住宅の整備に当たっては、多様な世帯が居住する活力ある地域社会の形成及び高齢者等の居住の安定の確保に資する住宅の供給に配慮すること。
(8) 敷地内の空地及び建築物の屋上等について、緑化が図られていること。なお、公開空地の緑化については、公開空地等のみどりづくり指針(平成19年5月31日付19都市基施第74号)、江東区みどりの条例(昭和48年10月江東区条例第36号)及び江東区みどりの基本計画(令和2年3月江東区策定)に即したものであること。
(9) 計画の用途、規模等に応じ、建築物の熱負荷の低減及び設備システムの省エネルギーに対する取組を環境への負荷の低減に高い効果を有するものとする等、省エネルギー対策等によるカーボンマイナス(CO2の排出削減)について配慮したものであること。
(10) 江東区都市景観条例(平成20年12月江東区条例第34号)第10条第6項に規定する景観形成基準及び江東区景観計画(平成21年3月江東区策定)に適合したものであること。
(11) 建築物の高さ等について、東京都マンション建替法容積率許可に係る建築物の高さ等誘導指針(平成27年3月27日付26都市建企第1233号)に適合したものであること。
(12) 東京都景観計画における大規模建築物等景観形成指針に即したものであること。
(13) 居住者用及び施設利用者用の自転車駐車場の整備等、放置自転車対策のための具体的な措置を講じていること。
(14) 江東区公共建築物等における木材利用推進方針(平成26年3月江東区策定)に基づき、木材利用の推進のための具体的な措置を講じていること。
(公開空地)
第7条 公開空地は、計画建築物の敷地内の空地又は開放空間(第2項に規定するアトリウム、人工地盤等及びピロティ等をいう。)のうち、日常一般に公開される部分(当該部分に設ける環境の向上に寄与する植栽、花壇、池泉等及び空地の利便の向上に寄与する公衆便所等の小規模の施設に係る土地並びに屋内に設けられるもの等で特定行政庁が深夜等に閉鎖することを認めるものを含み、車路並びに自動車及び自転車の駐車の用(実施細目に基づき承認を受けた公共自転車駐車場及び自転車シェアリングを除く。)に供する部分を除く。)であって、第3項に規定する公開空地の規模及び形状の基準に適合する帯状又は一団の形態を成すものをいう。
2 公開空地の種類は、次に掲げるとおりとする。
(1) 歩道状空地 前面道路に沿って設ける歩行者用の空地及び当該空地に沿って設ける修景施設(当該空地に接する部分から幅4メートル未満の部分に限る。)をいう。
(2) 貫通通路 敷地内の屋外空間及び計画建築物内を動線上自然に通り抜け、かつ、道路、公園その他これらに類する公共施設(以下「道路等の公共施設」という。)の相互間を有効に連絡する歩行者用通路(当該通路に沿って設ける修景施設のうち、その接する部分から幅員4メートル未満の部分を含む。)をいう。
ア 屋外貫通通路 貫通通路のうち、計画建築物の屋外に設けるもの(ピロティ等の部分を含む。)をいう。
イ 屋内貫通通路 屋外貫通通路以外の貫通通路をいう。
(3) アトリウム 計画建築物内に設ける大規模な吹き抜け空間で、天空光を確保できるものをいう。
(4) 水辺沿い空地 活用方針第4章の2に定める水辺沿い空地をいう。
(5) 駅前広場 活用方針第7章の2(1)に定める駅前広場をいう。
(6) 広場状空地 歩道状空地、貫通通路、アトリウム、水辺沿い空地及び駅前広場以外の公開空地をいう。
(7) 人工地盤等 人工地盤、建築物の低層屋上面、サンクンガーデンその他これらに類するものをいう。
(8) ピロティ等 ピロティ、アーケード等の建築物又は建築物の部分をいう。
3 公開空地の規模及び形状の基準は、次に掲げるとおりとする。
(1) 歩道状空地
ア 幅員及び通行可能な部分の幅(以下「有効幅員」という。)が1.8メートル以上であること。ただし、当該有効幅員にあっては、歩道状空地に沿って有効幅員が1.8メートル以上の歩道がある場合は、この限りでない。
イ 歴史的建造物が存置される敷地部分にあっては、アの規定にかかわらず、歩道状空地の幅員を1メートル以上、かつ、歩道を含んだ有効幅員を2メートル以上とすることができる。
ウ 原則として、段差が設けられておらず、車椅子ですれ違いが可能である等福祉のまちづくりに寄与する構造であること。
(2) 貫通通路
ア 幅員及び有効幅員が1.8メートル以上であること。
イ 屋内貫通通路は、有効幅員が8メートル以上で、かつ、天井の各部分の高さが12メートル以上であること。ただし、当該敷地外の施設との歩行者ネットワークの形成を図るために設けられたものの天井の各部分の高さは、地下部分にあっては3メートル以上、地上部分にあっては6メートル以上とすることができる。
