○江東区職員等の内部公益通報に関する要綱

令和7年6月30日

7江総総第793号

江東区職員等の公益通報に関する要綱(平成18年3月31日江総総第2136号)の全部を改正する。

(目的)

第1条 この要綱は、公益通報者保護法(平成16年法律第122号。以下「法」という。)に基づく、江東区(以下「区」という。)の行政運営に関する違法な行為等に関して行われる職員等からの内部公益通報を適切に処理するために必要な事項を定めることにより、内部公益通報者の保護を図り、もって公正かつ透明性の高い区政運営に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 職員等 区の行政の執行に携わる者であって、次に掲げる者をいう。

 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職に属する職員及び同条第3項に規定する特別職に属する職員

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第2条第2号に規定する派遣労働者であって区の事務又は事業に従事するもの

 区が委託契約、請負契約その他の契約をして、又は地方自治法(昭和22年法律第67号)に規定する公の施設に係る指定管理者の指定をし、区の事務又は事業を行わせる場合において、その契約又は指定に係る事業者に使用され、その事務又は事業に従事する役員及び労働者

 内部公益通報の日前1年以内において、からまでのいずれかに該当した者(ただし、に規定する役員にあっては、この限りでない。)

(2) 内部公益通報 職員等が、内部公益通報対象事実が生じ、又は正に生じようとしていると思料するときに、当該内部公益通報対象事実について行う通報をいう。

(3) 内部公益通報対象事実 区の事務事業の執行に関する次に掲げる事実をいう。

 法令(条例、規則等を含む。)に違反し、又は違反するおそれがある事実

 人の生命、身体、財産その他の利益を害し、又は害するおそれがある事実

 及びに掲げるもののほか、公益を害し、又は害するおそれがある事実

(4) 通報者 内部公益通報を行った職員等をいう。

(5) 被通報者 内部公益通報対象事実により内部公益通報をされた者をいう。

(6) 公益通報相談員 職員等からの内部公益通報を処理するために設置する外部窓口で、弁護士の資格を有する者をいう。

(7) 相談 内部公益通報に先立ち又は関連して必要な助言を求めることをいう。

(8) 通報等 内部公益通報及び相談をいう。

(従事者)

第3条 法第11条第1項に規定する公益通報対応業務従事者(以下「従事者」という。)は、次に掲げる者とする。

(1) 次条に規定する総括責任者

(2) 第5条第2項に規定する通報処理担当者で、総括責任者が指定する者

(3) 前2号に掲げる者のほか、次条に規定する総括責任者が必要に応じて指定する者

(総括責任者)

第4条 内部公益通報を適切に処理するために必要な体制を整備し、通報対応業務を総括するため、総括責任者を置く。

2 総括責任者は、総務部長をもって充てる。

3 総括責任者は、従事者(総括責任者を除く。以下この項において同じ。)を指定し、従事者の地位に就くことが当該従事者自身に明らかとなる方法により伝達するものとする。

4 総括責任者は、内部公益通報に係る事案が、区長その他幹部職員に関係する場合は、これらの者からの独立性を確保する措置をとるものとする。

(通報窓口)

第5条 内部公益通報の受付、調査その他必要な事務を処理するため、内部窓口及び外部窓口(以下「通報窓口」という。)を置く。

2 通報窓口において通報対応業務を行う者(以下「通報処理担当者」という。)は、次に掲げる者とする。

(1) 内部窓口 総務部職員課の職員

(2) 外部窓口 公益通報相談員

(公益通報委員会)

第6条 職員等からの内部公益通報を処理するため、公益通報委員会(以下「委員会」という。)を置く。

2 委員会は、委員長、副委員長及び委員をもって充てる。

3 委員長は、総務部を担任する副区長(以下「総務部担任副区長」という。)をもって充てる。

4 副委員長は、総務部担任副区長以外の副区長をもって充てる。

5 委員は、教育長及び総務部長をもって充てる。

6 委員長は、必要に応じて委員会を招集し、会務を総理する。

7 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは、その職務を代理する。

8 委員自らが当事者となっている事案その他の利益相反関係を有する事案に関する内部公益通報があった場合は、当該委員は委員会に参加することができない。

9 委員会の会議及び議事録は、非公開とする。

10 委員会の庶務は、総務部総務課において処理する。

(従事者の責務)

