○江東区議会議員政治倫理条例

令和7年5月23日

条例第29号

(目的)

第1条 この条例は、江東区議会(以下「議会」という。)及び江東区議会の議員(以下「議員」という。)が区民全体の奉仕者として人格及び倫理の向上に努め、いやしくもその権限又は地位に基づく影響力を不正に行使して自己又は特定の者の利益を図ることのないよう政治倫理基準を定める等、必要な措置を講ずることにより、区政に対する区民の信頼に応えるとともに、公正で開かれた民主的な区政の発展に寄与することを目的とする。

(議会の役割)

第2条 議会は、前条の目的を達成するため、議員の政治倫理向上に資する取組を進めるとともに、区民に対する説明責任を果たし、議員活動の公正性及び透明性を確保しなければならない。

(議員の責務)

第3条 議員は、区民全体の奉仕者として区政に携わる権能及び責務を深く自覚し、第5条第1項各号に定める政治倫理基準(以下「政治倫理基準」という。)、法令、条例等を遵守して活動しなければならない。

2 議員は、自ら研鑽けんさんを積み、資質を高めるとともに、区民の信頼に値する倫理性を保持し、区民全体の奉仕者として名誉及び品位を損なうような一切の行為を慎むよう努めなければならない。

3 議員は、議会及び議員の活動を積極的に区民に明らかにし、自ら率先して説明責任を果たさなければならない。

(区民の役割)

第4条 区民は、議員に対し、その権限又は地位の影響力を不正に行使させるよう働き掛ける等、政治倫理基準に違反するいかなる行為も求めてはならない。

2 区民は、区民全体の奉仕者たる議員の活動及び政治姿勢に注目するとともに、議員に対し、当該議員の活動及び政治姿勢について説明を求めることができる。

(政治倫理基準)

第5条 議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。

(1) 区政運営若しくは議会運営に著しく影響を与えるものであって、区民の信用若しくは信頼を失墜させる行為又は不正の疑惑を持たれるおそれのある行為を行わないこと。

(2) 区が行う委託、請負その他の契約又は指定管理者の指定に関し、その権限又は地位の影響力を不正に行使し、特定の個人、企業その他の団体のために有利又は不利な取り計らいをしないこと。

(3) 区の職員並びに区が資本金、基本金その他これに準ずるものを出資し、又は拠出している団体及び指定管理者の役職員に対し、その権限又は地位の影響力を利用することにより、公正な職務の執行を妨げ、又は職権を不正に行使する働き掛けをしないこと。

(4) その権限又は地位の影響力を利用して、職務の公正を疑われるような、いかなる金品の授受等をしないこと。

(5) その権限又は地位の影響力を利用して、何人に対しても、嫌がらせをし、強制若しくは強要し、又は圧力をかける等、人権侵害のおそれのある全てのハラスメント行為をしないこと。

(6) 報告会、チラシ、SNS等を利用した情報発信により、誹謗中傷の発言をする等、他人の名誉を毀損し、若しくは人格を損なう一切の行為をしないこと又は第三者をして同様の行為をさせないこと。

2 議員は、政治倫理基準に違反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自ら誠実な態度をもって、真相を明らかにするとともに、区民及び議会に対して説明責任を果たさなければならない。

(兼業の報告義務)

第6条 議員は、自ら事業を営んでいる者又は当該議員が役員、顧問その他これらに準ずる職(以下「役員等」という。)に就いている法人等で、次の各号のいずれかに該当する場合は、別に定める兼業報告書を速やかに議長に提出しなければならない。当該報告書の内容に変更があったときも同様とする。

(1) 区に対し請負をする主として収益事業を営むもの

(2) 区の許認可が必要な事業を営むもの

(3) 区から補助金等を受け、又は受けようとするもの

(4) 区の指定管理者の指定を受けるもの

2 前項の規定は、議員が新たに自ら事業を営むこととなったとき、又は新たに法人等の役員等に就くこととなった場合について準用する。

(請負の報告義務)

