○江東区風力発電施設保安規程
平成15年9月19日
15江政企第317号
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 保安業務の管理体制(第6条―第11条)
第3章 保安教育(第12条・第13条)
第4章 工事の計画及び実施(第14条・第15条)
第5章 法定自主検査(第16条)
第6章 保守(第17条―第19条)
第7章 運転又は操作(第20条・第21条)
第8章 災害対策(第22条・第23条)
第9章 記録(第24条)
第10章 責任の分界(第25条・第26条)
第11章 整備その他(第27条―第30条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は、電気事業法(昭和39年法律第170号。以下「法」という。)第42条第1項の規定に基づき、江東区の風力発電施設(以下「施設」という。)の工事、維持及び運用に関する基本的事項を定めることにより、施設の保安の確保に万全を期すことを目的とする。
(適用範囲)
第2条 この規程は、別表第1に掲げる施設に適用する。
(効力)
第3条 施設の設置者(江東区長をいう。以下同じ。)及び施設の工事、維持及び運用に従事する者(以下「従事者」という。)は、電気関係法令(以下「法令」という。)及びこの規程を遵守するものとする。
(細則の制定)
第4条 この規程を実施するために必要と認められる場合には、別に細則を定めるものとする。
(規程の改正等)
第5条 施設の設置者は、この規程を改正し、又は前条に定める細則を制定若しくは改正するときは、主任技術者の参画の下にこれを作成し、決定するものとする。
第2章 保安業務の管理体制
(保安業務組織)
第6条 施設の工事、維持及び運用に関する保安業務を執行する者として次に掲げる者を置き、その組織の系統は、別図第1に定めるとおりとする。
(1) 保安統括者
(2) 主任技術者
(3) 施設管理者
(4) 委託業者
2 前項第2号の主任技術者は、法第44条第1項第1号から第3号までに規定する電気主任技術者免状の交付を受けている者をもって充てる。
(保安統括者の責務)
第7条 保安統括者は、次に定めるところにより施設に係る保安業務を総括し、管理するものとする。
(1) 施設の保安に関する重要な事項を決定し、又は実施しようとするときは、主任技術者の意見を求める。
(2) 主任技術者の施設の保安に関する意見を尊重する。
(3) 法令に基づいて所轄官庁に提出する図書の内容が施設の保安に関係があるときは、主任技術者の参画の下にこれを作成し、決定する。
(4) 法令に基づいて所管官庁が検査を行うときは、主任技術者を立ち会わせる。
(主任技術者の責務)
第8条 主任技術者は、保安統括者を補佐し、施設の工事、維持及び運用に関する保安監督の業務を総括する。
2 主任技術者は、法令及びこの規程を遵守し、施設の工事、維持及び運用に関する保安監督の職務を誠実に行う。
3 主任技術者は、法定自主検査において、検査の指導及び監督を行う。
(従事者の責務)
第9条 従事者は、主任技術者が施設の保安の確保のためにする指示に従うものとする。
(主任技術者不在時の措置)
第10条 保安統括者は、主任技術者が病気その他のやむを得ない事情により不在となる場合にその業務を代行する者をあらかじめ指名しておくものとする。
(主任技術者の解任)
第11条 保安統括者は、主任技術者が次の各号のいずれかに該当するときは、解任することができる。
(1) 病気等による欠勤が長期にわたり、保安の確保上不適当と認められるとき。
(2) 法令又はこの規程に違反し、又は怠って保安の確保上不適当と認められるとき。
(3) 刑事事件により起訴されたとき。
第3章 保安教育
(保安教育)
第12条 主任技術者及び委託業者は、従事者に対し、施設の保安に関して必要な知識及び技能の教育を行うものとする。
(保安に関する訓練)
第13条 主任技術者及び委託業者は、従事者に対し、災害及び事故が発生したときの措置について、年1回以上実地訓練を行うものとする。
第4章 工事の計画及び実施
(工事計画)
第14条 保安統括者は、施設の設置、改造等の工事計画を立案するに当たっては、主任技術者の意見を求める。
2 主任技術者は、施設の保安を確保するため、施設の主要な修繕工事及び改良工事を行うときは、あらかじめ当該工事の計画を作成し、保安統括者の承認を得るものとする。
(工事の実施)
第15条 委託業者は、施設の工事を実施するときは、あらかじめ保安統括者の承認を得るとともに、必要に応じて作業責任者を選任し、主任技術者の監督の下にこれを行うものとする。