第7条 従事者は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後もまた同様とする。

2 従事者は、誠実かつ公正に職務を遂行しなければならない。

3 従事者は、通報者を特定させる事項を必要最小限度の範囲を超えて共有してはならない。

(通報者の責務)

第8条 通報者は、内部公益通報を行うに当たっては、客観的かつ具体的な根拠に基づき、誠実に行わなければならない。

2 通報者は、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的による内部公益通報を行ってはならない。

3 通報者は、内部公益通報に関して行われる調査等に対し、誠実に協力しなければならない。

(利益相反関係の排除)

第9条 従事者は、自ら当事者となっている事案その他の利益相反関係を有する事案に関する通報対応業務に関与してはならない。

2 総括責任者は、従事者(総括責任者を除く。以下この条において同じ。)が内部公益通報に係る事案に利益相反関係を有していないことを確認するものとする。

3 総括責任者は、従事者が内部公益通報に係る事案に利益相反関係を有していることが判明したときは、直ちに当該従事者を当該通報対応業務に関与させない措置を講じなければならない。

(通報及び相談の方法)

第10条 職員等は、電子メール、ファクシミリ又は封書により、通報窓口に対し、通報等をすることができる。

2 内部公益通報は、内部公益通報書(別記様式)により行うものとする。

3 内部公益通報を行うときは、原則として氏名及び連絡先を明らかにしなければならない。ただし、内部公益通報対象事実を客観的に証明できる場合は匿名で行うことができる。

(通報の受付)

第11条 通報処理担当者は、内部公益通報を受け付けたときは、誠実かつ公正に対応しなければならない。

2 通報処理担当者は、内部公益通報の内容が虚偽であることが明らかな場合又は著しく不分明な場合を除き、正当な理由なく受付を拒んではならない。

3 通報処理担当者は、内部公益通報を受け付けたときは、内部公益通報書に従い、通報者の秘密の保持及び個人情報の保護に配慮しつつ、当該通報の趣旨の把握に努めるものとする。

4 通報処理担当者は、内部公益通報を受け付けたときは、通報者に対し、内部公益通報を受け付けた旨を通知するものとする。

5 通報処理担当者は、内部公益通報を受け付けたときは、次に掲げる事項を通報者に説明するものとする。ただし、通報者が説明を希望しない場合、通報者が自らの個人情報の秘匿を必要としない旨を申し出た場合、匿名による内部公益通報であるため通報者への説明が困難である場合その他やむを得ない理由がある場合は、この限りでない。

(1) 通報等に関する秘密が保持されること。

(2) 個人情報が保護されること。

(3) 通報等をしたことを理由に不利益な取扱いを受けないこと。

(4) 内部公益通報の受付後の手続の流れに関すること。

6 前項ただし書の規定は、次条第2項第13条第3項第14条第3項第15条第2項及び第16条第7項に規定する通報者及び申出者への通知について準用する。

7 通報処理担当者は、内部公益通報を受け付けたときは、総括責任者に報告するものとする。

8 総括責任者は、前項の規定による報告を受けたときは、委員会に報告するものとする。

(通報の受理)

第12条 通報処理担当者は、内部公益通報を受け付けたときは、当該通報に関して調査又は是正措置を講じる必要性について検討した上で、当該通報の受理又は不受理の決定をしなければならない。

2 通報処理担当者は、前項において内部公益通報を受理すると判断したときはその旨を、受理しないと判断したときはその旨及びその理由を、通報者に通知するとともに、総括責任者に報告するものとする。

3 総括責任者は、前項の規定による報告を受けたときは、委員会に報告するものとする。

(調査の実施)

第13条 通報処理担当者は、内部公益通報を受理したときは、正当な理由がある場合を除き、直ちに当該通報についての調査の必要性を検討しなければならない。

2 通報処理担当者は、調査を行うこととしたときは、内部公益通報に関する秘密を保持するとともに、個人情報を保護するため、通報者が被通報者及びその関係者に特定されないよう十分に留意しつつ、必要かつ相当と認められる方法で行うものとする。

