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報道発表資料
発表日:2023年4月14日
みなさんは、かつて江東区が農地として発展し、百万都市であった江戸の食糧供給を支えていたことをご存じですか?
中川船番所資料館(大島9)では、そのような江東区の意外な一面にフォーカスした特別展「江東の農業」を開催中です。
(特別展「江東の農業」 展示ブース。手前には江戸野菜のレプリカが並んでいます)
16世紀末、食糧供給のため、日本各地で新田開発が盛んになり、農地が増えました。旧利根川と荒川の河口に位置し、肥沃な土地であった江東区でも同時期に開発が始まり、1596年に徳川家康の命を受けた深川八郎右衛門が、現在の森下・常盤・新大橋・猿江・住吉辺りを開拓し、多くの新田がつくられました。
1658年頃には、砂村新左衛門が、現在の南砂1~7丁目、東砂8丁目辺りに砂村新田を開拓しました。この地域は海に近く、土地がアルカリ性であるため、田んぼよりも畑に適しており、1661年から1673年にかけて、篤農家(農業の研究・奨励者)である松本久四郎が野菜の促成栽培を考案し、砂村ナスや砂村ネギ、ソラマメなどが豊富に採れるようになりました。
(砂村三寸ニンジンなど江戸野菜の詳細も紹介されています)
採れた農作物は、小名木川や中川の水運を利用し、船でいち早く江戸のまちに届けられました。「初物」や「走り物」といった旬の食べ物を好む江戸っ子たちには、江東の地で栽培された野菜が非常に好評で、大金での買い付けも行われるようになり、そのような贅沢を禁じる「初物禁止令」が出される程だったそうです。
また、江東区を流れる運河を利用し、江戸のまちで出たし尿や魚のあらなどは、肥料として農地に運ばれ、江東の地はますます肥沃になり、ごみの発酵熱を利用した「トコバ」(温床)による促成栽培なども行われました。
(日本初の農業技術の指南書である宮崎安貞著『農業全書』など、原物資料も展示中です)
このような循環型の物流により、江東区では一年を通じ多種多様な農作物の栽培と供給が可能になりましたが、大正期以降、工業化・都市化が進み、江東区の農地は減少し、加えて、一部の江戸野菜の品種は第二次世界大戦中に失われてしまいました。
現在、かつて農地だった場所には団地や商業施設などが建ち並んでいますが、一方で、子どもたちの手によって、亀戸地区の一部小中学校では亀戸大根が、大島地区の一部小中学校ではソラマメが栽培されており、江戸の食糧事情に欠かせなかった江東の農業の面影はひっそりと息づいています。
特別展『江東の農業』は好評につき5月14日(日曜日)まで会期が延長されました。ぜひ、この機会に足を運び、水に恵まれ豊かに発展した江東区の土地の魅力に触れてみてください。
【特別展「江東の農業」】
会期:2022年11月9日(水曜日)から2023年5月14日(日曜日)まで
時間:午前9時30分から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
休館:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)
場所:江東区大島9-1-15 江東区中川船番所資料館2階 郷土の歴史・昭和の暮らし紹介展示室
観覧料:大人200円・小中学生50円(20名以上は団体料金)
最寄り駅:都営新宿線「東大島駅」大島口より徒歩5分/「第五大島小」バス停下車徒歩2分・「東大島駅前」バス停下車徒歩5分
【担当によるミュージアムトーク】
開催日:4月15日(土曜日)
開催時間:第1回目 午後1時から午後1時半まで/ 第2回目 午後2時半から午後3時まで
対象・定員:小学生以上 各回10名(先着順。なお小学3年生以下は保護者同伴・有料)
申込方法:中川船番所資料館に電話(03-3636-9091)または窓口で申込
料金:観覧料のみで参加可能
【展示解説シート「特別展 江東の農業」】
価格:無料
配布場所:江東区中川船番所資料館
規格:A4・フルカラー・8ページ
【問い合わせ先】
江東区中川船番所資料館
住所:東京都江東区大島9-1-15
電話:03-3636-9091
江東区中川船番所資料館ホームページ
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