○江東区都市景観条例
平成20年12月15日
条例第34号
江東区都市景観条例(平成10年12月江東区条例第49号)の全部を改正する。
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 良好な景観の形成
第1節 景観の形成のための総合的な施策の推進(第6条―第9条)
第2節 景観の形成のための地区の指定(第10条・第11条)
第3節 行為の規制等(第12条―第21条)
第4節 都市景観重要建造物等の指定(第22条―第28条)
第3章 区民とともに進める景観の形成(第29条―第34条)
第4章 都市景観審議会(第35条・第36条)
第5章 雑則(第37条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、江東区(以下「区」という。)の良好な都市景観の形成に関し、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の規定に基づく景観計画の策定、行為の規制等について必要な事項を定めるとともに、区、区民及び事業者の責務を明らかにするほか、区の水辺を生かし、歴史と文化を尊重し、並びにみどり豊かなうるおいのある都市景観を創造し、育成し、及び保全するために必要な事項を定め、もって魅力ある景観の形成に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 区にふさわしい景観を形成するために、次の事項を基本理念とする。
(1) 豊かな水辺とみどりにより自然が感じられるまちをつくること。
(2) 伝統のある下町文化を継承するまちをつくること。
(3) 地域イメージを持つ個性的なまちをつくること。
(4) 都市環境を意識したまちをつくること。
(5) 人にやさしくやすらぎのあるまちをつくること。
(1) 景観の形成 良好な都市景観を創造し、育成し、又は保全することをいう。
(2) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(3) 工作物 建築基準法第88条に規定する工作物(屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物を除く。)その他規則で定めるものをいう。
(4) 水辺 河川、運河、海その他の水面の水際をいう。
(5) みどり 樹木、樹林、生垣、草花、草地等をいう。
(6) 区民 区内に住所を有する者及び区内に土地若しくは建築物を所有し、又は権原に基づき占有する者をいう。
(7) 事業者 区内で事業活動を行う者をいう。
(区の責務)
第4条 区は、法第2条及び第2条に定める基本理念にのっとり、区における景観の形成を推進するための総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 区は、景観の形成を推進するに当たっては、区民及び事業者の意見が十分に反映されるよう努めなければならない。
3 区は、公共施設等の整備を行うときは、景観の形成において先導的な役割を果たすよう努めなければならない。
4 区は、景観の形成に対する区民及び事業者の意識を高めるため、その啓発に努めなければならない。
(区民及び事業者の責務)
第5条 区民及び事業者は、自ら景観の形成に努めるとともに、区が実施する景観の形成のための施策に協力しなければならない。
第2章 良好な景観の形成
第1節 景観の形成のための総合的な施策の推進
(景観計画の策定)
第6条 区長は、景観の形成を総合的かつ計画的に推進するため、法第8条第1項に規定する景観計画(以下「景観計画」という。)を策定するものとする。
2 区長は、景観計画を策定しようとするときは、区民及び事業者の意見を反映することができる措置を講じなければならない。
4 区長は、景観計画を策定したときは、これを告示しなければならない。
5 前3項の規定は、景観計画を変更する場合に準用する。
(景観の形成に関する施策の調整)
第7条 区長は、景観の形成を総合的かつ効果的に推進するため、この条例に基づく施策と他の景観の形成について定めのある区の条例等に基づく施策との調整を図るものとする。
(国等に対する要請)
第8条 区長は、必要があると認めるときは、国若しくは地方公共団体又はこれらに準ずる団体(以下「国等」という。)に対して、区が進める景観の形成に関して協力を要請するものとする。
(都又は関係区との連携)
第9条 区長は、市街地が区の区域の範囲を超えて連続し、地域として一体的な景観を形成する場合があること等を認識し、東京都(以下この条において「都」という。)又は関係する特別区(以下「関係区」という。)との適切な役割分担のもとに、景観の形成を進めるものとする。
2 区長は、区の区域における景観の形成を推進するため、当該区域の範囲を超える地域において一体的に取り組むことが効果的であると認める場合は、都又は関係区の長に対し、協議を求めることができる。
3 区長は、都又は関係区の長から、景観の形成の推進のために必要な協議を求められた場合には、これに応ずるものとする。
