○江東区環境基本条例
平成10年12月15日
条例第48号
目次
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 環境の保全に関する施策(第8条―第19条)
第3章 江東区環境審議会(第20条・第21条)
第4章 雑則(第22条)
附則
いま新たな環境問題があらわれ、その影響はさまざまなかたちで私たちのまちにも及んでいる。そして、累積する環境への負荷は、人類の生存基盤である地球の環境をもおびやかそうとしている。
私たちの江東区は、多くの水辺に恵まれており、その水辺は、幾多の変遷を経て独自の文化や伝統を育み、私たちにうるおいのある生活と環境をもたらしてくれている。
この水に代表される豊かな環境を、未来ある子どもたちに残したい――私たちの願いは、将来にわたって安心して住み続けられる、環境保全に配慮したまちづくりへと結実していかなければならない。そして、かけがえのない地球を守るために、共に行動し、地域の取組を地球全体へと広げていかなければならない。
このような決意のもとに、水と緑に彩られた、環境にやさしい都市の創造をめざして、ここにこの条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全についての基本理念を定め、区、区民及び事業者の協働の取組及び責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する基本的な事項を定めることにより、これらの施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の区民の安全で健康かつ快適な生活の実現に寄与することを目的とする。
(1) 環境の保全 地域及び地球の良好な環境を維持し、再生し、回復し、及び創出することをいう。
(2) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、公害をはじめとする環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全は、すべての区民が安全で健康かつ快適な生活を営む上で必要とする良好な環境を確保し、これを将来の世代に継承していくことを目的として行われなければならない。
2 環境の保全は、すべての日常生活及び事業活動において、環境への負荷の少ない持続可能な社会を構築することを目的として行われなければならない。
3 環境の保全は、次に掲げる都市像の実現を目的として行われなければならない。
(1) 環境に与える負荷の少ない都市
(2) 人と自然とが共生している都市
(3) 健康で安全に暮らせる都市
(4) 快適で文化的に暮らせる都市
4 地球環境の保全は、人類共通の課題として、区、区民及び事業者のあらゆる活動において積極的に推進されなければならない。
(平16条例21・一部改正)
(パートナーシップの形成等)
第4条 区、区民及び事業者は、環境の保全に当たっては、パートナーシップ(適正な役割分担と密接な連携をいう。以下同じ。)の形成に努めなければならない。
2 区、区民及び事業者は、前項に定めるパートナーシップに基づき、次に掲げる事項について協働して取り組んでいかなければならない。
(1) 環境の保全にかかわる情報を相互に提供し、又は意見を交換すること。
(2) 地域における環境の保全に関する学習の推進に寄与すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、環境を保全するに当たって必要又は有効な事項
(区の責務)
第5条 区は、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 区は、環境への影響が予想される施策の策定及び実施に当たっては、環境への負荷の低減その他必要な措置を講ずる責務を有する。
3 区は、区民及び事業者の自主的な環境の保全に関する活動への取組を支援するとともに、自ら率先して各種の施策を推進する責務を有する。
4 区は、環境の保全に関する重要な計画等を策定又は変更するときは、区民及び事業者の意見を反映できる適切な措置を講じなければならない。
(区民の責務)
第6条 区民は、日常生活において、環境への負荷の低減を図るなど、環境の保全に取り組む責務を有する。
2 区民は、地域における環境の保全に資するよう自ら努めるとともに、区が実施する環境の保全に関する施策に参加し、協力する責務を有する。
(事業者の責務)
第7条 事業者は、事業活動を行うに当たっては、環境への負荷の低減その他の環境の保全に資する必要な措置を講ずる責務を有する。
2 事業者は、区が実施する環境の保全に関する施策に参加し、協力する責務を有する。
3 事業者は、その事業活動に伴う環境の保全に関する情報を提供するよう努めなければならない。
第2章 環境の保全に関する施策
(環境基本計画)
第8条 区長は、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全についての基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 環境基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 環境の保全に関する目標
(2) 環境の保全に関する施策の方向
(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全に関する重要事項
3 区長は、環境基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ江東区環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 区長は、環境基本計画を策定するに当たっては、区民及び事業者の意見が反映されるよう必要な措置を講ずるものとする。
5 区長は、環境基本計画を策定したときは、速やかに、これを公表しなければならない。
6 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(環境白書)
第9条 区長は、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進に資するため、環境の状況、環境の保全に係る施策の実施状況及び評価等を明らかにした環境白書を作成し、公表するものとする。
(施策の推進のための措置)
第10条 区は、環境の保全に関する施策を策定し、これを実施するに当たっては、環境基本計画と整合を図るものとする。
2 区は、環境の保全に関する施策を総合的に調整し、及び推進するために必要な措置を講ずるものとする。
(区民等の意見の申出)
第11条 区民及び事業者は、環境の保全に関して区に意見を申し出ることができる。
2 区は、前項に規定する申出があったときは、その意見を検討し、適切な措置を講ずるものとする。
(事業者への要請)
第12条 区は、特に必要があると認めるときは、事業者に対し、環境の保全についての要請を行い、報告を求めることができる。
(誘導的措置)
第13条 区は、区民及び事業者が環境への負荷の低減を図るための施設の整備その他の適切な措置がとれるよう、誘導に努めるものとする。
(情報の提供)
第14条 区は、環境の保全に関する情報を適切に区民及び事業者に提供するよう努めるものとする。
(環境学習の推進)
第15条 区は、区民及び事業者が環境の保全についての理解を深めるとともに、自発的な環境の保全に関する活動が促進されるよう、環境の保全に関する学習の推進を図るものとする。
(調査及び研究の実施等)
第16条 区は、環境の保全に関する施策を適切に実施するために、環境の保全に関する事項について、情報の収集、調査及び研究に努めるものとする。
(監視及び測定等)
第17条 区は、環境の状況を的確に把握するとともに、そのために必要な監視及び測定等の体制の整備に努めるものとする。
2 区は、前項の規定により把握した環境の状況を公表するものとする。
(国及び東京都等との協力)
第18条 区は、環境の保全を図るため、広域的な取組を必要とする施策等について、国及び東京都その他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。
(地球環境の保全の推進)
第19条 区は、地球環境の保全に寄与する施策の推進に努めるものとする。
2 区は、国及び東京都その他の地方公共団体と連携し、前項の施策の推進に関する国際協力に努めるものとする。
第3章 江東区環境審議会
(設置)
第20条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、区長の附属機関として、江東区環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、区長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。
(1) 環境基本計画に関すること。
(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全に関する基本的な事項
3 審議会は、環境の保全に関し、区長に意見を述べることができる。
(組織等)
第21条 審議会の委員は、14人以内とし、区長が委嘱する。
2 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 前2項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第4章 雑則
(委任)
第22条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成11年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際、現にある江東区環境基本計画は、第8条の規定により策定された環境基本計画とみなす。
附則(平成16年条例第21号)
この条例は、公布の日から施行する。