2 施設管理者又は工事の請負について施設管理者の承認を得た委託業者は、施設の工事を他の者に請け負わせる場合には、常に責任の所在を明確にし、完成した場合には主任技術者がこれを検査し、保安上支障のないことを確認のうえ、引き取るものとする。
第5章 法定自主検査
(法定自主検査の実施)
第16条 保安統括者は、法定自主検査(使用前自主検査)を、別図第2の体制により、施設の使用前に別表第2の検査を行うものとし、その後法令に基づき安全管理審査を申請し、実施状況について所轄官庁等の審査を受けるものとする。
第6章 保守
(巡視、点検及び測定)
第17条 主任技術者及び委託業者は、施設の保安を確保するための巡視、点検及び測定(以下「巡視点検等」という。)を、別表第3に定めるところにより行うものとする。
2 巡視点検等は、次の事項について定めるものとする。
(1) 巡視経路
(2) 点検箇所及び点検事項
(3) 巡視点検の周期
(技術基準の適合義務)
第18条 主任技術者及び委託業者は、施設の巡視点検等の結果、法令に定める技術基準に適合しない事項が判明したときは、臨機に保安を確保するための応急措置を講ずるとともに、技術基準に適合するよう改善するものとする。
(事故等の再発防止)
第19条 主任技術者及び委託業者は、事故その他異常が発生した場合には、必要に応じ精密検査を行い、その原因を究明し、再発防止を図るものとする。
第7章 運転又は操作
(運転又は操作)
第20条 施設の運転操作は、次の基準を遵守し行うものとする。
(1) 平常時及び事故その他異常時における運転操作の手順
(2) 運転操作の指令系統及び連絡系統
(3) 軽微な事故に対する応急措置の方法
(4) 系統連系用遮断機等に関する東京電力株式会社との連絡事項
(5) 緊急時の報告又は連絡の要領
(施設の運転を停止する場合の保全)
第21条 主任技術者及び委託業者は、施設の運転を相当期間にわたり停止するときは、保安電力を確保するため、系統連系用遮断機を投入して発電機用開閉器を開放し、ロータディスクブレーキをかけ、風車翼を停止して施設の保全を図るものとする。ただし、長期間の停止の場合は、軸受のグリスを均一化するため、数か月に一度風車翼を回転させるものとする。
2 主任技術者及び委託業者は、施設の運転を再開するときは、点検及び必要に応じた試験運転を行い、安全確保に万全を期すものとする。
第8章 災害対策
(防災体制)
第22条 保安統括者は、台風、洪水、地震、火災その他の災害に備え、指揮命令及び情報伝達経路並びに人員及び機材の整備について規定した災害対策要領を定めるものとする。
(災害時における危険防止)
第23条 主任技術者は、非常災害発生時において、施設の保安を確保するため、指揮監督を行う。
2 主任技術者は、災害等の発生に伴い危険と認められるときは、直ちに発電機を停止することができる。
第9章 記録
(記録)
第24条 施設管理者は、施設の工事、維持及び運用に関する次に掲げる事項を記録し、保守上及び法令上必要な期間保存しなければならない。
(1) 巡視、点検、試験及び測定記録
(2) 電気事故記録
(3) 保修工事報告書(記録)
(4) 精密点検記録
(5) 法定自主検査の記録
(6) 保安教育記録
2 主要電気機器の保修記録は、設備台帳に定めるところにより記録し、必要な期間保存する。
第10章 責任の分界
(責任分界点)
第25条 東京電力株式会社の設置する電気工作物との保安上の責任分界点は、電力需給契約書のとおりとする。
(需要設備の構内)
第26条 需要設備の構内は、別図第3のとおりとする。
第11章 整備その他
(危険の表示)
第27条 施設内の高圧電気を使用する設備の設置場所には、注意喚起のための表示を設けるものとする。
(測定器具等の整備)
第28条 施設管理者、主任技術者及び委託業者は、施設の保安上必要とする測定器具類、工具、材料、予備品、消耗品等を整備し、適切に保管する。
(設計図等の整備)
第29条 施設管理者は、施設に関する設計図、仕様書、取扱説明書等については、必要な期間保存する。
(手続書類等の整備)
第30条 施設管理者は、東京電力株式会社、関係官庁等に提出した書類、図面その他主要文書については、必要な期間保存するものとする。
附 則
この規程は、平成15年9月24日から実施する。
附 則
この規程は、平成17年1月1日から実施する。
別表第1 風力発電施設(第2条関係)
名称 | 所在地 | 発電機出力 | 最大電力 |
江東区若洲風力発電所 | 東京都江東区若洲三丁目2番1号 | 1,950kW | 発電設備1,950kW 需要設備10kW |
別表第2 法定自主検査項目(第16条関係)
| 法定自主検査項目 |
1 | 外観検査 |
2 | 接地抵抗測定 |
3 | 絶縁抵抗測定 |