(3) アトリウム おおむね幅が30メートル以上で、かつ、床面から天井までの高さが30メートル以上であり、他の公開空地と有効に連絡する吹き抜け空間であること。
(4) 水辺沿い空地
ア 最も狭い部分の幅は、3メートル以上であること。
イ 水辺沿い空地に面して、にぎわいの創出に寄与すること。
ウ 第6号の基準を満たす場合は、広場状空地に代えることができる。
(5) 駅前広場 敷地等が鉄道駅に隣接していること。
(6) 広場状空地
ア 最も狭い部分の幅は、3メートル以上であること。この場合において、当該広場状空地と同じ高さで接する歩道状空地及び屋外貫通通路については、当該部分に含むことができる。
イ 一の広場状空地(2以上の広場状空地が一体の空間を成し、かつ、相互間を有効に連絡するものを含む。この場合において、当該空地面に高低差があるときは、その高低差が3メートル以内のものに限る。)の面積は、敷地面積の10分の1又は用途地域の区分に応じて、次の表に掲げる数値のいずれか小さい数値以上、かつ、50平方メートル以上であること。この場合において、面積の最低限度の算定に当たっては、当該広場状空地と同じ高さで接する歩道状空地及び屋外貫通通路を当該部分に含むことができる(幅員が3メートル未満の部分を除く。)。
(単位:m2)
用途地域 | 一の広場状空地の面積 |
第一種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、準工業地域、工業地域及び工業専用地域 | 200 |
近隣商業地域及び商業地域 | 100 |
ウ 全周長の8分の1以上が、道路、公園(一体的に利用されるものに限る。)、歩道状空地又は屋外貫通通路に接するものであること。
(7) 公開空地に含まれるピロティ等及び人工地盤等
ア ピロティ等にあっては、天井の高さが6メートル以上で、かつ、奥行きが当該高さの2倍以内の部分であること。ただし、壁面の位置の統一を図るべき地区において、壁面の位置を統一するために設けるものは、天井の高さを3メートル以上とすることができる。
イ 人工地盤等にあっては、次のいずれにも該当するもの又は該当する部分であり、サンクンガーデンにあっては、その最も狭い部分の幅が最大の深さの2倍以上であること。
(ア) 道路等の公共施設又は他の公開空地と幅員2メートル以上の階段若しくは傾斜路により、又は同一平面上で、2か所以上(その位置及び幅員により同等以上の効果があると認められる場合は1か所)で有効に通じていること。
(イ) 道路等の公共施設又は歩道状空地(以下「道路等の公共施設等」という。)との高低差が6メートル以内であること。この場合において、高低差とは、階段又は傾斜路により、道路等の公共施設等と有効に通じている部分における高低差(人工地盤等が高低差のある貫通通路又は他の広場状空地を経由して道路等の公共施設等に通じる場合には、当該貫通通路又は他の広場状空地と道路等の公共施設等との当該高低差を加えたもの)をいい、高低差の異なる2か所以上で接続する場合にはこれらの平均の高さをいう。
ウ 全周長の4分の1以上が道路等の公共施設又は他の公開空地と接すること。ただし、高低差が1.5メートル以内のものにあっては、全周長の6分の1以上とすることができる。
(1) 歩道状空地(幅員が4メートル以下(建築協定、高度利用地区、地区計画等で歩行者の利便を目的として幅員4メートルを超える壁面後退の指定がある場合については、当該指定の範囲内)で道路との高低差が1.5メートル以下のものに限る。)の有効係数は、計画する地域ごとに、連続(2辺以上の連続を含め、出入口等による分断は必要と認められる範囲で連続とみなす。以下同じ。)する歩道状空地の長さに応じて、次の表アからウまでの各欄に掲げる数値とし、その他の歩道状空地の有効係数は次の表のエに掲げる数値とする。この場合において、連続する歩道状空地の長さは、必要な前面道路幅員を満たす前面道路に沿った歩道状空地の連続とそれ以外の歩道状空地の連続とに分けて算出するものとする。
計画形態 | 有効係数 | |
ア 中枢広域拠点域内の中核的な拠点地区、中枢広域拠点域内の中核的な拠点周辺地区、活力とにぎわいの拠点地区群又は国際ビジネス交流ゾーン内の活力とにぎわいの拠点地区 | ||
(ア) 長さが100m以上のもの | 2.0 | |
(イ) 長さが80m以上100m未満のもの | 1.8 | |
(ウ) 長さが60m以上80m未満のもの | 1.7 | |
(エ) 長さが40m以上60m未満のもの | 1.5 | |
(オ) 長さが20m以上40m未満のもの | 1.4 | |
(カ) 長さが20m未満のもの | 1.2 | |
イ 中枢広域拠点域内(上欄の区域を除く。) | ||
