ここから本文です。
報道発表資料
発表日:2023年12月13日
区立芭蕉記念館(常盤1)で、正岡子規に、平凡・陳腐な「月並調」の俳句と評された、旧派俳家の作品を紹介する前期企画展「旧派再考~子規に『月並』といわれた俳家たち~」が、開催中です(2024年1月21日まで)。
「旧派」とは、正岡子規の登場前から俳句や俳諧連歌(五七五と七七を繋げた連句)を詠み、教えていた俳人などを指します。旧派は漢学や国学などを学んでいることが多く、短冊の上を開けて句を書く、宗匠と認められた指導者などの門に入って学ぶ等の特徴を持っており、「月並」とは旧派の宗匠が毎月定期的に実施する句会や、それを記録した句集を意味しました。
一方、正岡子規以降に生まれた俳句を「新派」と言います。新派は明治維新以降に生まれ、学校教育で西洋的な論理的思考を身に着けた人々に広がりました。
そのような流派に属する子規は、旧派が進歩せずに毎月同じような句を詠んでいることを「月並調」と批判しました。現代でも平凡・凡庸なものを「月並」と言いますが、その語源となっています。
同展では、全国俳誌協会会長で、約4万冊以上の近代俳句関係資料を所蔵する私設図書館「鳴弦文庫」の館長を務める秋尾 敏氏が、父であり、俳人でもある河合凱夫(がいふ)とともに長年収集した、旧派の俳句資料等140点を公開しています。
「天保の大家たち」のコーナーでは、「天保の三大家」と歌われた旧派俳人、成田蒼虬(なりた・そうきゅう、1761-1842)、田川鳳朗(1762-1845)、桜井梅室(1769-1852)などの俳句や、発句集の現物を展示しています。
また、毎月、定期的に開催された俳句大会、「月並句合(つきなみくあわせ)」での入賞句を印刷した冊子「返草」の紹介コーナーには、日本画家・河鍋暁斎の娘・暁翠が表紙絵を担当した『深川成田山新築額堂永代大奉額句集』なども展示されています。金と黒の額物と、その額物の中で寝転がる和装の人物が描かれており、松尾芭蕉の句「花の曇鐘は上野かあさくさか」が添えられています(なお、暁翠が額を描いた理由は、深川成田山額堂の新築祝いのためとのことです)。
その他、信州上田(現・長野県)出身で、「雪花も祝ひに似たりまつのうち」との句を残した沢有節(さわ・ゆうせつ)等、幕末・明治時代に活躍した京都俳壇の作品や、日本銀行創設に貢献し、2度の内閣総理大臣を務めた松方 正義の俳句なども展示しています。
同展のチラシを見て新潟から足を運んだという男性は、「最近俳句を始めたが、芭蕉以外の句を知らなかった。正岡子規が旧派を十把一絡げに『月並』と評したが、近年は、旧派作品の見直しが進んでいると知り、良かった」とコメントしました。
【前期企画展「旧派再考~子規に『月並』といわれた俳家たち~」】
会期:2023年9月14日(木曜日)から2024年1月21日(日曜日)まで
時間:午前9時30分から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
休館:第2・第4月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日、年末年始)
場所:江東区常盤1-6-3
観覧料:一般200円・小中学生50円(20名以上は団体割引が適用されます)
最寄り駅:都営新宿線・大江戸線「森下駅」A1出口より徒歩7分、都バス錦11「新大橋」バス停下車徒歩3分、門33「高橋」バス停下車徒歩5分
【ミュージアムトーク】
開催日:2024年1月14日(日曜日)
開催時間:午後2時から午後3時
定員:各回20名
申込方法:芭蕉記念館に電話(03-3631-1448)または窓口で申込(先着順受付)
料金:観覧料のみで参加可能
【頒布物】
●チラシ・解説シート 前期企画展「旧派再考~子規に『月並』といわれた俳家たち~」
価格:無料
頒布場所:芭蕉記念館
【図録】
●「旧派再考~子規に『月並』といわれた俳家たち~」図録
価格:500円
販売場所:芭蕉記念館窓口
【問い合わせ先】
江東区芭蕉記念館
住所:江東区常盤1-6-3
電話:03-3631-1448
江東区芭蕉記念館 企画展ページ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください