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更新日:2022年1月31日

文化財とは

文化財とは一体何を指すのでしょうか。『広辞苑』(第5版、1998)を引くと、「文化活動の客観的所産としての諸事象または諸事物で文化価値を有するもの」とされています。そもそも文化財という言葉は文化財保護の歴史と密接に関係しています。そこで、はじめに文化財保護の歴史について見てみましょう。

戦前の文化財保護

日本における文化財保護の歴史は明治期にさかのぼります。廃仏毀釈の中で、明治4年(1871)に太政官によって「古器旧物保存方」が布告されました。明治30年になると「古社寺保存法」が制定され、昭和4年(1929)には古社寺だけでなく民有の物件を含めた「国宝保存法」が定められました。引き続いて昭和8年に国宝以外の美術・工芸品などの海外流出を防ぐため「重要美術品等の保存に関する法律」が制定されました。また、これらとは別に大正8年(1919)に「史跡名勝天然紀念物保存法」が制定されました。

文化財保護法の制定と改正

戦中・戦後の混乱による多くの文化財の焼失・荒廃という状況の中で、昭和24年に法隆寺金堂壁画が焼失しました。これを契機として、翌25年に議員立法によって戦前の3つの法律を統合した現在の「文化財保護法」が制定されました。「文化財」という言葉は、実はこの法律の成立過程で生まれ、広く使われるようになったのです。

その後、「文化財保護法」は昭和29年、43年、50年に大きく改正されました。特に昭和50年には大幅に改正され、有形文化財の定義の拡大が盛り込まれました。これは今まで「歴史上又は芸術上価値の高いもの」とされていた判断基準に、「学術上価値の高い歴史資料」を新たに含むことになりました。その後、経済の発展による生活レベルの向上と余暇時間の拡大などにより、国民の文化への志向が大きく高まるにつれ、この課題に即した改正の必要が求められました。その結果、平成8年に文化財保護法が改正されました。この改正の大きな特徴は、文化財指定制度を補完する制度として文化財登録制度が新たに設けられたことです。さらに平成16年5月に大幅な改正が行われました。この改正は今までの条文を整理し、さらに次の2つを新たに加えました。まず1つは登録制度の拡充です。従来の建造物のほかに登録の対象として、[1]建造物以外の有形文化財(近代以降の史料、美術工芸品など)、[2]有形民俗文化財(近代農具のコレクションや船大工の職人の技能など)、[3]記念物(炭坑・鉱山跡、公園や旅館の庭園など)が新たに加えられました。もう1つは文化財の種類に新たに文化的景観が加えられました。文化的景観とは、「地域における人々の生活又は生業及び地域の風土により形成された景観地」を示します。例えば棚田や里山、用水路などです。この改正は17年4月1日から施行されます。

地域文化財

近年、「地域文化財」という言葉をよく耳にするようになりました。これは「地域の歴史の中で生まれ、生活に密着した文化財」のことを指します。昭和50年代から建築物や町並・景観保存の運動の中で提唱され始め、現在では地域の博物館などで広く使われ、この考え方を中心に文化財の保護や活用が行われています。昭和55年に文化財登録制度を開始した江東区は、「地域文化財」の考え方を先駆的に行ってきたといえるでしょう。

文化財とはなにか

このように「文化財」という言葉は時代と法律によって変化してきました。広い意味でとらえれば、現在、私たちの身の回りにあるもの全てが文化財に当ります。私たちが普段見慣れ、当然のように扱っているものでも長い年月を経れば、21世紀の歴史や文化を知るための貴重な文化財となるでしょう。同じように、例えば江戸時代の食器などからは当時の人々の食生活や食文化を知ることができます。文化財は地域の歴史や文化を正しく理解し、私たちの生活をより豊かにするためのかけがえのない共有財産といえるでしょう。

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地域振興部 文化観光課 文化財係 窓口:区役所4階32番

郵便番号135-8383 東京都江東区東陽 4-11-28

電話番号:03-3647-9819

ファックス:03-3647-8470

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