(ア) 長さが100m以上のもの | 1.8 | |
(イ) 長さが80m以上100m未満のもの | 1.7 | |
(ウ) 長さが60m以上80m未満のもの | 1.5 | |
(エ) 長さが40m以上60m未満のもの | 1.4 | |
(オ) 長さが20m以上40m未満のもの | 1.2 | |
(カ) 長さが20m未満のもの | 1.0 | |
ウ その他の区域 | ||
(ア) 長さが100m以上のもの | 1.7 | |
(イ) 長さが80m以上100m未満のもの | 1.5 | |
(ウ) 長さが60m以上80m未満のもの | 1.4 | |
(エ) 長さが40m以上60m未満のもの | 1.2 | |
(オ) 長さが40m未満のもの | 1.0 | |
エ その他の部分 | 0.8 |
(2) 貫通通路の有効係数は、次の表に掲げるとおりとする。
計画形態 | 有効係数 | |
ア 屋外貫通通路 | 0.8 | |
イ 屋内貫通通路 | ||
(ア) 景観形成建築物の敷地内で歩行者ネットワークの形成を図る部分 | 0.5~1.0 | |
(イ) 上欄以外の部分(その規模及び形態に応じて) | 0.3~0.8 |
(3) アトリウムの有効係数は、次の表に掲げるとおりとする。
計画形態 | 有効係数 |
ア 歩行者ネットワークの形成を図るもの | 0.5~0.8 |
イ 上欄以外のもの(その規模及び形態に応じて) | 0.3~0.6 |
(4) 水辺沿い空地の有効係数は、次の表に掲げるとおりとする。
利用形態 | 有効係数 |
ア 300m2以上のもの | 1.2 |
イ 100m2以上のもの | 1.0 |
(5) 駅前広場の有効係数は、次の表に掲げるとおりとする。
計画形態 | 有効係数 |
駅とまちが一体となる取組に資する貫通通路、アトリウム、人工地盤等及びピロティ等 | 1.0 |
(6) 広場状空地の有効係数は、次の表に掲げるとおりとする。
計画形態 | 有効係数 | |
ア 道路、歩道状空地又は屋外貫通通路(この表において「道路等」という。)で、幅員6m以上のものに接する一の広場状空地の面積が1,000m2以上のもの | ||
(ア) 道路等に面する部分 | 1.2 | |
(イ) 道路等に面しない部分 | 0.6 | |
イ 道路等に接する一の広場状空地の面積が300m2以上のもの | ||
(ア) 道路等に面する部分 | 1.0 | |
(イ) 道路等に面しない部分 | 0.5 | |
ウ 道路等に接する一の広場状空地の面積が50m2以上のもの | ||
(ア) 道路等に面する部分 | 0.8 | |
(イ) 道路等に面しない部分 | 0.4 |
計画形態 | 有効係数 |
ア 人工地盤等がこれに有効に通じる道路、公園等の公共施設又は他の公開空地との高低差が1.5m以下の部分 | 0.8 |
イ 人工地盤等がこれに有効に通じる道路、公園等の公共施設又は他の公開空地より低い位置にあり、その高低差が1.5mを超え3m以下の部分 | 0.6 |
ウ 人工地盤等がこれに有効に通じる道路、公園等の公共施設又は他の公開空地より低い位置にあり、その高低差が3mを超える部分 | 0.4 |
エ 人工地盤等がこれに有効に通じる道路、公園等の公共施設又は他の公開空地より高い位置にあり、その高低差が1.5mを超え3m以下の部分 | 0.4 |
オ 人工地盤等がこれに有効に通じる道路、公園等の公共施設又は他の公開空地より高い位置にあり、その高低差が3mを超える部分 | 0.3 |
(8) 低減その他の係数は、次の表に掲げるとおりとする。
ア 低減係数
利用形態 | 有効係数 |
(ア) 歩道と合わせた幅員が6mを超える歩道状空地又は幅員が6mを超える歩道状空地の部分 | 0.8 |
(イ) 広場状空地及び水辺沿い空地のうち、計画建築物により冬至日の真太陽時の午前8時から午後4時までの間で全ての時間帯で日影となる部分 | 0.8 |
イ ピロティ等(壁面の位置の統一を図るべき地区において、壁面の位置を統一するために設けるものを除く。)
計画形態 | 有効係数 |
(ア) 歩行者ネットワークの形成を図るもの | 0.9 |
(イ) 天井の高さが6m以上、かつ、奥行きが高さの2倍以内の部分 | 0.7 |
5 公開空地の質は、公開空地等のみどりづくり指針に適合した上で、次に掲げる事項について、実施細目に定める基準に適合するよう努めるものとする。
(1) 周辺の緑との連続性
(2) 樹種の多様性
(3) 既存樹木の保全及び活用
(4) 樹高の高い木の植栽
(5) 芝生、水面等による被覆
(6) 建築物上の緑化(屋上、壁面及びベランダ)
(7) 生物多様性の保全