3 通報処理担当者は、調査を行うときはその旨及び着手の時期を、調査を行わないときはその旨及びその理由を、通報者に通知するとともに、総括責任者に報告するものとする。

4 通報処理担当者は、調査を終了したときは、総括責任者に調査の結果を報告するものとする。

5 総括責任者は、前2項の規定による報告を受けたときは、委員会に報告するものとする。

6 内部窓口は、調査に係る業務に関し、内部公益通報に係る利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、公益通報相談員に助言を求めることができる。

7 職員等は、通報処理担当者が調査を行うときは、これに協力しなければならない。この場合において、調査に協力した職員等は、調査に協力した事実及び調査により知り得た秘密を漏らしてはならない。

(調査結果の審議)

第14条 委員会は、前条第5項の規定により調査の結果について報告を受けたときは、その内容を審議し、内部公益通報対象事実の有無について決定しなければならない。

2 委員会は、内部公益通報対象事実の有無を決定したときは、その内容を区長に報告しなければならない。ただし、内部公益通報の内容が区長に関係する事案又は関係するおそれがある事案については、この限りでない。

3 委員会は、内部公益通報対象事実の有無を決定したときは、通報者に対し、その内容を、当該通報を受理した通報処理担当者を経由して通知するものとする。

(是正措置等)

第15条 区長は、前条第2項の規定による報告を受けたときは、その内容を審査し、必要と認めるときは、内部公益通報対象事実に係る是正措置、再発防止策等(以下「是正措置等」という。)を講じるものとする。

2 区長は、前項の規定により是正措置等を講じたときは、その内容を速やかに委員会に報告するとともに、内部公益通報に係る利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、通報者に対し、当該通報を受理した通報処理担当者を経由して通知するものとする。

3 区長は、第1項の是正措置等を講じた後、内部公益通報対象事実が再発していないこと及び当該是正措置等が十分に機能していることを確認するとともに、必要に応じて、新たな是正措置等を講ずるものとする。

(不利益な取扱いの禁止)

第16条 職員等は、正当な通報等又は通報等に関する調査に対する協力(以下「調査協力」という。)をしたことを理由に、通報者に対し、不利益な取扱いを行ってはならない。

2 職員等は、通報者の探索をしてはならない。

3 正当な通報等又は調査協力をしたことを理由に不利益な取扱いを受けた通報者は、その旨を通報処理担当者に申し出ることができる。

4 第11条から第13条までの規定は、通報処理担当者が前項の規定による申出を受けた場合における当該申出の受付、受理、調査及び委員会への報告について準用する。

5 第14条の規定は、委員会が前項の報告を受けた場合について準用する。

6 区長は、前項に規定する報告を受けたときは、不利益な取扱いに係る是正措置等を講ずるものとする。

7 区長は、前項の規定により是正措置等を講じたときは、その内容を速やかに委員会に報告するとともに、内部公益通報に係る利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、不利益な取扱いの申出者に対し、その申出を受理した通報処理担当者を経由して通知するものとする。

(職員等への周知)

第17条 総括責任者は、職員等に対し適切な方法により、内部公益通報の制度について周知を図るものとする。

(公表)

第18条 区長は、内部公益通報の件数等の運用状況について、毎年度公表するものとする。ただし、通報者が特定できる情報は、公表しないものとする。

(記録等の管理等)

第19条 通報等への対応に係る記録及び関係資料については、江東区文書管理規則(平成13年10月江東区規則第53号)その他文書管理に関する法令等に従い、通報者の秘密の保持に配慮した上で、適切な方法で管理しなければならない。

2 通報者に関する情報は、江東区情報公開条例(平成13年3月江東区条例第3号)第7条に規定する不開示情報として取り扱うものとする。

(その他)

第20条 この要綱に定めるもののほか、内部公益通報に関し必要な事項は、区長が別に定める。

この要綱は、令和7年7月1日から施行する。

別記様式(第10条関係)

 略

江東区職員等の内部公益通報に関する要綱

令和7年6月30日 江総総第793号

(令和7年7月1日施行)