第7条 議員は、自らが事業を営んでいる場合の当該事業、又は当該議員が役員等に就いている法人等の事業のうち、前会計年度(当該議員が議員である期間に限る。)における区に対する請負がある場合は、別に定める請負状況等報告書を速やかに議長に提出しなければならない。

2 議員は、議長に提出した請負状況等報告書の内容を訂正する必要があるときは、別に定める請負状況等訂正届を速やかに議長に提出しなければならない。

(報告書等の閲覧)

第8条 議長は、前2条の規定により提出された兼業報告書、請負状況等報告書及び請負状況等訂正届を、当該報告書等を提出した議員の在任期間中、区民からの請求に応じて閲覧に供しなければならない。

(調査請求)

第9条 議員に政治倫理基準に違反する行為をした疑いがあると認めるときは、区民にあっては議員の選挙権を有する者の1,000人以上の連署をもって、議員にあっては議員定数の8分の1以上の者の連署をもって、それぞれの代表者(以下「請求代表者」という。)から議長に調査請求をすることができる。この場合において、請求代表者は、別に定める調査請求書に当該行為に係る資料を添えて、議長に提出しなければならない。

2 前項の調査請求の内容が議長に関するものであるときは、同項の規定にかかわらず、副議長に調査請求をするものとする。この場合において、次項及び第4項次条並びに第13条中「議長」とあるのは、「副議長」と読み替えるものとする。

3 議長は、第1項の調査請求書を受理したときは、その記載内容及び添付資料を確認し、不備があると認めるときは、相当の期間を定めて請求代表者に対し、その補正を命ずることができる。

4 議長は、調査請求の内容が別に定める要件に該当するとき、又は請求代表者が前項の規定による補正命令に従わないときは、当該請求を却下するものとする。調査請求が不適法であって補正することができないことが明らかなときも同様とする。

5 調査請求は、当該請求に係る行為のあった日の翌日から起算して1年を経過したときは、請求することができない。ただし、正当な理由があると認められるときは、この限りでない。

(政治倫理審査特別委員会の設置等)

第10条 議長は、前条第3項の規定による確認の結果、調査請求が適正であると認めたときは、江東区議会委員会条例(昭和31年9月江東区条例第7号。以下「委員会条例」という。)第4条に基づき政治倫理審査特別委員会(以下「委員会」という。)を設置し、当該調査請求に係る事案(以下「審査事案」という。)の審査を委員会に付託するものとする。

2 委員会の委員の定数は、委員会条例第4条第2項の規定にかかわらず、11人とする。

(委員会の審査)

第11条 委員会は、審査事案の審査(以下単に「審査」という。)を付託されたときは、政治倫理基準に違反する行為の存否及び次条に定める措置について審査及び報告する。

2 委員会は、前項の規定による審査を行うため、調査請求の対象となった議員(以下「対象議員」という。)又は関係人に対し、事情聴取等の必要な調査をすることができる。

3 対象議員は、委員会から審査に必要な資料の提出又は委員会への出席要求がある場合、それに従わなければならない。

4 委員会は、審査に際し、対象議員の求めがあったときは、文書又は口頭による弁明の機会を与えなければならない。

5 委員会は、審査を委員会に付託した日から60日以内に、議長に対し審査結果を報告するように努めるものとする。

6 委員会は、審査に当たっては、委員会条例第27条の2に規定する参考人として、政治倫理に識見を有する者に出席を求めることができる。

(議会の措置)

第12条 議会は、前条第5項に規定する委員会からの報告を受けた事項を尊重し、当該対象議員が政治倫理基準に違反したと認められるときは、議会の名誉及び品位を守り、区民の信頼を回復するために必要と認める措置を講ずるものとする。

2 議会は、委員会から対象議員が政治倫理基準に違反していないと報告を受けたときは、当該対象議員の名誉を回復する措置を決定するものとする。

(結果の通知及び公表)

第13条 議長は、審査結果について、議決後、速やかに請求代表者に議決結果を送付するとともに、その概要を公表しなければならない。

(委任)

第14条 この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

江東区議会議員政治倫理条例

令和7年5月23日 条例第29号

(令和7年5月23日施行)