木工(桶)
桶製作は、水分を吸うとふくらんで合わせ目をきっちりと閉じる木の性質をいかし、短冊形の板を円筒形にならべて接合し、これを竹や金属のタガで結んで固定して底板をはめ、水を漏らさずにたくわえる容器をつくる技術です。
板をタガで結ぶという結物(ゆいもの)技術は、11世紀後半に北部九州で見られる井戸結筒(ゆいづつ)に確認できますが、底板をはめた結桶(ゆいおけ)や結樽(ゆいだる)が全国的に普及するのは15~16世紀になってからのことです。
桶の材料は、おもに樹齢300年ほどの木曽産のサワラを用います。サワラは、油分が多いので水や酸に強い性質を持っています。また、軽く、香りもやわらかいことから、飯櫃(めしびつ)など食品の容器としても使われます。
桶の板は、クレシゲ(湾曲したナタ)で柾目(まさめ)に等分の厚さに割ってつくります。柾目は年輪がまっすぐに通っているために水分を通しやすく、調湿効果があります。また変形しにくく、すっきりとした見た目はさわやかです。
センを用いて板の反りと厚みを調整します。この時、胸あて(ヘソ)を着け、手前に引くようにして削ります。板の合わせ目の角度は、カマと呼ぶ定規で確認しつつ、正直台(しょうじきだい・カンナ)で調整していきます。セン・カマ・正直台は結桶の特徴的な道具です。そして、板をつなぎ合わせ、内と外をカンナでなめらかにし、底板をはめ、タガで締めて仕上げます。
川又さん(昭和36年生)は、結桶師の父栄一さん(区登録無形文化財保持者)について技術を習得しました。川又家は、曾祖父の初代が明治中頃に千田で創業して以来、川又さんで4代目となります。川又さんは4代栄風と号し、それまでの銅タガから強度があって錆びにくい洋銀タガに変えるなど、見た目がすっきりとした桶作りを心がけ、主にお櫃やワインクーラーを製作しています。

胸あて(ヘソ)を着け、センで削る
| 住所 | 千田 | 
|---|---|
| 地区 | 深川 | 
| 保持者・保持団体 | 川又栄風(号) | 
| 登録年月日 | 2025年5月12日 | 
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