海苔生産用具及び関連資料
海苔生産用具及び関連資料は江東区内にあった漁業協同組合の組合員が昭和37年(1962)12月に漁業権を放棄(ほうき)する以前に海苔生産で使用していたものです。
江東区の海苔生産は明治10年代(1877以降)に始められたと考えられます。その後、消費の拡大とともに東京湾の一大産業に発展し、東京の前海の広い範囲にわたって養殖は行われました。
しかし、一方で東京の発展による工場や生活排水などで、湾内の水質汚染(すいしつおせん)が深刻な問題となり、海苔養殖の環境は悪化の一途をたどりました。加えて、港湾整備などをはじめとする埋め立ての拡大で、都内の漁業協同組合は漁業権の放棄を余儀なくされました。当時、江東区内には深川浦、深川浦東部、城東の各漁業協同組合が存在しました。
平成31年4月1日には、35点の資料を登録しました。
ベカブネ〔海苔を採取するときに使用する船〕・網針(あばり)〔海苔網の製作・修復に使用〕・飛行機庖丁(ひこうきぼうちょう・下記の写真1参照)〔生海苔を刻むのに使用〕・海苔簀(のりす)・洗い笊(あらいざる)・平箱(ひらばこ)などの資料は、区内における海苔生産の歴史、ひいては江戸前の海を語るうえで欠かすことができません。また、これらの用具は秋から春の寒い季節に、海苔生産に従事した生産者が区内に多く居住していたことを示すものとしても、とても重要な民俗資料と言えます。
令和6年7月10日には、あらたに関連資料10点を追加登録しました
追加したものは、平箱(ひらばこ・下記の写真2参照)3点、帳簿1点、賞状類6点です。平箱は、乾海苔を問屋に運ぶ際に使用した木製の箱。帳簿(大正期)は、「海苔之通」と題し、乾海苔を海苔問屋に納めたことを記録したもので、納入先は日本橋の山形屋となっています。また、賞状類は昭和29年度から33年度までの江東区海苔品評会に関わるものです。なお、昭和29年2月13日には区内の深川浦漁業協同組合と城東漁業協同組合が協力して区内生産の海苔品評会を開催したことがしられています。

写真1・飛行機庖丁

写真2・ヒラバコ(平箱)
| 郵便番号 | 135-0016 |
|---|---|
| 住所 | 東陽4 |
| 地区 | 深川 |
| 所在地(所有者) | 江東区 |
| 登録年月日 | 2019年4月1日/2024年7月10日名称と内容を変更 |
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