第2節 景観の形成のための地区の指定
(景観計画の地区指定)
第10条 区長は、景観計画の区域(法第8条第2項第1号に規定する景観計画の区域をいう。)内において、次に掲げる地区を指定することができる。
(1) 下町水網地域
(2) 景観基本軸
(3) 景観重点地区
(4) 景観形成特別地区
2 前項第1号の下町水網地域は、内部河川又は運河を活用し、水辺の良好な景観の誘導及び保全を図る地域とする。
3 第1項第2号の景観基本軸は、東京都景観条例(平成18年東京都条例第136号。以下「都条例」という。)第8条第1項第1号の規定により知事が指定する景観基本軸のうち、河川、運河又は海が連続する区の地域で、景観の形成を推進するために、特に重点的に取り組む必要がある地区とする。
4 第1項第3号の景観重点地区は、景観の形成を推進するために、重点的に良好な景観の誘導及び保全を図る地区とする。
5 第1項第4号の景観形成特別地区は、都条例第8条第1項第2号の規定により知事が指定する景観形成特別地区のうち、次に掲げる景観資源を含む区の地域で、景観の形成を推進するために、特に重点的に取り組む必要がある地区とする。
(1) 文化財庭園等歴史的価値の高い施設及びその周辺地域
(2) 水辺の周辺等観光振興を図るために、特に重要な地域
(3) 前2号に掲げるもののほか、別に区長が定める地域
6 区長は、法第8条第2項第2号に規定する良好な景観の形成のための行為の制限に関する事項、同条第3項に規定する良好な景観の形成に関する方針及び同条第4項第2号に規定する規制又は措置の基準(以下「景観形成基準」という。)を第1項各号に規定する地区ごとに定めるものとする。
(平23条例25・一部改正)
(景観重点地区の指定)
第11条 区長は、前条第1項第3号に規定する景観重点地区を指定しようとするときは、あらかじめ当該地区内の区民及び事業者並びに国等の意見を聴かなければならない。
2 区長は、前条第1項第3号に規定する景観重点地区を指定しようとするときは、あらかじめ都市景観審議会の意見を聴かなければならない。
3 区長は、景観重点地区を指定したときは、これを告示しなければならない。
4 前3項の規定は、景観重点地区の指定を変更する場合に準用する。
第3節 行為の規制等
(行為の届出)
第12条 第10条第1項各号に規定する地区内において、法第16条第1項各号に掲げる行為(以下「建築行為等」という。)のうち規則で定める規模の行為をしようとする者は、規則で定めるところにより、区長に届け出なければならない。
2 法第16条第1項第4号の条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。
(1) みどりに関する行為(伐採及び移植を含む。)
(2) 水面の埋立て又は干拓に関する行為
(届出の適用除外行為)
第13条 第10条第1項各号に規定する地区内において、法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。
(1) 仮設の建築物の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更
(2) 法第16条第1項各号に掲げる届出を要する行為(同項第2号に掲げる行為にあっては、規則で定める工作物に係る行為に限る。)で、規則で定める届出対象の規模以下のもの
(景観形成基準への適合)
第14条 建築行為等を行う者は、景観形成基準に適合するように努めなければならない。
(変更の届出)
第15条 第12条第1項に規定する届出をした者は、法第16条第2項の規定による変更をしようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめ区長に届け出なければならない。
(特定届出対象行為)
第16条 法第17条第1項の条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。
(1) 建築物の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更
(2) 工作物の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更
(指導)
第17条 区長は、景観計画において法第8条第2項第2号の良好な景観の形成のための行為の制限に関する事項を定めたときは、当該行為の制限に適合しない行為をしようとする者又はした者に対し、当該行為の制限に適合させるため、必要な措置をとるよう指導することができる。
2 区長は、前項において必要と認めるときは、都市景観審議会の意見を聴くことができる。
(平23条例25・一部改正)
(行為者相互の調整)
第18条 区長は、第12条第1項の規定による届出を行おうとする者又は行った者で建築行為等を完了していないもの(以下「行為者」という。)から、景観の形成に関して連携の申出があった場合で、当該連携が景観の形成のために必要であると認めるときは、行為者相互の調整に努めるものとする。
(建築行為等に関する情報提供)