6 外壁又はこれに代わる柱の外面から、当該計画建築物の高さ(公開空地の地表面からの高さをいう。)の平方根の2分の1以内の距離の部分を公開空地とする場合は、実施細目に定める危険防止の措置を講ずるものとする。また、免振構造を採用する場合は、地震による振動時にも利用者に対して安全が確保されるように配慮するものとする。
(住宅)
第8条 住宅性能の基準は、次に掲げるとおりとする。
(1) 住宅性能は、次に掲げる基準に適合するよう努めること。この場合において、等級は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11年法律第81号。以下「住宅品確法」という。)に基づく日本住宅性能表示基準による。
ア 構造の安定性は、耐震等級2以上又は免震構造建築物、かつ、耐風等級2であること。
イ 火災時の安全性は、耐火等級(延焼のおそれのある部分(開口部))2以上、かつ、耐火等級(延焼のおそれのある部分(開口部以外))4であること。
ウ 劣化の軽減は、劣化対策等級3であること。
エ 維持管理への配慮は、維持管理対策等級(共用配管)2以上であること。
オ 高齢者等への配慮は、高齢者等配慮対策等級(共用部分)4以上であること。
(2) 高齢者向けの住宅を整備する場合は、サービス付き高齢者向け住宅等を5戸以上整備するものであること。
(環境性能等)
第9条 環境性能等の基準は、次に掲げるとおりとする。
ア PAL*の低減率が10パーセント以上かつERRが20パーセント以上であること。また、PAL*の低減率が20パーセント以上かつERRが40パーセント以上となるよう努めること。この場合において、PAL*の低減率及びERRは、都市開発諸制度の適用に関する環境都市づくりに係る規定の取扱い指針に準ずること。
イ アに加え、次に掲げる事項について、実施細目に定める環境負荷の低減に貢献する優れた取組又は特に優れた取組を行うよう努めること。
(ア) 再生可能エネルギー等の利用(太陽エネルギー利用等)
(イ) エネルギー負荷を軽減する設計上の工夫(タスクアンビエント空調、輻射冷暖房施設の導入等)
(ウ) 運用時のエネルギー低減につながる取組(ビル環境エネルギー管理システムの導入等)
(2) 計画建築物の用途が住宅である場合は、次に掲げるいずれかの基準に適合し、かつ、ERRが0パーセント以上であるとともに、実施細目に定める環境負荷の低減に貢献する優れた取組を行うよう努めること。
ア 全住戸の外皮平均熱貫流率≦0.87(W/(m2・K))
イ 住棟単位外皮平均熱貫流率≦0.75(W/(m2・K))
ウ 全住戸が住宅仕様基準の1(1(3)ロを除く。)の基準に適合すること。
(防災施設)
第10条 防災施設は、原則として、建築物ごとに次に掲げる基準を満たすものとする。
(1) 用途ごとに次の表の基準を満たす防災備蓄倉庫を整備すること。この場合において、防災備蓄倉庫の1か所当たりの面積は、1平方メートル以上とする。
用途 | 業務 | 住宅 | その他の用途 |
防災備蓄倉庫の必要面積 | 業務の用に供する部分の延べ面積の0.001倍以上 | 住宅の用に供する部分の延べ面積の0.001倍以上 | 1m2以上 |
整備位置 | いずれの階からも最長歩行距離4層以内に1か所以上 | いずれの階からも最長歩行距離2層以内に1か所以上 | いずれの階からも最長歩行距離4層以内に1か所以上 |
備考 この表における延べ面積は、自動車車庫及び駐輪場の用に供する部分を除くものとする。
(2) 次に掲げる基準を満たす自家発電設備を整備すること。ただし、建築基準法第34条第2項の規定による非常用の昇降機を設けなければならない建築物に限る。
ア 用途ごとに次の表により自家発電設備の必要出力数を算出し、それらを合計した値以上の出力数を有する自家発電設備を整備すること。
用途 | 業務 | 住宅 | その他の用途 |
用途ごとの延べ面積当たりの発電機出力数 | 0.018kW/m2 | 0.006kW/m2 | 0.014kW/m2 |
備考 この表における延べ面積は、自動車車庫及び駐輪場の用に供する部分を除くものとする。
イ 次式で算出される数量(以下「貯蔵量」という。)以上の燃料を貯蔵するための施設を整備すること。ただし、やむを得ない事情により当該貯蔵施設が建築基準法別表第2に適合しない場合は、この限りでない。また、住宅の用に供する部分の延べ面積(自動車車庫及び駐輪場の用に供する部分を除く。以下このイにおいて同じ。)が全体の延べ面積の過半を占める建築物において、貯蔵量が1,950リットルを超える場合は、次式にかかわらず貯蔵量を1,950リットルとすることができる。なお、その他これらと同等以上の性能を有する動力源を整備する場合はこの基準によらないことができるものとする。
