○江東区男女共同参画条例

平成16年3月17日

条例第1号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 基本的施策(第8条―第12条)

第3章 苦情及び相談の申出(第13条・第14条)

第4章 男女共同参画審議会(第15条―第20条)

第5章 雑則(第21条)

附則

かつて災禍の元凶であった「水」を「水彩都市・江東」の魅力に塗り替え、「ごみ問題」克服のために先進的に取り組んできた江東区は、少子高齢化の急速な進展や集合住宅建設の急増等に伴う地域社会の変化に直面している。これらの変化に対応し、さらに住みよい江東区を創っていくためには、社会生活や家庭生活などあらゆる活動において男女が平等に支えあっていく必要がある。

江東区は、日本国憲法のうたう人権と平和の尊重を区の基本理念とし、男女共同参画社会づくりに積極的に取り組んできた。しかし、性別による固定的な役割分担意識など、いまだ根強く、男女の個人としての能力の発揮や活動の選択を制限するものがあり、これらの解消には、なお一層の努力が求められている。

すべての区民が互いの人権を尊重しつつ責任を分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮していく江東区を実現するため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画社会の形成に関し、基本理念を定め、並びに江東区(以下「区」という。)、区民及び事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画社会の形成に関する施策の基本的事項を定めることにより、男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画社会 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が平等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会をいう。

(2) 積極的改善措置 男女が、社会のあらゆる分野における活動に参画する機会についての男女間の格差を改善するため、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(3) 区民 区の区域内(以下「区内」という。)に居住し、勤務し、在学し、又は区内で活動するすべての個人をいう。

(4) 事業者 公的機関若しくは民間又は営利若しくは非営利を問わず、区内において事業活動を行う個人及び法人その他の団体をいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画社会の形成は、次に掲げる基本理念に基づき、行われなければならない。

(1) 男女が、性別にかかわりなく個人として尊重され、直接的であるか間接的であるかを問わず性別を理由とする差別的な取扱いを受けないこと。

(2) 社会の制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担意識の影響を受けず中立的であり、男女の社会における活動の選択の自由を制約しないこと。

(3) 男女が、あらゆる領域における活動の方針の立案及び決定の過程において、社会の対等な構成員として参画する機会が確保されること。

(4) 男女が、相互の協力と社会の支援のもとに家庭生活及び職業生活等を両立すること。

(5) 男女共同参画社会の形成が、国際社会における取組に密接な関係を有していることを理解し、国際的協調の下に行われること。

(性別を理由とする差別的取扱い等の禁止)

第4条 何人も、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、性別を理由とする差別的な取扱いをしてはならない。

2 何人も、男女間における身体的若しくは精神的な苦痛を与える暴力又は児童虐待その他あらゆる暴力的行為をしてはならない。

3 何人も、他人を不快にさせる性的な言動をし、又はその言動によって生活環境を乱し、若しくはその言動を受けた者の対応により、その者に不利益を与える行為をしてはならない。

4 何人も、公衆に表示する情報において、性別を理由とする人権侵害を助長することのないよう配慮しなければならない。

(区の責務)

第5条 区は、基本理念に基づき、男女共同参画社会の形成に関する施策を策定し、及び実施しなければならない。

2 区は、区民、事業者、国及び他の自治体と連携及び協力して男女共同参画社会の形成に取り組まなければならない。

3 区は、男女共同参画社会の形成に関する施策を実施するため、必要な体制の整備及び区の職員に対する男女共同参画社会の形成に関する意識の啓発並びに財政上の措置を講じなければならない。

(区民の責務)

第6条 区民は、基本理念に基づき、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成を主体的に推進するよう努めなければならない。

2 区民は、区が実施する男女共同参画社会の形成に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第7条 事業者は、基本理念に基づき、雇用その他の分野における事業活動において、男女共同参画社会の形成を積極的に推進するよう努めなければならない。

2 事業者は、区が実施する男女共同参画社会の形成に関する施策に協力するよう努めなければならない。

第2章 基本的施策

(行動計画)

第8条 区長は、男女共同参画社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための計画(以下「行動計画」という。)を定めなければならない。