4 | 絶縁耐力試験(初回のみ) |
5 | 保護装置動作試験 |
6 | 総合インターロック試験 |
7 | 制御電源喪失試験 |
8 | 負荷遮断試験 |
9 | 負荷試験(出力試験) |
別表第3 巡視、点検及び測定基準(第17条関係)
1 需要設備
電気工作物 | 点検、測定及び試験項目 | 定期点検A | 定期点検B | 臨時点検 | |
受電設備(含配電設備・二次変電室設備) | 引込線 電線及び支持物 | 外観点検 | ○ |
| 必要の都度 |
観察点検 |
| ○ | |||
※1絶縁抵抗測定 |
| ○ | |||
遮断器 開閉器 | 外観点検 | ○ |
| 必要の都度 | |
観察点検 |
| ○ | |||
※1絶縁抵抗測定 |
| ○ | |||
※1継電器の動作試験 |
| ○ | |||
※1継電器との結合動作試験 |
| ○ | |||
※2内部点検 |
| ○ | |||
母線、計器用変成器、断路器、避雷器、電力用コンデンサ | 外観点検 | ○ |
| 必要の都度 | |
観察点検 |
| ○ | |||
※1絶縁抵抗測定 |
| ○ | |||
変圧器 | 外観点検 | ○ |
| 必要の都度 | |
観察点検 |
| ○ | |||
※1絶縁抵抗測定 |
| ○ | |||
※3絶縁油透明度試験 |
| ○ | |||
※3絶縁油酸価試験 |
| ○ | |||
絶縁油耐圧試験 |
| 同上不良の場合 | |||
※3内部点検 |
| ○ | |||
配電盤及び制御回路 | 外観点検 | ○ |
| 必要の都度 | |
観察点検 |
| ○ | |||
※1絶縁抵抗測定 |
| ○ | |||
※1継電器の動作試験 |
| ○ | |||
※1継電器との結合動作試験 |
| ○ | |||
接地装置 | 外観点検 | ○ |
| 必要の都度 | |
観察点検 |
| ○ | |||
※4接地抵抗測定 |
| ○ | |||
漏洩電流測定 | ※5○ |
| |||
蓄電池 | 外観点検 | ○ |
| 必要の都度 | |
観察点検 |
| ○ | |||
比重測定 | 1回/年 | ○ | |||
液温測定 | 1回/年 | ○ | |||
電圧測定 | 1回/年 | ○ | |||
電気使用場所の設備 | 電動機、電熱器 電気溶接機 その他の電気機器類 照明装置 配線及び配線器具 接地装置 配電線路の電線等及び支持物 | 外観点検 | ○ |
| 必要の都度 |
観察点検 |
| ○ | |||
※1,6絶縁抵抗測定 |
| ○ | |||
※4接地抵抗測定 |
| ○ | |||
※7絶縁監視 | ○ | ○ | |||
|
|
| |||
|
|
|
2 発電設備
電気工作物 | 点検、測定及び試験項目 | 定期点検A | 定期点検B | 臨時点検 | |
発電所 | 風力設備及び付属装置 | 外観点検 | ○ |
| 必要の都度 |
観察点検 |
| ○ | |||
起動試験 | ○ | ○ | |||
発電機及び励磁装置 接地装置 | 外観点検 | 1回/週 |
| 必要の都度 | |
観察点検 |
| 1回/週 | |||
※1絶縁抵抗測定 |
| ○ | |||
※4接地抵抗測定 |
| ○ | |||
遮断器 開閉器 その他の電気機器類 | 受電設備と同じ | 受電設備と同じ |
(注)
(1) 定期点検Aは通常行う点検(無停電点検)をいい、最低月に1回は行うものとします。
定期点検Bは停電をして行う点検(停電点検)をいい、1年に1回は行うものとします。
(2) ※1を付した測定及び試験は停電範囲その他の理由によって行われないことがあります。
(3) ※2を付した点検及び試験は製造後(新油に取替えの場合も同様)10年経過時に、10年を超えたものは5年経過ごとにそれぞれ行うものとします。
(4) ※3を付した点検及び試験は製造後(新油に取替えの場合も同様)10年経過時に、10年を超えたものは3年経過ごとにそれぞれ行うものとします。
(5) ※4を付した測定は過去の実績によってその一部又は全部を行わないことがあります。
(6) ※5を付した測定は隔月に1回行うものとします。
ただし、絶縁監視装置を設置した場合は行わないものとします。
(7) ※6を付した測定は絶縁監視装置の監視記録により代えることがあります。
(8) ※7を付した絶縁監視は絶縁監視装置による常時の監視をいいます。
この絶縁監視装置の点検は、外観点検及び総合動作試験を定期点検A及びB実施時に、誤差試験を1年に1回行うものとします。
別図第1 保安に関する組織及び業務分掌(第6条関係)
別図第2 法定自主検査体制(第16条関係)
別図第3 需要設備の構内(第26条関係)