Q=b×E×H/w
Q:貯蔵量(l)
b:自家発電設備の燃料消費率(g/kWh)
E:自家発電設備の原動機出力(kW)
H:時間(h)
H={48×(0.018×A業+0.014×A他)+12×0.006×A住}/(0.018×A業+0.014×A他+0.006×A住)
A業:業務用途の延べ面積
A住:住宅用途の延べ面積
A他:その他の用途の延べ面積
A待:待機スペースの延べ面積
なお、A業、A住、A他及びA待の延べ面積は、自動車車庫及び駐輪場の用に供する部分を除くものとする。
w:燃料密度(重油850g/l、軽油830g/l)
第4章 容積率制限の緩和
(容積率制限の緩和の基準)
第12条 公開空地による容積率の緩和は、次に掲げるとおりとする。
(1) 緩和の対象は、計画建築物の敷地内に有効公開空地率が第5条第7号に規定する有効公開空地率の最低限度(以下「有効公開空地率の最低限度」という。)を超える公開空地等を設ける場合とする。
(2) 割増容積率の限度は、次に掲げるとおりとする。
ア 公開空地による割増容積率の限度は、次式による。
割増容積率(%)=(P-10)×α×((Vo/400)+Kx×β)×γ×Ky
P:有効公開空地率(%)
表1
事項 | 内容 |
周辺の緑との連続性 | 近隣の公園、隣接する公開空地等のみどりとの連続性 |
樹種の多様性 | 落葉樹及び常緑樹のバランスのとれた植栽 |
既存樹木の保全及び活用 | 既存樹木のうち、健全な樹木の保全及び活用 |
樹高の高い木の植栽 | 植栽基盤を確保した上での、より樹高の高い木の植栽 |
芝生、水面等による被覆 | まとまりのある芝生地及び水系施設の整備 |
建築物上の緑化(屋上、壁面及びベランダ) | 地上部から視認性の高い建築物上の緑化 |
生物多様性の保全 | 生物の生息空間の整備 |
表2
計画適合評価 | A | B | C | D |
公開空地の質係数 | 1.3 | 1.2 | 1.1 | 1.0 |
Vo:基準容積率(%)
Kx:区域別係数 次の表の区域により定める係数をいう。
計画敷地が存する区域 | Kx |
(ア) 国際ビジネス交流ゾーン内のうち、次に掲げる地区 ・中核的な拠点地区 ・中核的な拠点周辺地区 ・活力とにぎわいの拠点地区 (イ) 活力とにぎわいの拠点地区群 | 6 |
上記以外の中枢広域拠点域内 | 5 |
その他の適用区域 | 4 |
β:住宅係数 βは、次の計算式により求める。
β=1+住宅性能係数(β1)+高齢者住宅・子育て支援住宅係数(β2)+建替支援係数(β3)
ただし、1.45を上限とする。
住宅性能係数(β1)=0.05×第8条第1号に規定する住宅性能の基準への適合数
ただし、0.2を上限とする。
高齢者住宅・子育て支援住宅係数(β2)=0.005×サービス付き高齢者向け住宅等及び子育て支援住宅の整備戸数
ただし、0.25を上限とする。
建替支援係数(β3)=0.0025×超過容積率(%)
ただし、0.25を上限とする。
なお、建替支援係数の適用は、建築基準法第3条第2項の規定により同法第52条第1項、第2項又は第7項の規定の適用を受けない既存建築物において、許可を適用する場合に限る。
超過容積率は、次式による。
(So-Ao×基準容積率)/A (単位:%)
So:建築基準法第52条を適用するとした場合の容積率の算定の基礎となる延べ面積(m2)
Ao:既存建築物の敷地面積(m2)
A:計画建築物の敷地面積(m2)
(ア) 計画建築物の用途が住宅以外の用途である場合は、次の表に掲げる数値とする。
評価 | A | B | C |
建築計画の内容 | PAL*の低減率10%以上、ERR20%以上及び特に優れた取組 | PAL*の低減率10%以上、ERR20%以上及び優れた取組 | A又はB以外 |
環境性能係数 | 1.3 | 1.2 | 1.0 |
備考 この表における特に優れた取組とは実施細目第7条第2項第1号に、優れた取組とは実施細目第7条第2項第2号に定めるところによる。
(イ) 計画建築物の用途が住宅である場合は、次の表に掲げる数値とする。
備考 この表における優れた取組(1)とは実施細目第7条第3項第1号に、優れた取組(2)とは実施細目第7条第3項第2号に、優れた取組(3)とは実施細目第7条第3項第3号に定めるところによる。
Ky:敷地規模別係数 計画建築物の敷地面積が5,000平方メートルを超える場合は、当該敷地面積の規模に応じて、次式による。ただし、敷地を集約化したものに限る。
係数を適用するのは、中枢広域拠点域内で工業地域及び工業専用地域を除く区域とし、適用区域外においてはKy=1として割増容積率を算出するものとする。