第19条 建築行為等を行うに当たり法令等に基づき地域住民に説明すべき義務のある者は、当該建築物等の説明をするに際して、景観に関する情報も併せて説明しなければならない。
2 法令等に基づき地域住民に説明すべき義務のない者であっても、建築行為等を行うに当たっては、景観に関する情報を掲示その他の方法により適切に提供するよう努めなければならない。
(勧告の手続等)
第20条 区長は、法第16条第3項の規定による勧告をしようとするときは、あらかじめ都市景観審議会の意見を聴かなければならない。
2 区長は、法第16条第3項の規定による勧告を受けた者が正当な理由なくその勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。
3 区長は、前項の規定による公表をしようとする場合は、当該勧告を受けた者に対し、意見を述べ、証拠を提示する機会を与えなければならない。
(変更命令等の手続)
第21条 区長は、法第17条第1項又は第5項の規定により必要な措置をとることを命じようとするときは、あらかじめ都市景観審議会の意見を聴かなければならない。
第4節 都市景観重要建造物等の指定
(都市景観重要建造物等の指定)
第22条 区長は、法第19条第1項又は法第28条第1項の規定により、景観の形成上重要であると認めるものを都市景観重要建造物又は都市景観重要樹木(以下「都市景観重要建造物等」という。)として指定し、必要があると認めるときはその保存のために技術的支援その他の措置を講じることができる。
2 区長は、都市景観重要建造物等を指定しようとするときは、あらかじめ都市景観審議会の意見を聴くとともに、当該都市景観重要建造物等の所有者及び権原に基づく占有者(以下「所有者等」という。)の同意を得なければならない。
3 区長は、前2項の規定に基づき都市景観重要建造物等を指定したときは、法第21条第1項又は法第30条第1項の規定により、その旨を所有者等に通知するとともに告示しなければならない。
4 区長が法第27条第1項若しくは第2項又は法第35条第1項若しくは第2項の規定により、都市景観重要建造物等の指定を解除する場合においては、前2項の規定を準用する。
(都市景観重要建造物等の現状変更等)
第23条 所有者等は、都市景観重要建造物等の現状を変更しようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめその旨を区長に届け出なければならない。
2 区長は、前項の規定による届出があった場合において、当該都市景観重要建造物等の現状の変更が景観の形成の趣旨に反すると認めるときは、所有者等に必要な措置を講じるよう指導し、又は助言することができる。
3 区長は、前項の規定による指導若しくは助言をしようとするとき又は法第22条第1項若しくは法第31条第1項の規定による現状変更の許可をしようとするとき若しくは法第22条第3項(法第31条第2項において準用する場合を含む。)の規定による現状変更の許可に必要な条件を付そうとするときは、あらかじめ都市景観審議会の意見を聴かなければならない。
(都市景観重要建造物等の原状回復命令等)
第24条 区長は、所有者等が前条第3項の規定による許可に付された条件に違反した場合において、法第23条第1項(法第32条第1項において準用する場合を含む。)の規定による原状回復又はこれに代わるべき必要な措置をとるべき旨を命じようとするときは、あらかじめ都市景観審議会の意見を聴かなければならない。
(都市景観重要建造物等の滅失等)
第25条 所有者等は、都市景観重要建造物等の全部又は一部が滅失、き損又は枯死したときは、規則で定めるところにより、区長に届け出なければならない。
(都市景観重要建造物等の所有者等の変更)
第26条 所有者等は、氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、規則で定めるところにより、区長に届け出なければならない。
(都市景観重要建造物等の管理の方法の基準)
第27条 法第25条第2項及び法第33条第2項の管理の方法の基準は、次のとおりとする。
(1) 都市景観重要建造物の管理の方法の基準
ア 都市景観重要建造物の修繕は、原則として当該修繕前の外観を変更することのないようにすること。
イ 消火器の設置その他の防災上の措置を講じること。
ウ 都市景観重要建造物の滅失又はき損を防ぐため、その敷地、構造及び建築設備の状況を定期的に点検すること。
エ 都市景観重要建造物が滅失又はき損するおそれがあると認めるときは、直ちに区長と協議して当該都市景観重要建造物の滅失又はき損を防ぐ措置を講じること。
オ 都市景観重要建造物をき損するおそれのある枯損した、又は危険なみどりは、速やかに伐採等すること。
(2) 都市景観重要樹木の管理の方法の基準
ア 都市景観重要樹木の良好な景観を保全するため、せん定その他の必要な管理を行うこと。
イ 都市景観重要樹木の滅失又は枯死を防ぐため、その生育の状況を定期的に点検するとともに、病害虫の駆除その他の措置を行うこと。