2 区長は、行動計画を定めるに当たっては、あらかじめ、第15条に規定する江東区男女共同参画審議会の意見を聴かなければならない。

3 区長は、行動計画を定めたときは、遅滞なくこれを公表しなければならない。

4 前2項の規定は、行動計画の変更について準用する。

5 区長は、行動計画の実施状況報告書を毎年作成し、これを公表しなければならない。

(基本的施策)

第9条 区は、男女共同参画社会の形成を積極的に推進するため、次に掲げる基本的施策を行うものとする。

(1) 区の附属機関等の委員の男女構成について行動計画に数値目標を定め、積極的改善措置を講じ、男女間の均衡を図ること。

(2) 学校教育、社会教育その他あらゆる分野の教育における必要な措置を講じること。

(3) 事業者に対し、雇用の分野における必要な情報の提供その他の支援を行うよう努めるとともに、男女共同参画の状況等について報告を求め、適切な措置を講じるよう協力を求めること。

(4) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるように必要な支援を行うこと。

(5) 男女が性及び健康について、互いの人権を尊重し理解を深めるとともに、生涯を通じて身体的、精神的及び社会的に良好な状態にあるように学習の機会及び情報の提供その他の必要な支援を行うこと。

(6) 男女共同参画社会の形成を推進する活動を行う民間の団体との連携を図り、当該活動に必要な情報の提供その他の支援を行うこと。

(調査研究)

第10条 区は、男女共同参画社会の形成に関する施策の策定及び実施に必要な調査研究を行うものとする。

(普及啓発)

第11条 区は、基本理念に対する区民及び事業者の理解を深めるため、積極的な広報活動の実施及び普及啓発に努めるものとする。

(拠点施設)

第12条 区は、男女共同参画社会の形成に関する施策を実施し、並びに区民及び事業者の男女共同参画社会の形成の推進に関する取組を総合的に支援する拠点施設を設けるものとする。

第3章 苦情及び相談の申出

(苦情の申出)

第13条 区民及び事業者は、区が実施する男女共同参画社会の形成の推進に関する施策又は男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策による人権侵害に対する苦情がある場合は、区長に申し出ることができる。

2 区長は、前項の規定による苦情の申出に適切に対応するために第三者の機関を設置するものとする。

3 前項の第三者の機関は、第1項の申出を処理するに当たって、必要と認めるときは、江東区男女共同参画審議会の意見を聴くことができる。

(相談の申出)

第14条 区民及び事業者は、性別を理由とする差別的な取扱いその他の男女共同参画社会の形成を阻害する要因による人権侵害に対する相談がある場合は、区長に申し出ることができる。

2 区長は、前項の申出に適切に対応するため、男女共同参画相談員を置くものとする。

3 男女共同参画相談員は、第1項の申出に係る相談に応じ、必要な調査及び助言を行うほか、関係行政機関への通知その他の必要な措置を講じるものとする。

第4章 男女共同参画審議会

(設置)

第15条 男女共同参画社会の形成に関する施策を推進するため、区長の附属機関として、江東区男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事項)

第16条 審議会は、区長の諮問に応じ、行動計画の策定、変更その他男女共同参画社会の形成の推進に係る重要な事項を調査及び審議し、区長に意見を述べることができる。

2 審議会は、男女共同参画社会の形成の基本的施策の実施状況について調査及び審議し、区長に意見を述べることができる。

3 審議会は、第13条の第三者の機関の求めに応じ、意見を述べることができる。

(組織)

第17条 審議会は、委員15人以内で組織する。ただし、男女いずれかの一方の委員の数は、10分の6を超えないものとする。

2 委員の任期は2年とし、補欠委員の任期は前任者の在任期間とする。ただし、再任を妨げない。

(会長)

第18条 審議会に会長を置き、委員の互選により定める。

2 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。

3 会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する。

(会議)

第19条 審議会は、会長が招集し、議長となる。

2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。

3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

4 審議会の会議は、公開とする。ただし、別に定める場合にあっては、非公開とすることができる。

(関係機関等への協力要請)

第20条 審議会は、必要に応じて関係機関、事業者その他の委員以外の者に対し、審議会への出席、説明、意見又は資料の提出を求めることができる。

第5章 雑則

(委任)

第21条 この条例の施行について必要な事項は、区長が別に定める。

この条例は、平成16年4月1日から施行する。ただし、第3章の規定は、同年10月1日から施行する。

江東区男女共同参画条例

平成16年3月17日 条例第1号

(平成16年10月1日施行)