Ky={1+(A-Amin)/(X-Amin)}×W
敷地面積が5,000平方メートル以下の場合は、Ky=1とする。
A:敷地面積(m2)なお、Aが30,000平方メートル以上の場合は、A=30,000平方メートルとして、Kyを算定する。
Amin:500(m2)
X:30,000(m2)
W:W=0.1×{9+(y-6)/6}
yは、計画敷地の周長の6分の1以上に接する道路の幅員(m)とする。なお、幅員12メートルを超える場合はy=12とし、第5条第6号ただし書を適用する場合は、W=0.9とする。
イ 地上部の緑化面積に応じて、アによる割増容積率の限度を次の値により、割増しを行うものとする。
(P-10)×{(Vo/400)+1}×Kz(単位:%)
Kz:地上部の緑化係数
Kz=(X-Xo)/2
X:当該敷地の緑化率
X=(地上部の緑化面積)/{敷地面積×(1-Fa)}
ただし、地上部の緑化面積は、建築物上の緑化面積からの振り替え分は含めないものとする。
Xo:江東区みどりの条例施行規則別表第1に規定する緑化率
Fa:法定建蔽率
なお、地上部の緑化は、江東区みどりの条例施行規則第6条の規定によるほか、実施細目に定める緑化の基準を満たすものとする。
また、緑化面積の算定方法は、江東区みどりの条例及び江東区みどりの条例施行規則の規定によるものとする。ただし、Kzは、計画敷地の所在地により次の表の範囲を限度とし、計画建築物の敷地の一部が活用方針に基づき緑化推進エリアに指定されているときは、敷地全体が同エリア内にあるものとみなす。
計画敷地が存する区域 | Kzの数値の範囲 |
緑化推進エリア内 | 0≦Kz≦0.07 |
上記の区域外 | 0≦Kz≦0.05 |
区域 | 割増容積率の最高限度 |
中枢広域拠点域の区域 | 基準容積率の0.75倍又は300%のいずれか低い数値 |
上欄以外の区域 | 基準容積率の0.5倍又は250%のいずれか低い数値 |
(防災による容積率の緩和)
第13条 建築物の建替え時における防災による容積率の緩和は、次に掲げるとおりとする。
(1) 緊急輸送道路の沿道の建築物の建替えについては、次に掲げるとおりとする。
ア 緩和の対象は、江東区耐震改修促進計画(平成20年3月江東区策定。以下「耐震改修促進計画」という。)に記載された緊急輸送道路(震災時の緊急輸送及び応急活動を担う防災拠点等を結ぶ輸送ネットワークとして道路管理者が指定する道路をいう。以下同じ。)に接する敷地に昭和56年5月31日以前の耐震基準により建てられた建築物で、そのいずれかの部分の高さ(地盤面からの高さをいう。ただし、地盤面が、当該建築物の敷地に接する緊急輸送道路の路面の中心より低い場合は、当該路面の中心からの高さをいう。)が、当該部分から前面道路の境界線までの水平距離に次の表に掲げる当該前面道路の幅員に応じ、それぞれ次の表に定める距離を加えた数値を超える建築物(耐震改修促進計画の計画期間内に工事に着手するものに限る。以下「緩和対象建築物」という。)を建て替える場合とする。この場合において、この項目の緩和を受ける建築物は、前条第2号の住宅係数の算定に当たり構造の安定による基準を適合対象項目とすることはできない。
前面道路の幅員 | 加算距離 |
12m以下の場合 | 6m |
12mを超える場合 | 前面道路の幅員の2分の1に相当する距離 |
イ 割増容積率の限度は、次に掲げるとおりとする。
(イ) 耐震改修促進計画において耐震化を図るべき建築物とされている民間の特定建築物で実施細目に定めるものを建て替え、法に定める基準の1.25倍以上の耐震強度又はこれと同等以上の耐震性能を確保する場合 緩和対象建築物の従前の敷地面積の80パーセントに相当する面積を計画建築物の敷地面積で除した割合。ただし、計画敷地面積が従前の敷地面積より小さい場合は、計画敷地面積の80パーセントに相当する面積を計画敷地面積で除した割合とする。
(ウ) 建築基準法第3条第2項の規定により同法第52条第1項、第2項又は第7項の規定の適用を受けないマンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号)第2条第1号に規定するマンションをいう。)であって、実施細目に定めるものの建替えを行う場合 超過容積率から100パーセントを引いた割合(超過容積率の算定は前条第2号の規定により行うものとし、超過容積率が100パーセントを超える場合に限る。)
(2) 重点的に耐震化を図るべき建築物の建替えについては、次に掲げるとおりとする。
ア 緩和の対象は、耐震改修促進計画において耐震化を図るべき建築物とされている民間の特定建築物で実施細目に定めるものを建て替え、法に定める基準の1.25倍以上の耐震強度又はこれと同等以上の耐震性能を確保する場合とする。ただし、前号イ(イ)の場合に該当しないものであって、耐震改修促進計画の計画期間内に工事に着手するものに限る。