ウ 都市景観重要樹木が滅失又は枯死するおそれがあると認めるときは、直ちに区長と協議して当該都市景観重要樹木の滅失又は枯死を防ぐ措置を講じること。
(都市景観重要建造物等の管理に関する命令又は勧告)
第28条 区長は、法第26条又は法第34条の規定により、管理に関する命令又は勧告をしようとするときは、あらかじめ都市景観審議会の意見を聴かなければならない。
第3章 区民とともに進める景観の形成
(区民参加の景観の形成)
第29条 区長は、景観の形成の円滑な推進を図るため、区民及び事業者が景観の形成に関する提言並びに情報及び意見の交換の機会を設けるよう努めなければならない。
(支援)
第30条 区長は、景観の形成に寄与しようとする者に対し、必要があると認めるときは、技術的支援その他の措置を講じることができる。
(表彰)
第31条 区長は、景観の形成に寄与していると認める者を表彰することができる。
2 区長は、前項の規定により表彰しようとするときは、あらかじめ都市景観審議会の意見を聴かなければならない。
(景観協定の認可)
第32条 区長は、景観の形成を目的として区民が締結した協定のうち、この条例の趣旨に照らして適当であると認めるものを、景観協定(以下「協定」という。)として認可するものとする。
2 区長は、前項の規定による認可を行ったときは、その旨を告示しなければならない。
3 前項の規定は、協定の内容が変更された場合に準用する。
(景観形成区民団体の認定)
第33条 区長は、景観の形成を目的として区民が組織する団体のうち、この条例の趣旨に照らして適当であると認めるものを、景観形成区民団体(以下「団体」という。)として認定することができる。
2 区長は、前項の規定による認定を行ったときは、その旨を告示しなければならない。
(認可等の取消し)
第34条 区長は、協定が廃止され、又は内容の変更によりこの条例の趣旨に合致しなくなったと認めるときは、認可を取り消すことができる。
2 区長は、団体が解散され、又は活動の内容がこの条例の趣旨に合致しなくなったと認めるときは、認定を取り消すことができる。
3 区長は、前2項の規定により認可又は認定を取り消したときは、その旨を告示しなければならない。
第4章 都市景観審議会
(設置)
第35条 景観の形成を適切に推進するため、区長の附属機関として江東区都市景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、この条例の規定により定められた事項その他景観の形成に関する重要事項を調査し、審議するものとする。
3 前項に定めるもののほか、審議会は景観の形成に関して区長に意見を述べることができる。
(組織)
第36条 審議会は、区長が委嘱する15人以内の委員で組織する。
2 委員の任期は2年以内とし、再任を妨げない。ただし、欠員が生じた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 専門事項を調査審議させるため、審議会に江東区都市景観専門委員会(以下「専門委員会」という。)を置くことができる。
5 前項の規定により専門委員会の意見を審議会の意見とみなしたときは、専門委員会は、その後最初に招集される審議会にその旨を報告しなければならない。
6 前5項に定めるもののほか、審議会及び専門委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第5章 雑則
(委任)
第37条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成21年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例による改正後の江東区都市景観条例第6条の規定による景観計画の策定前においては、法第8条の規定により都が定めた景観計画のうち区の区域に係る部分を区の景観計画とみなす。
3 この条例の施行の際、この条例による改正前の江東区都市景観条例(以下「旧条例」という。)第10条の規定により指定されている景観重点地区は、この条例による改正後の江東区都市景観条例(以下「新条例」という。)第10条第1項第3号の規定により定められた景観重点地区とみなす。
4 この条例の施行の際、旧条例第13条及び第15条の規定による届出をした者についての当該届出に係る旧条例の規定の適用については、なお従前の例による。
5 この条例の施行の際、旧条例第19条第1項の規定により都市景観重要建造物として指定されている建造物は、新条例第22条第1項の規定により指定された都市景観重要建造物とみなす。
6 この条例の施行の際、旧条例第27条第1項の規定により設置されている審議会は、新条例第35条第1項の規定により設置された審議会となり、同一性をもって存続するものとする。
7 この条例の施行の際、旧条例第28条第1項の規定により審議会の委員に委嘱された者は、新条例第36条第1項の規定により審議会の委員に委嘱された者とみなし、その任期は、同条第2項の規定にかかわらず、平成21年6月30日までとする。
附則(平成23年条例第25号)
この条例は、公布の日から施行する。