イ 割増容積率の限度は、緩和対象建築物の従前の敷地面積の30パーセントに相当する面積を計画敷地面積で除した割合とする。ただし、計画敷地面積が従前の敷地面積より小さい場合は、計画敷地面積の30パーセントに相当する面積を計画敷地面積で除した割合とする。
(3) 敷地の集約化については、次に掲げるとおりとする。
ア 緩和の対象は、隣接地の所有者(所有者が当該隣接地を相続その他の一般承継により取得した場合は所有者及びその前主)が5年間以上保有していた土地を許可申請者が自ら計画建築物の敷地として集約化し、敷地の整形化を図る場合とする。ただし、集約化後の敷地面積が5,000平方メートル以下のものに限る。
イ 割増容積率の限度は、次式による数値とする。
割増容積率=集約化の評価点数の合計×集約係数(単位:%)
(ア) 集約化の評価点数は、次の表に掲げるとおりとする。
集約化する敷地面積 | 100m2未満 | 100m2以上300m2未満 |
評価点数 | 5 | 4 |
(イ) 集約係数は、次の表に掲げるとおりとする。
集約比率は、次式による。
集約比率=(集約化した敷地面積の合計/5,000m2)×100(%)
集約比率 | 5%以上10%未満 | 10%以上15%未満 | 15%以上20%未満 | 20%以上25%未満 | 25%以上 |
集約係数 | 1.2 | 1.4 | 1.6 | 1.8 | 2.0 |
(公益施設等の整備による容積率の緩和)
第14条 公益施設等の整備による容積率の緩和は、次に掲げるとおりとする。
(1) 地域の防災性の向上に資する施設の整備は、次に掲げるとおりとする。
ア 緩和の対象は、次に掲げるとおりとする。
(ア) 原則として、中核的な拠点地区、中核的な拠点周辺地区、活力とにぎわいの拠点地区群、活力とにぎわいの拠点地区、地域の拠点又は枢要な地域の拠点において、区との協定等に基づき、住宅、病院及び社会福祉施設(社会福祉法(昭和26年法律第45号)第2条第2項及び第3項の事業を行う施設をいう。)の用途に供する部分以外に、実施細目に定める基準を満たす一時滞在施設を設ける場合
(イ) 原則として、活用方針に定める高台まちづくりの対象地域において、区の要請に基づき、活用方針及び都市開発諸制度の適用に関する防災都市づくりに係る規定の取扱い指針(令和2年12月22日2都市政広第448号)に定める基準を満たす水害時の一時避難施設を設ける場合
(ウ) 水防法(昭和24年法律第193号)第14条の規定に基づき作成された浸水予想区域図において、降雨により河川が氾濫したときに浸水が想定される区域内の計画建築物の敷地に、深さ3メートル以上の雨水貯留槽を設ける場合
(エ) 区の要請等に基づく施設を設ける場合
イ 割増容積率の限度は、次式による数値とする。
Ab/A×100 (単位:%)
Ab:地域の防災性の向上に寄与する施設の面積
A:敷地面積
かまどベンチ、災害用マンホールトイレ等地域の防災性の向上に資する設備 | 1基につき0.5%とし、上限を5%とする。 |
津波避難ビル(区との協定等に基づくものに限る。) | 10% |
(2) 前号に掲げるもののほか、公益施設等の整備は、次に掲げるとおりとする。
(ア) 保安、公害防止等に寄与する施設
(イ) 地域社会の文化、教育等の向上に貢献する施設
(ウ) 福祉の向上に貢献する施設((キ)に該当するものを除く。)
(エ) 一般交通の機能の向上に資する施設
(オ) 供給処理施設等の負荷軽減に寄与する施設
(カ) 歴史的建造物
(キ) 子育て支援施設
(ク) 公共交通の用に供する空間
イ 割増容積率の限度は、次式による数値とし、公益施設等の床面積に応じて緩和し、整備に必要な部分の床面積の合計に相当する部分を算定することが困難な場合は、次の表のとおりとする。ただし、建築基準法第52条第14項第1号に基づく東京都容積率の許可に関する取扱基準(平成16年3月4日15都市建市第282号。以下「建築基準法第52条第14項第1号取扱基準」という。)に該当する公益施設等、高齢者福祉施設等又は公共交通の用に供する空間については、当該施設の床面積(公共交通の用に供する空間の場合は、整備面積の水平投影面積とする。)を加えることができる。この場合において、公共交通の用に供する空間の整備面積の水平投影面積が、敷地面積の200%に相当する面積を上限とする。
(Vo/50)+80 (Vo:基準容積率(%))
道路の無電柱化 | 50% |
(景観の形成による容積率の緩和)
第15条 景観の形成による容積率の緩和は、次に掲げるとおりとする。
ア 当該地区の街並み景観ガイドライン
イ 地区整備計画(壁面の位置の制限及び高さの最高限度等が定められているものに限る。)
(2) 割増容積率の限度は、次に掲げるとおりとする。
ア 景観配慮型建築物 50パーセント
イ 景観形成型建築物 100パーセント
(公開空地、防災、公益施設等及び景観の形成による割増容積率の合計の限度)
第16条 公開空地、防災、公益施設等及び景観の形成による割増容積率の合計の限度は、次に掲げるとおりとする。
ア 建築基準法第52条第14項第1号取扱基準に該当する部分
イ 公共交通の用に供する空間の割増容積率に相当する部分
ウ 東京都総合設計許可要綱(平成22年4月21日21都市建企第912号。以下「総合設計許可要綱」という。)第4章第2の1ウ(イ)に規定する中枢広域拠点域の2(2)の適用区域内における計画適合認定マンションに係る第13条第3号イの割増容積率に相当する部分(総合設計許可要綱第4章第2の1(2)ウ(イ)に定める割増容積率の最高限度を超えない部分に限る。)
(公共空地による容積率の緩和)
第18条 公共空地による容積率の緩和は、次に掲げるとおりとする。
(1) 緩和の対象は、計画建築物の整備と一体的に計画配置される道路、公園、緑地、広場その他これらに類する公共空地のうち、事業者の無償譲渡等に係るもので、かつ、都市計画(地区計画等を含む。)決定されたもの(計画建築物とおおむね同時期に決定されるものを含む。)又は地方公共団体により管理されるもの(開発行為等に伴い整備する提供公園等の受益者負担部分を除く。)とする。
(2) 緩和の限度は、当該公共空地面積に基準容積率を乗じて求められる面積を計画建築物の許容延べ面積に加えることができるものとする。
(容積率制限の割増しを受ける計画建築物に対する形態制限の付加)
第20条 第12条から第15条までの規定により容積率の割増しを受ける計画建築物で、基準容積率に割増容積率(当該規定以外の方法により割増容積率を受ける場合は、それらの合計とする。)を加えた割増し後の容積率を適用する場合で、道路斜線制限規定である建築基準法別表第3(は)欄に掲げる数値(距離)が割増し前の基準容積率を適用する場合の数値(距離)と異なるときは、次のいずれかの要件に該当しなければ、割増容積率を制限するものとする。ただし、隣接地の用途地域、土地利用状況、当該敷地からの方位等により、市街地環境の整備改善に支障がないと判断できる場合は、この限りでない。
(1) 緩和後の容積率による建築基準法別表第3(は)欄に掲げる規定に適合すること。
(2) 建築基準法第56条第7項第1号の規定により、緩和後の容積率による建築基準法別表第3(は)欄に掲げる規定と同程度以上の採光、通風等が確保されるものとして政令で定める基準に適合する建築物であること。
第5章 雑則
(他の手法との併用)
第21条 建築基準法第57条の2第3項の規定により特定行政庁が特例容積率の限度の指定を行った特例敷地については、同法第52条各項(第8項を除く。)に規定する容積率の限度を超える指定を行った特例敷地に限りマンション建替法容積率許可制度を適用する。
(計画建築物の敷地が2以上の区域、地域又は地区の内外にわたる場合の取扱い)
第22条 計画建築物の敷地が2以上の区域、地域又は地区の内外にわたる場合は、この要綱に別に定めのある場合又は建築基準法第52条から第56条の2まで及び第58条に規定する場合を除き、原則としてその建築物又はその敷地の全部について、敷地の過半の属する区域、地域又は地区の建築物に関するこの要綱の規定を適用する。
(既存建築物の特例)
第23条 許可を受けた建築物を増築等する場合は、改めて許可を受けなければならない。ただし、特定行政庁が、許可条件に影響せず、やむを得ないと認める軽微なものについては、この限りでない。
2 許可を受けた建築物の増築等に当たり、改めて許可を受ける場合は、許可を受けた際の要綱に適合し、現行要綱の規定に適合しない部分を有する計画は、特定行政庁が、現行要綱への適合が困難であり、やむを得ないと認める範囲で、当該建築物並びに建築物の部分及びその敷地に対し、当該規定は適用しないことができる。
(その他)
第24条 この要綱の実施に関し必要な次に掲げる事項は、実施細目で定める。
(1) 公開空地及び公共空地等である旨の標示
(2) 公開空地及び公共空地の維持管理
(3) 許可申請手続及び申請図書
(4) この要綱の適用を受ける計画建築物等に設ける屋外広告物の設置基準
(5) 許可による建築物である旨の標示
(6) 緑化の基準、標示及び維持管理
(7) 前各号に掲げるもののほか、この要綱の運用に際し必要な事項
附則
この要綱は、令和5年4月1日から施行する。